テルル化ビスマス

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テルル化ビスマス
原子構造: 理想状態(左)と 双晶状態(右)
テルル化ビスマスの双晶の電子顕微鏡写真
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.013.760 ウィキデータを編集
EC番号
  • 215-135-2
UNII
性質
Bi2Te3
モル質量 800.76 g·mol−1
外観 灰色の粉末または灰色の金属結晶
密度 7.74 g/cm3[1]
融点 580 °C (1,076 °F; 853 K)[1]
不溶[1]
エタノールへの溶解度 不溶[1]
構造
三方晶系, hR15
R3m, No. 166[2]
a = 0.4395 nm, c = 3.044 nm
3
危険性
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 2: Intense or continued but not chronic exposure could cause temporary incapacitation or possible residual injury. E.g. chloroformFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
2
0
0
引火点 noncombustible[3]
NIOSH(米国の健康曝露限度):
TWA 15 mg/m3 (総量) TWA 5 mg/m3 (呼吸) (純粋)
none (硫化セレンを添加) [3]
TWA 10 mg/m3 (総量) TWA 5 mg/m3 (呼吸) (純粋) TWA 5 mg/m3 (硫化セレンを添加)[3]
N.D. (純粋、添加)[3]
安全データシート (SDS) Sigma-Aldrich
関連する物質
その他の
陰イオン
その他の
陽イオン
テルル化ヒ素
テルル化アンチモン
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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テルル化ビスマス(テルルかビスマス、英語: Bismuth tellurideBi
2
Te
3
)は、ビスマステルルからなる化合物であり、灰色の粉末で、テルル化ビスマス(III)とも呼ばれる。半導体であり、アンチモンまたはセレンとの合金は、ペルチェ効果を持つ素材として冷凍や携帯型発電用の効率的な熱電材料となる。Bi
2
Te
3
は、トポロジカル絶縁体であり、厚さに依存した物理的性質を示す。

テルル化ビスマスは、三方晶系単位格子を持つ層状のナローギャップ半導体である。価電子帯伝導帯の構造は、反射面を中心とする6つの一定エネルギーの楕円体からなる多楕円体モデルによって表される[4]Bi
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Te
3
は、隣接するテルル原子との間のファンデルワールス結合により、三方晶の軸に沿って容易に割れる。このため、発電や冷却に使われるテルル化ビスマスを含む素材は多結晶でなければならない。さらに、多量のBi
2
Te
3
のゼーベック係数は、室温付近で補正されるため、発電装置に用いられる素材はビスマス、アンチモン、テルル、セレンの合金でなければならない[5]

近年、研究者らはナノワイヤーや薄膜などを用いたBi
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Te
3
を含む素材の効率の向上を試みており、n型半導体テルル化ビスマスを用いた例では、ゼーベック係数(単位温度差あたりの電圧)が54℃において−287 μV/Kであることを示した[6]。しかし、ゼーベック係数と導電性はトレードオフにあり、高いゼーベック係数はキャリアの濃度を減らし、電気伝導率を下げることに留意しなければならない[7]

他のケースでは、テルル化ビスマスは1.1×105 S·m/m2という高い電気伝導率を示す一方で、1.20 W/(m·K)という極めて低い格子電気伝導率を示し、通常のガラスと同等であると報告されている[8]

トポロジカル絶縁体

テルル化ビスマスはよく研究されたトポロジカル絶縁体である。その物理的性質は、伝導性表面が露出し分離した状態の極薄層において変化することが示されており、これらの薄層はエピタキシー法や機械による剥離によって得られる。

分子線エピタキシー有機金属気相成長法などのエピタキシャル成長の方法は、Bi
2
Te
3
の薄層を得る一般的な方法である。このような方法によって得られた薄層の化学量論的組成は実験によって大きく変動するため、相対的な純度を決定するためにラマン分光法がしばしば用いられる。しかし、Bi
2
Te
3
の薄層は低い融点と低い放熱性により、ラマン分光法による測定が困難である[9]

Bi
2
Te
3
結晶構造は、三方晶の軸に沿った階列による薄層の機械的な剥離を可能にする。このプロセスはエピタキシャル成長に比べ収率が著しく低いものの、欠陥や不純物のない薄膜試料が得られ、多量のグラファイトからグラフェンを得るのと同様に、粘着テープによって行うことが可能である。この手順は1 nm.のBi
2
Te
3
フレークを得るのに用いられてきた[10]。しかし、この方法ではSi/SiO2基板上に粘着残留物が付着し、原子顕微鏡での測定を曖昧にし、試験用の基板上への接点の設置を阻害する。酸素プラズマや沸騰したアセトンイソプロピルアルコールといった一般的な洗浄方法ではこの残留物を効率的に落とすことができない[11]

産出と合成

Bi
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Te
3
鉱物は、やや希少なテルル蒼鉛鉱であるが[12][13]Bi
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Te
2
S(テトラジマイト、硫テルル蒼鉛鉱)といったBi-Te-S-(Se)系の化合物など、化学量論的に異なるテルル化ビスマスが自然に多く存在する。これらのテルル化ビスマスは、鉱物のテトラダイナマイトの一部である[14]

テルル化ビスマスは、ビスマスと金属テルルの混合粉末を真空の石英管で密閉(不十分な密閉や試料の漏洩は炉での爆発を引き起こすため密閉が必須)し、マッフル炉で800℃に熱することで得られる。

脚注

関連項目

外部リンク

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