カンガルー装甲兵員輸送車
From Wikipedia, the free encyclopedia
第二次世界大戦中、イギリス軍やカナダ軍を始めとするイギリス連邦加盟国軍の機械化歩兵は、移動手段としてユニバーサル・キャリアやアメリカ製のM3ハーフトラックを主に使用していた。これらの車両は、不整地機動性や防御力においてトラックよりは勝っていたが、戦車に追従するには不充分なものであったうえに、ユニバーサル・キャリアは搭乗可能な歩兵人数が少なかった。そこで、旧式化した自走砲や砲塔を破壊された戦車の車体を改造して、元の砲塔や弾薬庫のあった部分に歩兵の搭乗スペースを設けた改造型の装甲兵員輸送車が開発された。
構造としては単純に元になった戦車および自走砲から砲塔もしくは砲を外し、車内に兵員用の簡易座席を設置したもので、兵員の乗り降りは元々砲塔が設置されていた部分や戦闘室後部から行われる。特にハッチなどは装備されていないため、兵員室は上面開放の露天式で、航空機からの機銃掃射や野戦砲の上空炸裂のような上方からの攻撃には無力である。車体側面に乗降ハッチを増設するといった改造は行われていないため、乗降も決して楽なものではなく、基が戦車のカンガルーの場合、砲塔があった開口部から外に出た兵士たちは、素早く展開するには車体上から飛び降りるしかなかった。
このように、カンガルーはあくまでも余剰品を転用した暫定的な存在であり、実用的な面では不十分な点も多かったが、戦車を基にしたものは装甲が厚く、車体機銃がそのまま残されているために露天式銃座を持つハーフトラックなどに比べると乗員への防護力は高かった。また、戦車に楽に随伴できる機動性の高さ、エンジンやトランスミッションなどを共用可能な整備性の高さは魅力であった。

