シャルル=ピエール・ペクール夫人の肖像
From Wikipedia, the free encyclopedia
| フランス語: Portrait de Geneviève Jacqueline Pécoul 英語: Portrait of Madame Charles-Pierre Pecoul | |
| 作者 | ジャック=ルイ・ダヴィッド |
|---|---|
| 製作年 | 1784年 |
| 素材 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 92.5 cm × 72 cm (36.4 in × 28 in) |
| 所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
『シャルル・ピエール・ペクール夫人の肖像』(シャルル・ピエール・ペクールふじんのしょうぞう、英: Portrait of Madame Charles-Pierre Pecoul)[1]、または『ジュヌヴィエーヴ・ジャックリーヌ・ペクールの肖像』(ジュヌヴィエーヴ・ジャックリーヌ・ペクールのしょうぞう、仏: Portrait de Geneviève Jacqueline Pécoul)[2]は、フランスの新古典主義の巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッドがキャンバス上に油彩で制作した絵画である。彼の2度目のイタリア旅行の直前にあたる1784年に描かれた[1]。画面下部左側に「J.L.David. 1784.」という画家の署名と制作年が記されている[1][2]。作品は1844年に購入されて以来、パリのルーヴル美術館に所蔵されている[1][2]。

この肖像画は、モデルの女性ジュヌヴィエーヴ・ジャックリーヌ・ペクール (1726年ごろ-1794年) の夫を描いた『シャルル=ピエール・ペクールの肖像』 (ルーヴル美術館、パリ) [3]と対をなす[1]。ペクール夫人はダヴィッドの義理の母であった。彼女は有名な建築家一族の出身で、1773年に4人の子持ちであった王室営繕局の請負業者シャルル・ピエール・ペクールと再婚した。彼女は、娘マルグリットとその婿ダヴィッドを絶えず暖かく見守った女性である[1]。
画面には、寛いだ姿のペクール夫人が描かれている。背景はごく軽い筆触で賦彩されているだけで、何も描かれていない。フランス革命前に流行したボンネットや膨らんだ髪の毛に見られるような描写は非常に細かになされているが、特に肌、赤みを帯びた顔、光り輝く突き出た額、潤んだ瞳、柔らかく、ふくよかな手の表現は注目すべきものである[1]。
こうした肖像画に真実味を与える表現は、ダヴィッド以前にはジャン=バティスト・グルーズを除いて誰もできなかった[1]。ダヴィッドの理想化された作品と同様、肖像画から立ち現れてくる現実性への志向は、ダヴィッド芸術の基本的なものの1つとなっている[1]。1793年に彼自身がまとめた自伝ノートで、彼は、木や蝋で作られ、服を着せられた人形を使って人物を描くことより、生きた人間のモデルの方がずっとよいのだと主張し、「歴史画家は肖像に関わる場合、そこに人形に欠けている生命を吹き込むということである」と記している[1]。