AlmaLinux

オープンソースのオペレーティングシステム From Wikipedia, the free encyclopedia

AlmaLinuxは、AlmaLinux OS Foundationによって開発されている、FOSSLinuxディストリビューションである。501(c)団体である同財団が、コミュニティ主導で本番環境向けのエンタープライズオペレーティングシステムを提供するために開発しており、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)とバイナリ互換性英語版を持つ。ディストリビューション名はスペイン語や他のラテン系言語で「魂」を意味する「alma」に由来しており、Linuxコミュニティへの敬意を表するために選ばれた[1]

開発者 AlmaLinux OS Foundation
プログラミング言語 C(カーネル)
OSの系統 Unix系, Linux, RHEL
開発状況 開発中
概要 開発者, プログラミング言語 ...
AlmaLinux
AlmaLinux 10.0のデフォルトデスクトップ(GNOME 47)
開発者 AlmaLinux OS Foundation
プログラミング言語 C(カーネル)
OSの系統 Unix系, Linux, RHEL
開発状況 開発中
ソースモデル オープンソース
初版 2021年3月30日 (4年前) (2021-03-30)
最新安定版
10:10.0 / 2025年5月27日 (9か月前) (2025-05-27)
9:9.6 / 2025年5月20日 (9か月前) (2025-05-20)
8:8.10 / 2024年5月28日 (21か月前) (2024-05-28)
リポジトリ repo.almalinux.org/almalinux/
対象市場 サーバ, デスクトップパソコン, ワークステーション, スーパーコンピュータ
使用できる言語 2以上言語[設定]により日本語環境への更新が可能。
言語の一覧
日本語・英語など。
アップデート方式 DNF
パッケージ管理 RPM
プラットフォーム x86-64, AArch64, ppc64le, s390x
カーネル種別 モノリシック (Linux)
ユーザランド GNU
既定のUI GNOME Shell, Bash
ライセンス GPLv2、他
先行品 CentOS
ウェブサイト almalinux.org
サポート状況
サポート中
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AlmaLinuxの最初の安定版リリースは2021年3月30日に公開され[2]、2029年3月1日までサポートされる予定である[3]。AlmaLinuxは、AlmaLinux Build System(ALBS)と呼ばれるカスタマイズされたビルドシステムを用いて、公開され再現可能な手法でビルドされており、そのソースコードもディストリビューション本体と同様に公開され、オープンソースライセンスの下で配布されている。

歴史

2020年12月8日、レッドハットは、商用のRed Hat Enterprise Linux (RHEL) の無償ダウンストリームフォークであるCentOSの開発を中止、その公式サポートを早期に打ち切り、CentOS Streamに注力することを発表した。CentOS Streamはマイナーリリースのない安定したLTSリリースであり、RHELへのアップデートに含める予定の内容を事前に公開するためにRed Hatが公式に使用していた[4][5][6]

これに対し、独自の商用LinuxディストリビューションであるCloudLinux OSを開発しているCloudLinuxは、CentOS Linuxのコミュニティによる精神的後継としてAlmaLinuxを支援することを発表し[7]、RHELの現行バージョンとのバイナリ互換性英語版を目指した[8]。AlmaLinuxのベータ版は2021年2月1日に初めてリリースされ[9]、最初の安定版は2021年3月30日に公開された[2]。AlmaLinux 8.xは2029年までサポートされる予定である[10]ARMAWSエクイニクスマイクロソフトなど多数の企業もAlmaLinuxを支持している[11]。2021年3月30日、CloudLinuxからAlmaLinuxの開発とガバナンスを引き継ぐため、AlmaLinux OS Foundationが501(c)団体として設立され、CloudLinuxはこのプロジェクトに対して年間100万ドルの資金提供を約束した[12]

2022年6月20日、AlmaLinux 8.6のリリースに続いて、AlmaLinux OS FoundationはAlmaLinux Build System (ALBS) をリリースした[13]

2022年9月、AlmaLinux OS Foundationは初の選挙を実施し[14]、9月19日にはコミュニティにより選出された7人の理事を発表した[15]。選挙の直後、CloudLinuxのCEOで当時理事長であったイゴール・セレツキーが、AlmaLinuxをコミュニティ主導のオペレーティングシステムとして継続させるために辞任することを発表し[16]、理事会は新たな理事長としてベニー・バスケスを選出した[17]

2022年12月7日、CERNフェルミ国立加速器研究所が、実験における標準オペレーティングシステムとしてAlmaLinuxを提供することが発表された[18]

2023年5月22日、日本発のLinuxディストリビューションであるMIRACLE LINUXは、AlmaLinuxへの参画及びCloudLinuxとの協業を発表した。そして、サイバートラストが開発するMIRACLE LINUXは次期バージョン(つまり10)からAlma Linuxに合流する方向性も明らかにした。2023年5月時点で、サイバートラストでMIRACLE LINUXの開発を行っているエンジニアはAlma Linuxの開発者コミュニティーに参加している[19][20][21]

2023年6月21日にRed Hatがコードに新たな制限を加えることを発表してから3週間後[22]、AlmaLinuxはブログ投稿にて、AlmaLinux OS Foundationの理事会はRHELとの1:1互換という目標を放棄し、代わりにRHELとバイナリ互換を目指すことを発表した[23]

2023年9月、同財団は理事会を拡大することを発表した[24]。同年12月にはAlmaLinux OS Foundationが2回目の選挙を実施し、CERNのアレハンドロ・イリバレンとサイバートラストの吉田淳が理事会に加わることを発表した[25]

プロジェクトELevate

2021年9月、AlmaLinuxプロジェクトは、エンタープライズLinuxディストリビューションのメジャーバージョン間でインプレースアップグレードを可能にするツール「ELevate」を発表した[26]。ELevateはディストリビューションに依存しない方法で開発されており、AlmaLinuxだけでなくエコシステム全体のためのツールとして開発されている。ELevateは他のディストリビューションとの相互の移行をサポートしており、誰もが貢献し拡張できるよう開かれている[27]。2024年1月にこのツールは追加のリポジトリのサポートを含むように拡張され[28]、2024年4月にはCentOS 6からCentOS 7へのアップグレードをサポートするようになり、一部のユーザーがCentOS 6から任意のエンタープライズLinuxバージョン9へインプレースアップグレードできるようになった[29]

ビルドシステム

AlmaLinux Build System (ALBS) の図解

AlmaLinux Build System(通称「ALBS」)は、AlmaLinuxのビルドシステムである。初めて使用されたのはバージョン8.6(Sky Tiger)のリリース時であり、x86-64AArch64ppc64S390xアーキテクチャ向けのビルドを自動化する機能を備えている。ALBSは、Gitサービス、リリースシステム、署名サーバ、テストシステム、ビルドノードの5つのコンポーネントから構成される。これらの各コンポーネントは「マスターサービス」と呼ばれる包括的なコンポーネントによって管理されており、このマスターサービスは独自のAPIを介して制御されることを想定している。

Gitサービス

AlmaLinuxのソースコードは、Red Hat Enterprise Linuxを構成するソフトウェアパッケージGitリポジトリから直接取得される。既存リポジトリへの変更や新規リポジトリの追加を監視する「リスナー」を用いて、AlmaLinux Gitサービスはソースコードを独自の公開Giteaサーバインスタンスに取得する。この公開サーバのウェブインターフェースでは、各パッケージのビルドパイプラインも閲覧できる。さらに、このサービスはAPIを公開しており、他のALBSコンポーネントがリポジトリを直接利用できるようになっている。

ビルドノード

マスターサービスと連携して、ビルドノードはGitリポジトリに保存されたソースコードをコンパイルし、ディストリビューションのインストールプロセスで使用できるRPMパッケージを生成する役割を担う。ビルドプロセスのアーティファクトとして生成されたこれらのパッケージは、さらに処理するために専用のストレージに保存される。

テストシステム

AlmaLinux Test System(ALTS)は、ビルド成果物として存在するRPMパッケージをテストする。コンテナ化英語版技術を用いて、各パッケージにはテストスイート英語版を実行できる専用の環境が与えられる。

リリースシステムと署名サーバ

整合性を確保するため、AlmaLinuxディストリビューション向けにリリースされる各ソフトウェアパッケージは、Pretty Good Privacy(PGP)暗号アルゴリズムを用いて署名される。署名サーバは、ビルドノードで作成された成果物を受け取り、署名を行い、それを成果物ストレージに戻す。リリースシステムはそれらをリリースリポジトリにアップロードする。

AlmaLinux OS KittenとAlmaLinuxビルドパイプライン

2023年6月にレッドハットがソースコードの公開方針を変更する以前、AlmaLinuxはレッドハットが提供する公開ソースを用いてRHELを再ビルドしていた。AlmaLinuxはRHEL互換を維持することに注力する方針へと転換した後、翌月にはZenbleed向けパッチを提供し、バグやセキュリティ欠陥の修正をレッドハットより先に公開した[30]。さらに2023年5月には、RHELの同等リリースで無効化されていたハードウェアサポートを再有効化することで、AlmaLinux 8.10[31]および9.4[30]リリースにおいてレッドハットとの差別化をさらに進めた。

2024年10月、AlmaLinuxプロジェクトはAlmaLinux OS Kittenを発表した[32]。「今年初め、我々はAlmaLinux OS 10向けにインフラとビルドパイプラインを整備し、CentOS Stream 10のコードを用いたテストを開始した。この準備作業に基づき、我々はAlmaLinux OS 10のプレビュー版のビルドに成功したことを共有できることに興奮している。このプレビュー版をAlmaLinux OS Kitten 10と呼んでいる。」[32] Kitten 10のリリースでは、IBM POWER向けのKVMサポートやSPICE英語版サポートなど、AlmaLinuxがコミュニティ向けに追加している機能も示された。

12月、AlmaLinuxはAlmaLinux OS 10 betaを発表した。これはこれらの機能をすべて含んでいたが、CentOS Streamではなくレッドハットのソフトウェアバージョンに従っているため、Kittenとは異なるものであった。「注意深いAlmaLinuxユーザーは、AlmaLinux OS Kitten 10に含まれるソフトウェアのいくつかのバージョンが、AlmaLinux 10 betaリリースに含まれるものよりも新しいことに気付くだろう。これはKittenがCentOS Streamに基づいており、AlmaLinux 10がレッドハット10のリリースバージョンに従っているためである。KittenがBETA版で提供されるものとまったく同一である、あるいはそうなると予期すべきではない。」[33]

リリース

RHELのリリースの数日後にリリースされるケースが多い。

セキュリティサポート期限はバージョン8系が2029年5月1日、バージョン9系が2032年5月31日となっている[34]

さらに見る バージョン, コードネーム ...
バージョン コードネーム アーキテクチャ RHEL ベース カーネル AlmaLinux リリース日 RHEL リリース日 遅延(日)
サポート終了:8.3 Purple Manul x86-64 8.3 4.18.0-240 2021-03-30[2] 2020-11-03[35] 147 / 110 *
サポート終了:8.4 Electric Cheetah x86-64, ARM64 8.4 4.18.0-305 2021-05-26[36] 2021-05-18[35] 8
サポート終了:8.5 Arctic Sphynx x86-64, ARM64, ppc64le 8.5 4.18.0-348 2021-11-12,[37] 2022-02-25[38] 2021-11-09[35] 3
サポート終了:8.6 Sky Tiger x86-64, ARM64, ppc64le, s390x 8.6 4.18.0-372 2022-05-12[39] 2022-05-10[35] 2
サポート終了:8.7 Stone Smilodon 8.7 4.18.0-425 2022-11-10[40] 2022-11-09[35] 1
サポート終了:8.8 Sapphire Caracal 8.8 4.18.0-477 2023-05-18[41] 2023-05-16[35] 1
サポート終了:8.9 Midnight Oncilla 8.9 4.18.0-513 2023-11-21[42] 2023-11-14[35] 7
サポート中:8.10 Cerulean Leopard 8.10 4.18.0-553 2024-05-28[43] 2024-05-22[35] 6
サポート終了:9.0 Emerald Puma 9.0 5.14.0-70.13.1 2022-05-26[44] 2022-05-17[35] 9
サポート終了:9.1 Lime Lynx 9.1 5.14.0-162.6.1 2022-11-16[45] 2022-11-15[35] 1
サポート終了:9.2 Turquoise Kodkod 9.2 5.14.0-284.11.1 2023-05-10[46] 2023-05-10[35] 0
サポート終了:9.3 Shamrock Pampas Cat 9.3 5.14.0-362.11.1 2023-11-13[47] 2023-11-07[35] 6
サポート終了:9.4 Seafoam Ocelot 9.4 5.14.0-427.13.1 2024-05-06[48] 2024-04-30[35] 6
サポート終了:9.5 Teal Serval 9.5 5.14.0-503.11.1 2024-11-18[49] 2024-11-13[35] 5
サポート中:9.6 Sage Margay 9.6 5.14.0-570.12.1 2025-05-20[50] 2025-05-20[35] 0
現行バージョン:10.0 Purple Lion 10.0 6.12.0-55.9.1 2025-05-27[51] 2025-05-13[35] 14
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関連項目

参考文献

外部リンク

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