国宝 (映画)

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国宝』(こくほう)は吉田修一の小説『国宝』を原作とする、2025年に公開された日本映画

監督 李相日
製作 村田千恵子
松橋真三
国宝
監督 李相日
脚本 奥寺佐渡子
原作 吉田修一
製作 村田千恵子
松橋真三
出演者 吉沢亮
横浜流星
高畑充希
寺島しのぶ
森七菜
三浦貴大
見上愛
黒川想矢
越山敬達
永瀬正敏
嶋田久作
宮澤エマ
中村鴈治郎
田中泯
渡辺謙
音楽 原摩利彦
主題歌 原摩利彦 feat. 井口理「Luminance」
撮影 ソフィアン・エル・ファニ
編集 今井剛
制作会社 CREDEUS
製作会社 映画「国宝」製作委員会
配給 東宝
公開 日本の旗 2025年6月6日
中華民国の旗 2025年10月23日[1]
香港の旗 2025年11月13日[2]
大韓民国の旗 2025年11月19日[3]
オーストラリアの旗 2025年12月11日[4]
フランスの旗 2025年12月24日[5]
イスラエルの旗 2026年1月15日[6]
タイ王国の旗 2026年1月15日[7]
スウェーデンの旗 2026年1月22日[8]
トルコの旗 2026年1月23日[9]
インドネシアの旗 2026年2月18日[10]
アメリカ合衆国の旗 2026年2月20日[11]
カナダの旗 2026年2月20日[12]
ブラジルの旗 2026年3月5日[13]
ベトナムの旗 2026年3月6日[14]
ドイツの旗 2026年3月26日[15]
ポーランドの旗 2026年3月27日[16]
イギリスの旗 2026年4月3日[17]
アイルランドの旗 2026年4月3日[18]
イタリアの旗 2026年4月30日[19]
上映時間 174分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 12億円[20]
興行収入 日本の旗 207.2億円(2026年4月時点)[21] 世界の旗 $134,421,151
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2025年6月6日に公開された[22][23]。監督は李相日、主演は吉沢亮[24]PG12指定[25][26]。李が吉田修一の原作小説を映画化するのは、『悪人』『怒り』に続き3度目となる[24][27]。キャッチコピーは佐藤潤一郎が手掛けた「その才能が、血筋を凌駕する-」、「ただひたすら 共に夢を追いかけたー」[28]。11月24日に2003年公開の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』を超え、実写邦画興行収入で歴代1位になったと発表された[29]

2025年5月18日(日本時間19日)、第78回カンヌ国際映画祭の「監督週間」部門で世界初上映され、約6分のスタンディングオベーションを受ける[30][31][32]。日本初上映となるジャパンプレミアは5月30日に世界遺産である京都の真言宗総本山教王護国寺(東寺)の金堂にて行われた[33]。東寺で映画のイベントが行われるのは初となる[34]。第27回上海国際映画祭のインターナショナル・パノラマ部門のカンヌ・エクスプレス、ニュージーランド国際映画祭Visions部門、第50回トロント国際映画祭スペシャルプレゼンテーション部門、第30回釜山国際映画祭ガラプレゼンテーション部門にも出品・上映された。タイ・バンコク国際映画祭・London East Asia Film Festivalクロージング作品。

第98回アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表に選出された[35][36]。12月16日にはアカデミー賞の国際長編映画賞とメイクアップ・ヘアスタイリング賞のショートリストに選ばれた[37][38]。1月22日には映画芸術科学アカデミーがアカデミー賞のノミネートを発表し、メイクアップ&ヘアスタイリング賞で選ばれた[39][40]。同賞の日本関連では京都市出身のカズ・ヒロ(辻一弘)が受賞した事例があるが、日本映画のノミネートとしては初めてである[41]。ヘアメイクの豊川京子、歌舞伎メイクの日比野直美、歌舞伎床山の西松正の3名がノミネートされた[42]。同ヘアメイクチームは10日にロサンゼルスで行われたアカデミー協会の公式イベント「Bake Off」に参加、劇中の50年に渡る人物の描き方、歌舞伎の鬘や白塗りの歴史などについて、映画業界に携わる人々に語り反響を得ていた[43]。監督の李相日は「オスカーのノミネートは最上の喜び。なんて親孝行な子なんだろう。生まれてきてくれてありがとう」と喜びの声を寄せた[44]

世界50以上の国と地域で公開される[45]。アメリカ合衆国では2026年2月20日全米公開[46]に先立ち、ロサンゼルスで2025年11月14日から、ニューヨークでは同月21日からそれぞれ1週間先行上映されたほか[47][48]俳優トム・クルーズによる主催(後述)でアカデミー賞の投票権を持つ人たちを集めた上でカルバー・シアターにて[49][50]ニューヨーク近代美術館(MoMA)でも「The Contenders」企画の一環として[51][52]、特別上映会を行った。

劇中で登場する歌舞伎の演目は、『関の扉』、『連獅子』、『二人藤娘』、『二人道成寺』、『曽根崎心中』、『鷺娘[53]

日経トレンディ『2025年ヒット商品ベスト30』では第2位に選出された。選出理由としては「圧倒的な“芸”を見せつけた歌舞伎映画」「シニア層から若者への逆転拡散で本物の歌舞伎も潤した」[54]。2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞では「国宝(観た)」がトップ10に選ばれた[55][56]。2025年の日経ヒット商品番付では横綱に選ばれた[57]。各映画祭や映画賞などで合計50以上の賞を受賞[58]するなど、批評と興行の両立を果たした作品と言われた[59]

あらすじ

1964年の長崎、抗争によって父を失った少年・喜久雄は、その素質を見込まれ、上方歌舞伎の名門の当首をつとめる花井半二郎に引き取られる。半二郎の息子であり、歌舞伎役者としての将来を約束されたも同然の血筋を持つ俊介と共に育ち、女形として互いに技を競い合いながらも華々しく成長していく。しかし、ある代役の出来事を切っ掛けに次第に両者の関係は揺らぎを見せ始める。

キャスト

スタッフ

撮影

複数の歴史的建造物を用いてロケ撮影が行われた。先斗町歌舞練場が「浪花座」として使用されている[69]。近畿地方最古の現存する芝居小屋だと考えられる出石永楽館でもロケが行われた[70]。また、キャバレーの場面は大阪市十三にある現役のキャバレー、グランドサロン十三で撮影された[71]。キャバレーの通常営業を妨害しないよう、早朝に入って夕方までに撮影し終えるというスケジュールでロケが行われた[71]。この他、上七軒歌舞練場、今宮神社びわ湖大津館玉手橋往生院[72]、2023年に閉場した国立劇場[73]でも撮影が行われている[74]。国宝のVFX作業は撮影後のポストプロダクション期間に約半年かけて行われた[75]。作中の建物の外観は既存の建造物を用いたが、内部はセット撮影を行った。日乃本座のシーンでは京都の東映撮影所に長崎の料亭[76][77]や劇場を再現したセットが建てられ、数トンある緞帳を再現したり、観客席は2階席の上からはCG合成を行った[78]。観客席には実際にエキストラを入れて撮影を行ったが、鷺娘を通しで踊った場面ではエキストラが泣くなど毎回新鮮な反応をした[79]ことに対して、主役の吉沢亮は報知映画賞の授賞式のスピーチであの瞬間は歌舞伎役者になれたかもしれないと感謝を述べた[80]

制作エピソード

制作に至るまでに、これまで李が監督、吉田が原作という形で組んだ2作品を制作・配給してきた東宝は、ターゲットの年齢層の高さ、制作費の高さ、上映時間の長さの3つの面で製作幹事から一歩引いていたが[81]、プロデューサーの村田千恵子がアニプレックスの実写部門であるミリアゴンスタジオの第一弾として国宝の企画を立ち上げた[82]。制作費は通常の映画の3倍の12億円、脚本づくりに1年以上かかった[83][84]。脚本家の奥寺は、周辺人物の女性陣を含め丁寧に人物を描写しながら批評性も含んでいる群像劇風の原作を映画化するにあたり、監督やプロデューサーの意向を聞きながら打ち合わせを重ねた結果、喜久雄と俊介の関係性・芸事に焦点を当てた万人にもわかりやすい作風に再構成することになった。それでも、映画にすると6時間は必要だったが、原作の表現を万人が観てもわかりやすいように再構成し、さらに倍速視聴などの視聴形態に耐えられる作劇術の手法を取り入れ、映画の上映時間の都合で出演時間が短くなってしまった原作でも重要な役割を持つ役の複雑性はその役にキャスティングされた実力があり信頼できる役者の表現力に頼ることで、どうにか3時間に収めたと語った[85]

李は吉沢が参加しなければこの企画が成立しないと考えていた[86][87]。キャスティングされた理由は、吉沢は顔の美しさと内面の開放感、横浜は喜久雄との相性と努力家で勤勉であるからで、お互い異なるタイプの情熱を演じられるから[88][89]。吉沢に喜久雄がオファーされたのは2019年のキングダム上映直後あたりで、李の前作『怒り』で吉沢がオーディションに落ちたのは役に合わなかったため[90]。主演の吉沢は他の仕事をほぼ全部断り稽古に入ったという[91]。本格的に映画化の企画が動き始めたのは2020年の中頃だが、正式な映画化決定まで紆余曲折があった[92]。本作を制作するにあたりメインキャストである吉沢亮と横浜流星は歌舞伎の舞踊や所作も含めた稽古に1年半の時間をかけ、撮影期間は通常の映画の2倍となる3か月の時間をかけた[93]。喜久雄の背中の入れ墨は精巧なシールを付けたものと肌絵師の田中が実際に描いたものの2パターンがあり、8割くらいは描いたもので、深夜2時に行って4時間をかけて描いた[94]。また、作中の演目中の衣装は、日本舞踊で一番重いと言われ30キロはあり、それを着たままでの撮影時間は10時間にも及んだ[95][96]。また歌舞伎のカツラは銅板が使われており重く、3~4キロするものを1カットで20回くらい付けたり外したりしたという[97]

原作・映画で監修を務めた歌舞伎学会会長及び早稲田大学演劇博物館館長の児玉竜一によると、歌舞伎では18世紀以降どのように演じられたかが細かく伝えられており、日本の伝統芸能の大きな特徴として挙げられるのがこの「身体伝承」である[98]。よって歌舞伎の振り付けを担当した舞踏家の谷口は、たたずまい、お辞儀、歩き方など基本的な動作を2~3か月かけて吉沢と横浜に覚えさせた。吉沢と横浜は覚え方も異なり、吉沢は気持ちから入り、横浜は形から入る、二人とも動画を必ず撮り次の稽古までに必ず言ったことを覚えてきたと語る[99]。お互いの踊りについて横浜は吉沢を「すごく柔らかくて艶っぽい」と表現し、逆に吉沢は横浜について「本当に形がきれいなので、2人での練習映像とか“俺と流星なにが違うんだろう”、めっちゃ研究して見てた」と語った[100]

映画撮影後のインタビュー時に吉沢は「稽古を1年半やって、やればやるほど間に合わないことに気づいていくんです。子どもの頃から舞台に立つ皆さんと比べたら、もちろん1年半でどうにかなる話ではないのですが、それを理解しながらそれでも食らいついていく精神力というか、歌舞伎にしがみつく意地がこの映画には必要だったんだという気がしました」と語り、横浜は「自分もあまり歌舞伎の世界について知りませんでした。知っていると必要のないことまで頭に入ってきてしまうでしょうし、知らないからこそ知ろうと追い求めた部分はあったかもしれません。しきたりにも敬意を払いつつ歌舞伎役者を生きたことも含め、無我夢中でやり切れたかなと思っています」と語っている[101]

本作の中で演じていて強く印象に残ったシーンについて質問された吉沢は「胸を打つというのとは違うかもしれませんが、ビルの屋上で狂ったように踊るシーン。3テイクくらい撮ったなかで、やっていることもバラバラでほぼアドリブだったんです。使われたのは最後のテイクで、監督に森七菜ちゃんの顔を見ていてって言われたんです。それでバッと見ていたら『どこ見ているの?』って七菜ちゃんに言われて。『どこ見てたんやろな』って自然と出てきたセリフだったんです。僕自身のフィルターを通しながら、確かに喜久雄ってどこ見ているんだろう? と分からなくなる瞬間で、すごく素直にあの言葉が出てきたこともあり、あのシーンの撮影風景も含めて何もかもが印象に残っています」と答えている[101]

印象に残ったシーンや台詞について質問された横浜は「俊介が自分で発した『ほんもんの役者になりたい』というセリフは胸を打つというか……。俊介と自分は正反対の人間ですが、唯一その思いだけは共鳴できたというか、共感できた言葉でした」と答えている[101]

音楽

作中の舞台で出囃子として演奏していたのは、長唄の松永忠次郎や杵屋巳之助[102]、小鼓の梅屋喜三郎[103]など、実際に歌舞伎の出囃子奏者である。

作曲家の原と監督の李は「流浪の月」に続き2回目のタッグとなる[104]。楽曲制作は李と音楽プロデューサーの杉田が原の自宅に泊まり込みの「京都合宿」と名付けられた5回の合宿で、合計3週間以上に渡って行われた[105]。原はフィールド・レコーディングで録った音やそれを加工した音を使用するが、それらは西洋音階に収まらない音であり、能管などの歌舞伎の音とは親和性が高く、坂口安吾原作で野田秀樹の歌舞伎「野田版 桜の森の満開の下」の作曲・効果を手掛けたり[106]、前年に田中泯の舞台「彼岸より」[107]の音楽[108]を担当した後[109]だったため、ちょうどいいときに「国宝」と出会ったと原は語った[110]。1月に行われたトークショーでは合宿における李との楽曲制作では「この曲は誰についているのか」と登場人物の心情に対しての視点を求められたり、超歌舞伎といった歌舞伎文化にある新奇性を受け入れる土壌についても述べた。また主題歌については2024年の12月に李から提案され、翌年1月にデモテープを作成、坂本に作詞を依頼してから歌詞が完成したのが3月、そこから10日間ほどで井口のレコーティングも含め完成したという[111]。映画のクライマックスシーンである『鷺娘』の演目中に流れる作品名と同じ「国宝」という曲については、それまでの喜久雄の人生とその周囲の人たちの業が混ざり合う混沌を目指して作られた[112]。主題歌について原は主人公たちの人生が最後に現代神話として語られるような、ホメロスのような神話伝説の語り手として作曲した。楽器の選定はヴィオラ・ダ・ガンバリュートという、歌舞伎が生まれた時代に使用されていたもの[113]。タイトルの「Luminance」とは喜久雄が浴びたスポットライトと彼が放ち続ける光の量だという[114]。出演者の渡辺は作詞を手掛けた坂本との会話で、歌詞中の(あなた)は芝居の神様、エンターテインメントの神だと称し、その存在との繋がりを渇望すると述べ、また坂本は同様の望みを持つ主人公の喜久雄と自身の父親である坂本龍一を重ねたと語った[115][116]。原は第67回日本レコード大賞で特別賞[117]、第80回毎日映画コンクールで音楽賞を受賞した。第49回日本アカデミー賞では原が優秀音楽賞を、原と井口が主題歌賞を受賞した[118]。授賞式当日はオーケストラをバックに初披露した[119]

主題歌

「Luminance」
作曲・編曲:原摩利彦 / 作詞:坂本美雨 / 歌:原摩利彦 feat. 井口 理(King Gnu

サウンドトラック

2025年6月6日に配信[120]、11月26日にCDで『国宝 オリジナル・サウンドトラック』が発売された[121]。作曲は原摩利彦。

収録曲

トラックリスト
Disc 1
全作曲: 原摩利彦
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「Catastrophe」 原摩利彦
2.「国宝メインテーマ」 原摩利彦
3.「新世界」 原摩利彦
4.「万菊 I」 原摩利彦
5.「白亜」 原摩利彦
6.「開花」 原摩利彦
7.「夜明け」 原摩利彦
8.「白夜」 原摩利彦
9.「Fons」 原摩利彦
10.「契約 I」 原摩利彦
11.「継承」 原摩利彦
12.「襲名前夜」 原摩利彦
13.「幕」 原摩利彦
14.「契約 II」 原摩利彦
15.「欲望」 原摩利彦
16.「幻影」 原摩利彦
17.「万菊 II」 原摩利彦
18.「一対の宝玉」 原摩利彦
19.「永い夜 I」 原摩利彦
20.「永い夜 II」 原摩利彦
21.「微光」 原摩利彦
22.「Vida」 原摩利彦
23.「鷺娘」 原摩利彦
24.「国宝」 原摩利彦
25.「域」 原摩利彦
26.「Luminance」 原摩利彦
合計時間:

評価・反響

  • 全国356館で封切られると、SNS上では賞賛され[122]TOHOシネマズ調べでは初日アンケートで満足度97.2%を記録した[123]。上映2日後の6月8日時点でFilmarksでは4.4/5の評価で4.1から5.0の評価をつける人が76%、映画.comでは4.4/5、シネマトゥデイでは5/5となった[124]。2025年6月公開の33作品を対象にした「月イチ!“ぴあテン”ランキング」では8人の投票ですべて1位選出[125]。12月時点のIMDbでは8.0/10[126]Rotten TomatoesのTomatometerでは100%[127]MovieWalkerでは4.6/5[128]。朝日新聞によると、6月1日から9月7日までのXでの投稿のうち無作為抽出した31万5000件中32・2%に「吉沢」「横浜」のどちらかが含まれており二人の演技が話題になったこと、また投稿数は公開直後ではなく2週目の日曜にピークを迎えたとあり、徐々に好意的な口コミがSNSで広まったことが作品の認知度を高めヒットにつながったと分析した[129]。LINEヤフーは「周囲で話題になっていた」「友達・身内から勧められた」「SNSで話題になっていた」「レビューで高評価だった」などで見に行った人が多いとの調査結果を発表した[130]。また別のXでの統計上の分析では、国宝に関して言及された回数が他の作品と比べて上映開始から時間を経ても比較的に維持されており、「語りたい欲求」を持続的に訴求しており、言語化された言葉としては「すごい」が感情表現の文脈で最も使われているとされ、3時間の視聴体験が簡単に言い表せられない、圧倒されたなどの感情に結びついているとされた[131]
  • 歌舞伎俳優からも高く評価されており楽屋でも話題にのぼり、映画館に足を運ぶ俳優も多い。市川團十郎片岡孝太郎[132]片岡愛之助[133]中村七之助[134]中村米吉[135]中村獅童[136]らも自身のSNSやブログで本作について触れている。歌舞伎界への影響としては歌舞伎座への来場者が急増し、歌舞伎作品を解説するイヤホンガイドの貸出が増える、国立劇場養成所の歌舞伎俳優研修への入所問い合わせが飛躍的に増えるなどがあった[137]。また歌舞伎の興行を執り行う松竹の中間決算によると、6月~8月期に約35億円の黒字となり、国宝の恩恵を受けたという声もあった[138]。松竹は国宝の上映初期には同作品の「上映が盛況となりますよう期待しております」とエールを送った[139]こともあり、コロナ禍により客足が遠のいていたところ、国宝を見たことにより歌舞伎への興味が高まり、松竹の演劇事業が6年ぶりに黒字化するという報道もあった[140]。映画に出てきた演目への興味の高まりを受け、南座で歌舞伎演目『二人藤娘』を公演したり[141][142]シネマ歌舞伎で『曽根崎心中』[143]『鷺娘』[144]などが上映されることとなった。また老朽化した松竹の本社ビル建て替えに関して、国宝の大ヒットが資金面での後押しにつながったという報道もあった[145]
  • 社会現象[146][147][148][149]や記録的ヒット[150]、異例のヒット[151]と言われ、演劇評論家[152][153]、役者[154][155][156][157][158][159][160][161][162][163][164][165][166][167][168][169][170][171][172][173][174][175]、音楽家[176][177][178][179][180][181][182][183][184][185][186][187]、舞台関係者[188][189][190][191][192]、落語家[193][194][195][196]、芸人[197][198][199][200][201][202][203][204][205][206][207][208][209]、映画監督・漫画家・アスリートなど[210][211][212][213][214][215][216][217][218][219][220][221][222]、各界の著名人からの評価も得た。映画の大ヒット後は、開成中学校[223]イリノイ大学[224]では学校行事の一貫として教育目的でも鑑賞されたり、原作や映画とは直接関係ないものの、建造物美術工芸品としての国宝[225]人間国宝(重要無形文化財保持者)の対象に「生活文化」が加えられること[226]についての記事[227]で取り上げられたり、テレビなどでは「国宝」という言葉や内容が番組名の一部に使われたり[228][229]、企画[230][231]やパロディ[232][233]で取り上げられるなどの広がりを見せた。
  • 3時間を超える上映時間でトイレ問題を心配して[234]ボンタンアメが劇場の近くで山積みで売られていることが話題になったり[235]、品薄になったり[236]大福がトイレ対策に効果があるなどの記事が出た[237]。ボンタンアメの製造会社であるセイカ食品によると、同食品を食べることが効果的かは不明だというが[238]、医師によるとプラセボ効果の可能性があるという[239]
  • 撮影に使われたロケ地の多くが関西に集中しており[240]、各ロケ地や映画のポスターでも使われている『京鹿子娘二人道成寺』の舞台となり、「安珍・清姫伝説」で知られる和歌山県の道成寺でも聖地巡礼[74]に訪れる人が増えていると記事になった[241][242]。滋賀のびわ湖大津館などが主なロケ地となった滋賀県では滋賀県の[243]、滋賀県や東大阪市などが共同で関西広域のロケ地を記載した「ロケ地マップ」を作成するなどした[244]。滋賀県、大阪府東大阪市、兵庫県豊岡市は「第16回ロケーションジャパン大賞」にノミネートされ[245]、グランプリに選ばれた[246]
  • アメリカ人俳優のトム・クルーズは2003年公開のアメリカ映画ラストサムライ』で共演経験のある渡辺謙から紹介された本作品を見て感銘を受けたため[247]、クルーズ主催による上映会が2025年12月11日にロサンゼルスで行われた。クルーズは監督の李相日や渡辺を始めとする出演者の演技を絶賛した上で「俳優たちが準備に何年もかけたこの作品は、観客を優雅で力強い日本の芸術の世界にいざなう」と評価している[248][249]
  • 2026年1月7日から1月28日には展覧会『映画『国宝』展 -熱狂は終わらない、物語は続く-』と映画「国宝」特別企画展『「5/513日」Ryo Yoshizawa ✕ Shunya Arai』が、実写日本映画の興収1位更新の記念と観客への感謝としてGinza Sony Parkで開催され期間中に20万人以上の来場を記録した[250]。前者は主題歌「Luminance」の立体音響空間や作中の名場面を写した写真などを、後者は吉沢亮が「国宝」の準備と撮影にかけた513日間のうち5日間を、カメラマンの荒井俊哉が密着し撮り下ろした写真を展示した[251][252]

興行収入

  • 公開から2週間余の6月22日時点で動員数152万人、興行収入21億円を突破している[132]
  • 8月17日までの公開73日間で動員747万人、興行収入105億円を突破し、踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年、173.5億円)以来、22年ぶりに興行収入が100億円を超えた実写邦画となった。
  • 制作陣による興行収入100億円を超えたあとのインタビューでは、公開初日とその週末のSNSでの盛り上がりが大きく、これはカンヌ映画祭で受賞とまではいかなくとも、出品されたという形で作品に箔をつけていった宣伝効果が大きかったのではないかと語り、なにより吉沢、横浜という集客力や話題性のある役者を前面に押し出すメディア戦略が上手く世間とハマったのではないかと分析している[253][254]
  • 9月23日までの公開110日間で観客動員数1066万人、興行収入150億円を突破した[255]
  • 11月10日までの公開158日間で観客動員数1207万人、興行収入170億円を突破した。大ヒットに応える形で、入場者プレゼントとして11月15日より喜久雄のソロビジュアルと、喜久雄と俊介が並ぶポスタービジュアル2種類の特製ビジュアルステッカーの配布を行うこと、また監督の李相日・歌舞伎パートの監修・指導を務めた中村鴈治郎、中村壱太郎の3名による副音声ガイド上映の実施を発表した[256]
  • 11月24日までの公開172日間で173億7739万4500円となり、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』が『南極物語』を抜いた2003年8月20日以来、22年と97日(8133日)ぶりに実写日本映画興収1位を更新した[257][258]
  • 12月31日、松竹・東宝の両社による主催で大晦日特別上映会を歌舞伎座で開催し、同時に全国の映画館での同時生中継を行った[259][260]。当日は全国356館で同時生中継され、12月30日までの公開208日間で観客動員約1309万8000人、興行収入184.7億円を突破したことの報告と年明け1月16日からIMAX、1月23日からDolby Cinemaでの4Kアップコンバート版としての上映が決定したと発表され[261]市川染五郎市川團子が駆けつけ映画の大ヒットを祝福した[262]。東宝の映画が松竹の劇場で上映されるのは極めて異例とされており[注釈 1][264]、歌舞伎役者の娘[注釈 2]である寺島しのぶも「(松竹運営の施設で)東宝の映画を上映する奇跡が、私が生きている間に実現できたことは一生忘れない」と述べている[265]。また1月12日には、16日より入場者プレゼント第二弾として劇中の『二人藤娘』『二人道成寺』『鷺娘』の演目を切り取ったポストカード3種類を配布すると発表された[266]
  • 2026年2月1日には興行収入が197.6億円となり、『ハウルの動く城』を超えて歴代興行収入のトップ10に入った[267]
  • 2月15日までの公開255日間で観客動員数1415万2409人、興行収入が200億851万9000円となり、実写邦画史上初、実写映画全体で『タイタニック』『ハリー・ポッターと賢者の石』に次いで3作品目の200億円超え作品となった[268][269]。奇しくも71年前の1955年2月15日は、歌舞伎舞踊部門で歌舞伎界で初めて人間国宝となった七代目坂東三津五郎[270][271]ら30人が、文化財保護法第一次改正後初めて人間国宝(重要無形文化財保持者)として認定された日であった[272]
  • 3月8日には興行収入が203.4億円となり、2001年公開の『ハリー・ポッターと賢者の石』を超えて、『ONE PIECE FILM RED』に並ぶ歴代8位に浮上、『タイタニック』に次ぎ実写映画歴代2位となった[273]
『国宝』動員数・興行収入の推移
動員数
(万人)
興行収入
(億円)
出典・備考
週末 累計 週末 累計
1週目の週末
(2025年6月6日・7日・8日)
3位 24.5 24.5 3.5 3.5
2週目の週末
(6月13日・14日・15日)
2位 31.0 85.7 4.5 12.0
3週目の週末
(6月20日・21日・22日)
1位 34.8 152.8 5.2 21.5
4週目の週末
(6月27日・28日・29日)
41.2 231.8 6.1 32.7
5週目の週末
(7月4日・5日・6日)
44.0 319.0 6.5 44.8 4週連続で前週末の成績を超えるのは2000年以降の東宝配給作品の初。
6週目の週末
(7月11日・12日・13日)
40.5 398.2 6.0 56.1
7週目の週末
(7月18日・19日・20日)
2位 34.6 5.1 66.5 7月21日(祝日)まで累計興収68.5億円、動員486.6万人。
8週目の週末
(7月25日・26日・27日)
28.3 538.9 4.2 76.0 日本歴代興収ランキングでトップ100入り。
9週目の週末
(8月1日・2日・3日)
3位 30.9 604.8 4.4 85.0
10週目の週末
(8月8日・9日・10日)
5位 4.2 95.3 8月11日(祝日)まで累計興収95.3億円、動員677.3万人。
11週目の週末
(8月15日・16日・17日)
3位 36.5 747.3 5.4 105.4 公開71日間で興行収入100億円突破。邦画実写映画で歴代3位に[274]
12週目の週末
(8月22日・23日・24日)
2位 34.7 817.7 5.1 115.3 『南極物語』を抜き邦画実写歴代2位に[275]
13週目の週末
(8月29日・30日・31日)
3位 33.5 886.7 4.9 124.9
14週目の週末
(9月5日・6日・7日)
27.5 946.6 4.1 133.3 日本歴代興収ランキングでトップ30入り。
15週目の週末
(9月12日・13日・14日)
5位 3.9 141.1 9月15日(祝日)まで累計興収142.7億円、動員1013.6万人。
日本歴代興収ランキングでトップ20入り。
16週目の週末
(9月19日・20日・21日)
1050.8 2.9 148.1
17週目の週末
(9月26日・27日・28日)
1092.2 2.3 154.0 公開110日間で興行収入150億円突破。
18週目の週末
(10月3日・4日・5日)
3位 13.0 1122.1 1.9 158.2 日本歴代興収ランキングで歴代15位、邦画興収歴代10位。
19週目の週末
(10月10日・11日・12日)
4位 11.2 1.6 161.5 10月13日(祝日)まで累計興収162.3億円、動員1150.2万人。
20週目の週末
(10月17日・18日・19日)
7.8 1164.8 1.2 164.4
21週目の週末
(10月24日・25日・26日)
7位 1180.0 1.0 166.5
22週目の週末
(10月31日・11月1日・2日)
圏外 0.9 168.3 11月3日(祝日)まで累計興収168.7億円、動員1195.8万人。
23週目の週末
(11月7日・8日・9日)
0.9 170.2 11月10日(東宝創立記念日)まで累計興収170.4億円、動員1207.5万人。
24週目の週末
(11月14日・15日・16日)
9位 1217.5 0.8 171.8
25週目の週末
(11月21日・22日・23日)
7位 0.8 173.4 11月24日(振替休日)まで累計興収173.8億円、動員1231.2万人。
『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』を抜き邦画実写歴代1位に[276]
26週目の週末
(11月28日・29日・30日)
9位 1244.3 1.1 175.6
27週目の週末
(12月5日・6日・7日)
7位 1259.5 0.9 177.7
28週目の週末
(12月12日・13日・14日)
6位 1271.9 0.9 179.4
29週目の週末
(12月19日・20日・21日)
7位 1286.0 1.0 181.4
30週目の週末
(12月26日・27日・28日)
6位 1300 1.2 183.5
31週目の週末
(2026年1月2日・3日・4日)
4位 16.3 1336.8 2.4 188.6
32週目の週末
(1月9日・10日・11日)
5位 1.3 191.1 1月12日(祝日)まで累計興収191.7億円、動員1358.3万人。
33週目の週末
(1月16日・17日・18日)
2位 7.3 1370.6 1.2 193.5
34週目の週末
(1月23日・24日・25日)
6.9 1383.7 1.1 195.6
35週目の週末
(1月30日・31日・2月1日)
5位 1397.5 0.9 197.6 日本歴代興収ランキングでトップ10入り[277]
36週目の週末
(2月6日・7日・8日)
7位 1405.8 0.5 198.8
37週目の週末
(2月13日・14日・15日)
9位 1415.2 200.1 公開255日間で興行収入200億円突破。実写邦画史上初の200億円超え。
38週目の週末
(2月20日・21日・22日)
8位 0.7 201.5 2月23日(祝日)まで累計興収201.8億円、動員1427.6万人。
39週目の週末
(2月27日・28日・3月1日)
圏外 1434.4 0.5 202.7
40週目の週末
(3月6日・7日・8日)
1439.6 203.4
41週目の週末
(3月13日・14日・15日)
1445.4 204.2
42週目の週末
(3月20日・21日・22日)
1453.8 205.4
43週目の週末
(3月27日・28日・29日)
1459.8 206.2
44週目の週末
(4月3日・4日・5日)
45週目の週末
(4月10日・11日・12日)
207.2

受賞

脚注

外部リンク

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