酸化ゲルマニウムビスマス

From Wikipedia, the free encyclopedia

白色の塗料が塗布されたBGOのシンチレータ結晶
A crystal cylinder rests on a piece of white cloth, which itself sits on a blue surface of a table.
直径1インチ・高さ1インチのBGOの結晶。紫外線により変性するため、ここではノートパソコンの液晶の光を照射している。

酸化ゲルマニウムビスマス(さんかゲルマニウムビスマス、英語: Bismuth germanium oxide)またはゲルマニウム酸ビスマス(ゲルナミニウムさんビスマス、英語: Bismuth germanate)は、ビスマスゲルマニウム酸素からなる無機化合物である。ほとんどの場合、化学式Bi
4
Ge
3
O
12
BGOと呼ばれる)で表され、立方晶系結晶構造を持ち、シンチレータとして用いられる。(シレナイト構造をとり電気光学性を持つBi
12
GeO
20
や、Bi
2
Ge
3
O
9
を指す場合もある。)

Bi4Ge3O12は、立方晶系の結晶構造(a = 1.0513 nm, z = 4, ピアソン記号 cI76, 空間群 I43d No. 220)を持ち、密度は7.12 g/cm3である[1]X線またはガンマ線の照射により、375 nmから650 nmの波長を持つ光子を放出し、480 nmにおいて最大で吸収した高エネルギーのメガ電子ボルトあたり約8500個の光子を放出する。高い耐放射性(5.104 Gyまで安定)を持ち、高いシンチレーション効率や、5 MeVから20 MeVの高いエネルギー分解能、高い機械的強度が特徴的であり、吸湿性は無い。融点は1050 ℃で、最も一般的な酸化物系シンチレータである[2]

酸化ゲルマニウムビスマスは、素粒子物理学航空宇宙物理学、核医学、地質探査、その他の産業における検出器として用いられる。またガンマパルス分光法に用いられ、BGOの結晶はポジトロン断層法の検出器として用いられる。

市販の結晶はチョクラルスキー法で得られ、通常は直方体または円柱の形で供給される。大きな結晶も得ることができ、製造はたいてい1100 ℃、つまり融点よりも50 ℃高い温度で行われる[3]

Bi12GeO20

Bi12GeO20は立方晶系の結晶構造(a = 1.01454 nm, z = 2, ピアソン記号 cI66, 空間群 I23 No. 197)を持ち、密度は9.22 g/cm3である[4]。この酸化ゲルマニウムビスマスは、高い電気工学係数(3.3 pm/V for Bi12GeO20)を持ち[5]非線形光学においてポッケルスセルを作るのに有用であり、紫外線域のフォトリフラクティブ素材としても使われる。

Bi12GeO20の結晶は圧電性を持ち、強い電気光学効果と音響光学効果を持つ。また水晶発振器や表面弾性波装置など限られた分野で応用される[6]単結晶の棒および繊維は、ゾーンメルト法によって酸化ビスマス(III)と酸化ゲルマニウムの混合物から得られる[7]。結晶は透明で茶色を呈する[8]

BGOの結晶と、類似した混合物であるBSO(酸化ケイ素ビスマスBi12SiO20)やBTO(Bi12TiO20)は、いずれもフォトリフラクティブであり、光伝導体であり、BGOとBSOの結晶は、低い暗伝導性を持つ効率的な光伝導体として用いられる。電気光学的にも応用され、光学的なPROM、PRIZ空間光変調器、リアルタイムホログラム記録、相関器、超短波レーザーパルスの適応補正システムなどに使われるほか、電界・磁界用の光ファイバーセンサーとしても用いられる。導波管構造は広域なスペクトルの均一な照射を可能にする。スパッタリングなどで形成可能な薄膜のシレン石構造は、幅広い応用が期待されている。BSOの結晶は空間光変調器や液晶ライトバルブに用いられる[9]。BTOの光学的活性は、BGOとBSOのものよりもはるかに小さい[10]。やや性能が類似するペロブスカイトとは異なり、強誘電体ではない。

光フェーズドアレイ英語版においても有用である。

スパッタリング時には、ビスマスの蒸気圧により組成が化学量論に則らなくなるため、450 ℃未満に保つ必要がある。ただし、圧電性γ相を形成するためには、400℃以上である必要がある[11]

脚注

関連項目

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI