雷火
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『雷火』(らいか)は、原作・寺島優、作画・藤原カムイによる日本の漫画作品。スコラの漫画雑誌『コミックバーガー』において1987年(昭和62年)5月26日号から1996年(平成8年)4月号まで、雑誌名の変更後の『コミックバーズ』において1996年(平成8年)7月号から1997年(平成9年)10月号まで連載された。
ほぼ同時期に連載されていた『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』と並んで、藤原カムイの代表作のひとつ。
子供の頃から『サスケ』が好きで、忍者ものを描いてみたい、それも普通の忍者ものではなく『赤々丸』や『綿の国星』のように猫を使ってみたいと、ずっと考えていた藤原カムイは打ち合わせの時に「忍者ものを描きたい」と提案[1]。原作者の寺島優からは邪馬台国を舞台にした忍者漫画という、まさかの意外な提案をされ、猫は出てこないものの誰もやったことのない設定だったため、非常に魅力を感じると同時に有史以前の話ということもあり、史実に縛られずに自由に描くことができ、かなり豪快な内容になった[1]。
寺島優の原作に作画で応える形式でやり取りが続き、原作者と作画家の良い化学反応を起こせた作品だと藤原カムイは語っている[1]。漫画に登場する和人の文化について藤原カムイは、三世紀の日本列島には昭和の時点の人々が想像しているよりも海外から多くの文化が入ってきていたと寺島優ともども考えていたことから、それなりに発展しているという設定にしたため、話の内容を大きく飛躍させることができたと語っている[1]。登場人物がまとう装束についても、三世紀に入手できるもので何が作れるかを考え、想像力を働かせて描いたと語っている[1]。
あらすじ
紀元三世紀頃、倭の国の中心都市である邪馬台国は、女王・卑弥呼を擁立し、彼女と魏の国より迎えた
そんな折、邪馬台国の近く、熊木山に住む孤児たちの一員で神仙術の使い手であるライカ、オタジ、ウツキはある日、山の中で不思議な少女を目にする。少女の名は壱与。邪馬台国次期女王候補の巫女であった。後にその出会いはライカに強く、国というものの在り方を意識させることになる。その後、壱与に心を奪われたライカは邪馬台国へ侵入したが、張政たち魏の人間の策略にはまり、女王である卑弥呼殺しの罪を着せられる。卑弥呼を暗殺した張政は魏の権威を利用し、自分に抵抗する力を持たない壱与を女王に即位させることにより、張政自身が邪馬台国を支配し、魏の属国にしようと企んでいた。
徐々に明らかになっていく張政の謀略。壱与を中心とした張政とライカ達の戦いは、隣国をも巻き込む戦となっていく。張政が魏の国から呼び寄せた七人衆も加わった戦いの末、張政は
登場人物
熊鬼山
- ライカ
- 主人公。山中で助けた壱与に惚れ、助けようとするうちに邪馬台国という国そのものに興味を持ち始める。ライカ、オタジ、ウツキの三名は熊鬼山の三羽烏と名乗ることがあり、三名のリーダー格で自己主張が強い。優れた神仙術の使い手で、あらゆる技を使いこなす。瞳孔には、生まれながらにして大王に導かれる運命を持つという伝説の
帝星 ()がある。黒い髪は真っ直ぐに伸びた直毛の短髪で、本気で怒ると髪が逆立ち全身から電撃を発生させるため、敵にはカミナリ頭の小童 ()と呼ばれることもある。 - 十五年から十六年ほど前[注 4]の雷が鳴る雨の夜、狗奴国の国章が小さく施された産着に包まれ捨てられているところを、老師に拾われ育てられる。中盤で、実は邪馬台国の敵国である狗奴国の
皇子 ()であることや、雷鳴と共に産声を上げたカミナリ頭の赤子は災いを呼ぶ邪鬼の卦がありと、巫女の占いにより警告されたことが理由で、長老の一人により生まれてすぐ山に捨てられた捨て子であることが判明。 - クコチヒコが率いる砦では、御神体であり一族の首長の証である
鉄 ()の神剣を与えられ、宙に浮いた神剣は自らライカの手の中に納まり、クコチヒコらも仲間となり共に旅立つ。狗奴国では、王になるための儀式「五房の行 ()」も突破し、その際に飛び出した宇宙空間では謎の声から宇宙の大王 ()になる宿命にあることを告げられ、それまでの能力を凌駕する力や精神を獲得して、毒への耐性も付く。地上に帰還し、清々しく落ち着いた表情と謙虚さを見せるライカを目にした狗奴国の長老たちは、狗奴国の王では到底収まらない器である「神鳴り ()」にライカがなったと狗奴国王・ヒメキコソに説明する。 - 終盤では、地の龍と一体化した張政と戦う力を得るため、互いに全裸になり
神仙石 ()を胸の上に置いた壱与と正常位で交合う ()儀式を行うことで、天の龍と一体化。髪は逆立ち、額には龍の形をした淡く光る模様が浮かび上がる。落雷、嵐、吹雪、マグマを利用した炎の竜巻、流星で攻撃するライカに対し、地の龍は天の龍の力を吸収する特性を持つため張政が優勢となるも、ライカは宇宙から得た無限の力を放出。その力を吸収して貯め込み過ぎた張政は身体が崩壊し、落雷の集中砲火で止めを刺され消滅。邪馬台国と狗奴国がひとつになった倭の国の大王となったライカは、外の国の人間や文化を積極的に受け入れ、身分格差の無い国造りを目指す。 - オタジ
- ライカの幼馴染の孤児。神仙術の使い手。一時の感情に流されやすくそれが危機を招くこともあるが、明朗快活な性格。物語序盤は柄が動物の骨になっている剣を使用した。
- 物語序盤でのキジノヒコとの戦いで、左腕を失ったことがハンデキャップとならない実力を持ち、ライカと共に老師の下を離れ山から旅立ち共闘する。
- ウツキ
- ライカの幼馴染の孤児。神仙術の使い手。冷静沈着でライカの良き相談相手でもある。ライカの生き方に彼の器の大きさを見出し付いていくことを決意し、共に山を降りる。狗奴国でオタジをかばい捕まった時に、キジノヒコによって受けた拷問により失明するが、その後の修練により聴覚や嗅覚が研ぎ澄まされ蝶の羽ばたきさえ感じることが出来るようになり、まるで座頭市のように戦うこともできるようになった。
- 老師
- 熊鬼山に住む神仙術の達人。孤児を集めて育て、神仙術を教えている。大陸から渡ってきた渡来人であり、神仙術以外にも様々な事柄に精通している。山を下りようとするライカたちと対立するが、ライカの出自を知っており出ていきやすいように、お膳立てしていた模様。その後も、陰に日向にライカたちを手助けし、海を渡り朝鮮半島の中国大陸と倭の国を結ぶ要所である帯方郡で、張政の企みを突き止め張政の父親が隠していた古文書を発見して急遽邪馬台国へ戻るが、ライカを庇ってイキナメに刺され大量出血により精そのものが衰弱したことで、壱与による傷を癒す気の力も効かず亡くなる。地の龍と一体化した張政に勝つためライカが天の龍と一体化する方法が記された古文書を、こと切れる寸前に壱与へ託した。
- カマキ
- 熊鬼山の孤児の一人。顔には、左目を覆うように包帯のような布を巻いている。ライカたちと同年代だが、つるむことは少なかったようで山を下りると言い出した三人に反発する。老師が張政を調べるために海を渡る際にも同行しており、朝鮮半島の帯方郡への行き来もカマキが櫂を漕ぎ高速走行させた小舟で海を渡った。張政との戦いが終わった後、ライカたちが戦死者を弔っている場に孤児たちを連れて現れ、花を手向ける。
邪馬台国
物語序盤において、投馬国王たちの反乱と女王の不在を知った狗奴国から侵攻されかけたことで、邪馬台国を難攻不落の都にしようと、張政が魏の国の帝に要請し呼び寄せた総勢160名[注 5]の
邪馬台国の生口はほとんどが、数百年前に大陸の大王が一人の男に、倭の国へ行って不老不死の仙薬を探してこいと命じ、船と数千人の子供たちを与えたが、いくら探しても仙薬は見つからず、そのまま倭の国に住み着いた男や子供たちの子孫である。
なお、本作品中では邪馬台国の位置については後の甘木市付近としている[2]。
壱与 ()- 十三歳の巫女で、物語序盤では卑弥呼の後を継ぐ邪馬台国の次期女王。神がかりの一種であり、自己催眠によって予知や占いを行う鬼道の修業に励む。卑弥呼を越える巫女としての力を持っており、卑弥呼に嫉妬されていた。山中でライカに助けられてから、互いに強く意識し合うようになる。
- 巫女の術や仲間の危機を感じ取る能力、傷を癒す力、気による攻撃の発勁も有している。邪馬台国の人間全てに平等に接する心優しい人物。邪馬台国の民を思いやり女王の地位に就くが、自らを利用する張政に反乱を起こすも捕らえられ、一時は正気を失う。ライカらに救出され、終盤では天の龍をライカと一体化させるため、胸の上に神仙石を置きながらライカと正常位で交合う儀式を行い、処女を失ったため巫女の力を失う。その後も、宇宙空間で張政と戦うライカに、地上から念話で語りかけ助言した。
- キジノヒコ
- 物語序盤では、邪馬台国で女王を守る親衛隊長。親衛隊長だが、装備は一般兵と変わらない。神仙術の使い手で、オタジの左腕を切り落とす腕前を持つ。序盤は、成り上がるために壱与を利用しようとして拒絶され、強姦しようとするも張政と出くわし未遂に終わる。邪馬台国に反旗を翻すも失敗して逃亡。
- 壱与に好意を持っていたが、邪馬台国を逃亡する中で助けられた夜美と後に男女の関係になる。ライカ達と敵対し、狗奴国に捕らわれたウツキに対しては容赦のない拷問を行い瀕死の重傷を負わせるが、狗奴国の兵士となり終盤では頼りになる仲間として活躍する。剣術、飛び道具のほかに、多節棍を用いた棒術を使う。張政との戦いにおいてオタジをかばい負傷した後、張政に飛び掛かり抱きついて自爆し命を落とす。
- キバ
- 壱与の飼っている狼。親子二代に渡って壱与のために働く忍狼[注 7]であり、魏の国の神仙術の使い手と同等の身体能力、術を持つ。どちらも群れのリーダーで多くの仲間がおり、体毛は銀色で眉間に白い星印の模様がある。
- 父親のキバは、壱与に託された使命を果たすためにイキナメと戦い、仲間の忍狼を殺されるも使命を達成した後に絶命。
- 息子のキバは幼い頃、民を思い女王として邪馬台国へ戻った直後の壱与に、母親の狼に連れられ初対面して懐く。魏での政変を張政が知った時点では、身体は大人の大きさに成長し鞠でボール遊びをするほど壱与に懐く。壱与に代わり張政への対抗勢力へ連絡を取りつつ、ワタハタ、シン、ムジンの三名とそれぞれ互角に渡り合い、ユンとムジンを抹殺する実力を発揮した。
- タキ
- 卑弥呼の墓に、殉葬者として嫌がる父親を生きたまま埋められ亡くした生口の少年。張政を怨み、壱与の女王就任式で投石した後、投馬国王らの反乱で洞窟に避難した張政を短剣で殺そうとし、それが原因で母親も殺され家族を失う。ライカたちの仲間になり、神仙術を徐々に習得していく。キクナを襲う熊の頭部を剣で刺して倒し、キクナと心を通わせるも山童を討伐する際にキクナも失い、自分の無力を痛感したことでライカ達に師事を求め、徐々に心身を成長させる。クコチヒコからは、キクナが使用していた鉄の剣も譲り受けた。
- ダナン
- 物語序盤では、生口の頭。生口たちに非情な扱いをする張政のやり方に我慢ならず、一揆を企てた中心人物。失敗し逃げる道中において、太った体格をした怪力の妻をニキメが率いる追手から弓矢で殺されるも、四人の子供と狗奴国まで辿り着き、ライカと共に邪馬台国での戦いに参加。
- ナシメ
- 物語序盤では、邪馬台国の長官である重臣。張政の方針に疑問を抱き、それ故に役職をすべて解かれてしまう。壱与、ダナンらと反乱を起こすが張政に敗れ、牢屋に入れられ張政にかけられた術で一時は正気を失う。張政に従っていたニキメに助けられてからは、ライカの同士となり国造りのため働く。
- ニキメ
- 中盤までは、張政に従っている重臣。伊都国王でもある。張政のやり方を信じて従いナシメを目の敵にしていたが、不条理な命令を出す張政に疑問を持ち、邪馬台国を乗っ取り魏の国の出身者で支配しようとする張政の企みに気付いてからは、牢屋の中のナシメを必死で看病し救出。以降、ライカの同士となり国造りのため働く。
卑弥呼 ()- 祭事が政治である邪馬台国の、絶対的な権力を持つ女王であり巫女。自分より能力のある壱与に嫉妬している。老齢で病を患い、薬と偽った毒を張政に与えられ徐々に弱っており、張政の計画のためイキナメに刺し殺される。終盤、張政を地の龍と一体化させる儀式のために、イキナメによってミイラ状態で蘇る。儀式が成功した際に発生した衝撃波により、身体が崩壊した。
投馬国王 ()- 邪馬台国に属する国の一つである、投馬国の王。がっしりした体格をしている。張政が魏の国の出身者で邪馬台国を乗っ取ろうとしていることを見抜き、壱与の女王就任式でキジノヒコらと密かに張政を殺し、邪馬台国の支配者になろうと事前に計画。だが当日、タキの投石で計画は失敗して投馬国軍は全滅し、邪馬台国の兵士らに大量の矢を射られ、張政に刎ねられた首は見せしめのためのざらしにされた。死後、張政の命令により一族は全員、磔にされて竹槍で刺し殺され、投馬国軍の残党も皆殺しにされた。
- カマチ
- 宮殿内に所属する男で、反乱を起こそうとするダナンと壱与との連絡を繋いだ人物。ワタハタに襲われた際、自ら舌を噛み切り絶命。
- ヒガキ
- 邪馬台国の抱える兵士軍の分隊隊長。アーチ状の冠を被っている。不穏な動きを見せる魏の人間たちを苦々しく思っており、倭の国としての邪馬台国に忠義を誓う。邪馬台国を乗っ取ろうとする、張政ら魏の国から来た者たちの企みに気付き、張政を倒さねばと部下に話していたところをシンに聞かれ、倒されたうえにワタハタから部下ともども血を吸われ絶命。
- タマキ
- 邪馬台国で洗濯を行う身分の低い者であったが、張政が壱与を監視させるために抜擢し、お付として新しい女官に任命した女性。自分の美貌と地位を特権に、周囲に威張り散らす。夜美が捕まった時は自ら拷問するなど、苛烈な性格。最期は、キジノヒコや夜美と戦っていた張政から、煙幕により見間違われて投げつけられた剣が心臓に刺さり、それを怨み殺害しようと刺された剣で、夜美とタキから組み伏せられていた張政の胸部を三度刺し、満足しながら力尽き絶命。結果的に、張政には致命傷を与えられなかった。
巨大蜥蜴 ()- 邪馬台国の巨大な地下洞で遭遇した、人間を丸呑みできるほど巨大なトカゲ。俊敏で跳躍力もあり、長い舌で人間を捕まえ噛み砕いて飲み込む。皮膚には、鉄のクナイも刺さらない。ライカたちとの戦いにおいて、鉄の剣で尻尾を切断されて左目にクナイを刺され、最期はライカに口から飛び込まれ、体内から神剣で腹を縦に切り裂かれた。死後は体から毒煙を発生させ、ライカらは巨大蜥蜴を洞窟の番兵だったのではないかと推測した。
魏の国
張政 ()- 魏の国から邪馬台国に派遣され[注 10]、帯方郡の塞曹掾史に就任し外交官と軍事顧問のような役割を担う。自分の地位を用い、内部の役職から徐々に魏の人間で固めることで、邪馬台国を魏の国の属国にするよう命じられていたが、それすら上回る陰謀を企てている。左目は、投馬国王らによる反乱の際、ライカとの戦闘でクナイが刺さったことで失い、その後は黒い眼帯をしている。魏の国で政変が起こり滅亡寸前となったことを密かに知らされた後は、イキナメら公孫七人衆を手駒に、より強引な手段をとる。自分の部下すら人とも思わない、残虐で冷酷かつ無慈悲な性格。高い身体能力、神仙術、強力な発勁を持ち、陰謀を妨げるライカ達を屠ろうとする。
- 被支配階級の農民だった若い頃には、国に反乱を起こし敗れ致命傷を負うが、逃げ込んだ洞窟の中で張政の父親である
張敞 ()が偶然発見した不思議な石から発する光により、傷が瞬時に完治。その石は、中に天の龍と地の龍が眠っている石で始皇帝が封禅の儀により、その超力 ()を得て神となり天下に君臨し、秦が滅びる際には皇帝がいつか再び天下に君臨する日を夢見つつ、その二匹の龍を閉じ込め封印したという神仙石であり、石は張政の父親から砕かれるも瞬時に修復する。神仙石から天の龍と地の龍の超力を取り出せるのは、高い霊力を持った超一流の巫女だけだが、魏の国には最早そのような巫女はおらず、父親ともども身分を偽り官吏になりすましてから十数年後、卑弥呼の力でいずれ機を見て超力を取り出そうと企み倭の国へ赴任。その際、神仙石を魏の国の金印に偽装する。 - 終盤では、邪馬台国の巨大な地下洞に建設させた大霊殿において、イキナメに死体となった卑弥呼をミイラ状態で蘇らせたうえ思念呪操で精神を操らせ、神仙石を使い行った儀式により地の龍と一体化。結んでいた髪は解け、左目は眼帯が外れ白目の状態で露出。肉体は鉄よりも強靭になりキジノヒコの自爆も効かず、神の如き力で強力な念力を発し物体を自在に動かしたり攻撃を弾くほか、火山を噴火させ溶岩を操ったり大地震を発生させ、邪馬台国を破壊する。天の龍と一体化したライカとの戦いでは、天の龍の超力を吸収する特性を持つ地の龍により攻撃を受けるたび身体は巨大になっていくが、敗北して消滅し塵になった。残された神仙石は蛇が飲み込み、いずこかへ去る。
- イキナメ
- 張政に従って邪馬台国に渡った側近。張政の右腕として働き、幾度にも渡ってライカたちと闘うことになる。神仙術の使い手で、蘇生や召喚、精神操作など特殊な術も使うことができる。変装も得意で、顔を変え他者に成りすますことも多い。
- 子供の頃に戦災孤児となり張政に拾われ、張政に指示された残虐非道な任務を行うことと引き換えに食事を与えられ、張政から直々に鍛えられる。最期は、キバに喉笛を噛まれたうえ、ライカに襲い掛かるも熊鬼山の老子の攻撃で深手を負い、地の龍と一体化した張政に助けを求めるが、汚らわしいと見捨てられて攻撃され、ライカたちの前で後悔を口にし自爆。
- 原作者の寺島優は早々に死んでしまう展開を考えていたが、イキナメは主人公であるライカの好敵手だと考えていた藤原カムイは「イキナメはライカにとっての力石徹です!」と言って阻止した[1]。
公孫一族・七人衆
物語中盤、故国である魏の国を失い倭の国へと渡って来た張政の部下六人。イキナメを含めて公孫一族の七人衆といわれる。四年ぶりにイキナメと再会し、七人衆が揃う。
- ワタハタ
- 張政の部下の中で、イキナメに次ぐ実力を持つ。長剣を振るう幻術の使い手。顔を変え他者に成りすますなど、変装も得意。歯の一部には上下二本ずつ短めの犬歯がある。身体がもつ特殊な性質から、吸血鬼のように獣や他人の血を吸わないと発作を起こして暴走し、
起屍鬼 ()と呼ばれる怪物に変貌。何度も殺されたが、その度にイキナメの蘇生の術により生き返るため、仲間からも不気味がられている。 - キジノヒコらとの戦いで夜美に首を斬り落とされた後も、イキナメに蘇生の術を施され白髪の状態で肉体が元通りになったうえに、ムジンがワタハタの死体に糸を引っ掛け、まるで生きているかのように操作する傀儡の術により、喋ったり血を吸ったりし生前とほぼ変わらぬ戦いを行ったが、最期はライカに見破られキバの配下である狼たちに肉体を食われた。
- ムジン
- 腕が長く、猿のような獣染みた容貌をしている。蚊幕を武器とし、相手をくくりつけ引き裂く技を得意とする。
- 腕が伸びたり、体内に大量の毒蜘蛛を飼っていたり、粘着性の唾液で相手の動きを封じるなど人間離れしている。最期は、キバに殺される。
- シン
- 大柄な体格と人を両手で挟みつぶすほどの凄まじい腕力、高い機動性を持つ人物。武器にチャクラムを使用する。
- 肉体を自由に硬化、軟化することができ、剣戟、打撃などを弾き返し無効にする。硬化した身体は鉄の剣による斬撃も弾くが、最期はライカの雷をまとった剣に斬られ、身体を破裂させて死亡。
- タルバ
- 小柄で太め。相手の肉体を遠隔操作する術を使用し、破壊することを得意とする自信家。自ら体を膨らませ球体にして、独楽のように高速で回転することで相手の攻撃を弾き返す。最期は、邪馬台国に捕まった夜美を救出したキジノヒコとの戦いで二人に敗れ、大木の幹に身体がめり込んだまま倒木したことで圧死した。
- ユン
- 品がない口調で長髪の優男で、自身の髪を抜き取って針のように硬化させ、クナイのように飛ばしたり、束にして鞭として扱う。最期は、キバ率いる狼の群れと戦い死亡。
- 作者いわく、「女形のような外見の優男だが、べらんめえ口調というアンバランスな人物」。
- ラトウ
- 張政の影武者として張政に変装し戦い、老師に首をはねられ討たれる。ワタハタらの計らいにより死後の首は、変装を解かれ素顔で埋葬された。
- 巻末のおまけページでは作者に名無し扱いされていたが、タルバが「自分は殺されたユンやラトウのように甘くはない」と発言している。
狗奴国
- ヒメキコソ
日向 ()一族の長で、狗奴国の国王。ライカの父親。妻は、高床建物でライカを出産した直後に落雷がその建物へ落ち、焼け崩れる建物で発見し抱き上げるも息を引き取った。その近くにいた、赤ん坊の我が子を救出し脱出するが、鬼の角のようにツンツンと逆立った髪の子であったため、災いを呼ぶと占いで警告され泣く泣く山へ捨てさせる。- 外の国の人間や文化を、積極的に受け入れる国造りを行う。魏の国から逃れてきた、難民を救う優しさも持つ。戦のときは国王でありながら先陣を切る勇敢さ、自国民であろうと九を救うため一を躊躇無く斬り伏せる苛酷さを持つ人物。キジノヒコの攻撃を軽々とかわす程の実力を持つ。逃亡してきたキジノヒコと語り内乱の噂が事実であると確信し邪馬台国へ進軍するが、阿蘇山の噴火に巻き込まれ兵力を失い一時撤退する。重い病を患っており、死ぬ前に邪馬台国を手中に入れることを目標とするも、寸前で息を引き取る。その亡骸は物語の終盤で鳥葬が行われ、良い事の兆しとされる金色のカラスも鳥葬に現れて東へと飛び去る。
夜美 ()- 女性でありながら、狗奴国の騎馬部隊を率いる親衛隊長。並の男を凌ぐ剣の腕前を持つ。邪馬台国から逃亡している途中で倒れていたキジノヒコを助け狗奴国へと連れてゆき、行動を共にするうちに好きになり、後に愛し合うようになる。
- エンギシ
- 狗奴国の宰相。大陸からの渡来人だがヒメキコソに忠誠を誓っており、ライカを目の敵にしていたが後にライカを認め仕える。
- リン
- 元々、戦を逃れ途中の嵐で母と兄たちを亡くし、父と狗奴国に流れ着いた難民で、狗奴国で馬の世話をする馬番として働く少女。自ら唇に接吻をするほどライカに惚れ、戦になれば二人で逃げることを望む。後にライカの力になるため、髪を切って短髪になり女であることを辞めて、狗奴国の兵士として従軍する。動物が好きなため、
外つ国 ()である越の国[注 12]から来た武器商人のチャンたちが狗奴国に持ち込んだ茶褐色の象を使いこなし、戦闘で活躍。
その他
- クコチヒコ
- 狗奴国付近にある小さな砦のリーダー格で「お頭」と呼ばれている。鍛冶で鍛えた強靭な肉体と腕力を持ち、プロレス技のような体術で戦う。砦が山童の被害に苦しんでいた所に通りがかったライカ達を、山童の仲間と勘違いして捕らえる。砦を襲撃してきた山童の大群からライカ達に助けられた一件により、ライカのカリスマ性に魅かれる。海を越え倭の地へ渡ってきた先祖が、代々伝えてきた一族の御神体である神剣を、長老から与えられるも辞退してライカに献上し、砦全体で付いて行くこととなる。
- 神仙術は使えないが、その巨体が生み出す力と気概は、ライカ達の大きな支えとなる。クコチヒコ達の砦では鉄の精錬技術が発達しており、狗奴国の後継者となったライカが砦に蓄えられていた鉄剣を配布した際には、ヒメキコソやキジノヒコだけでなく一般兵でも岩を両断する威力を発揮。クコチヒコらを従えることで、ライカたちは武器としては鉄よりもろい青銅の剣を主力とする倭の国の戦いにおいて、戦況を変えるほどの革新的な武器を手にすることとなった。ライカらと仲間になった後には、手裏剣のような武器も開発しており、忍び装束のような服[注 13]を着て付き従う部下も使用している。
- キクナ
- クコチヒコの妹である少女。鉄の剣で、山童の胴体を切断する腕前を持つ。気が強く、男達に混ざって山童退治に加わりたがっていた。タキと仲良くなり食べ物作りを一緒に行った際には[注 14]、「食べ物作りをするなんて珍しい。タキに美味しいものを食べさせたいんだ」と周囲から冷やかされる。山童を退治しようと、こっそり砦を抜け出し偶然ライカの危機を救う。ライカに説得され一人で砦へ戻る最中、巨大な山童に捕まりライカやクコチヒコやタキらの眼前で、オババの指示を受けた巨大な山童に噛み殺され、心を寄せていたタキの生き方に大きな影響を与えた。
- オババ
- 本名は不明。かつて、邪馬台国で卑弥呼に女王の座を奪われた老婆。百三十三歳。三人の生死人や山童たちを従え、人間の食料を奪う。巫女としての能力に加え、薬草、有毒植物、麻薬の原料である植物[注 15]や香などを組み合わせ、山童を含めた他者を操ったり幻術を使用しており、人間離れした身体能力を持つ。長い布を伸ばして巻き付けたり、爆弾を投げつけるなどの攻撃も繰り出す。全裸になり香を使用した幻覚で若い姿に化け、オババが邪鬼と認識するほどの力を持つライカと交合い、その精気を得て霊力を増すことで女王に返り咲こうと画策したが、その場にキクナが来たことや鏡に化け猫の姿が映ったことで見破られ失敗。最期はライカに倒され死亡するが、その際に猫股が憑いていたことが判明した。
生死人 ()- オババの手下である三人組。首を刎ねられても死なず、頭だけの状態でも言語を話すことができ、頭は跳ねたり回転しながら身体に戻る。体術や連携技を得意とし、神仙術も発勁や宙を浮かぶ飛行仙を使用する。後頭部にある短い辮髪以外に髪は無く、見ざる、聞かざる、言わざるで知られる三猿のように、三名はそれぞれまぶた、耳、唇を縫われている。
- 三名の中心的人物であるシマキは、聞き取れはするものの両耳をぐるぐる巻きに縫われており、まぶたと唇は無く頭部には痣が所々ある。両目のまぶたを縫われている者は、目から頬にかけて血の涙のような跡があり唇は無く、額には毛が生え体格は太め。喋れはするものの唇を縫われている者は、まぶたは無く頭部は痣だらけである。神仙術返し山彦の術で、発勁の三人同時攻撃をライカに跳ね返され身体が酷く損傷した際には、三名が融合し一つの大きな肉体になり怪物化して襲い掛かるが、最期はライカらの斬撃を浴びせられた後に、クコチヒコから大岩で身体を潰された。
山童 ()- 何度もクコチヒコの砦を襲っている、人型の凶暴な生物。言語は話せず人間の大人より小柄だが、噛みついたり武器を使用して人々を殺害し、馬も人も食い殺す。オババの呪術で統制されており、数が多くライカたちを苦戦させた。その中の一体は、人間の大人の倍以上ある身長と筋骨隆々な体格の巨大な個体で、鉄の剣も刺さらない頑丈な皮膚を持ち、クコチヒコの砦を破壊するなど暴れまわったが、オババの命令でキクナを噛み殺した際にはライカが投げたクナイが両目に刺さり、クコチヒコからバックドロップで叩きつけられ倒された。山童たちは、オババが死んだことで術が解け解放された後に、本来の住処である川へ戻り河童となった。
- チャン
- 異国である越の国[注 12]から来た、最新式と謳い一鋳式[注 11]の青銅の剣を狗奴国に売っていた商人たちの代表格。だが実際には、その青銅の剣はライカたちが持っていた鉄の剣と比べると性能は劣っていた。持ち込んだ象を操り、狗奴国への侵入者であるライカとの戦いに加勢した。ヒメキコソがライカたちを捕らえ取り上げた鉄の剣を盗み出して国に帰ろうとしたが、ヒメキコソらに見つかり戦闘となる。
- 頭にターバンを巻いたインド人のような風貌をしており、仲間の商人ともども素手での格闘術を使用して連携する戦法を用いたほか、印を組んで法術を使用し抵抗した。最期は、ヒメキコソにアルゼンチン・バックブリーカーで捻り殺され、ライカに神剣で背中を刺され息の根を止められた。
神仙術
作中では、忍術の原型とされる不思議な術。ライカをはじめ多くの仲間や敵が使用する。主に戦闘手段として用いられるが、他にも連絡や治癒等、様々な目的で使用される。本作の物語の進行上、欠かせない要素である。術や技によっては「きてえぇ―ッ」「きてはぁ」などと絶叫する場合もある。
特定の一人にしか使用が認められない特殊な術は、人物ごとに分けて表記する。
一般的な術
作中で、神仙術の心得のある複数の人物が使用している術。
変わり身の術 ()- 攻撃されたとき、古木や獣を身代わりに回避する。「
空蝉 ()の術」とも呼称される。 - 高速移動(※正式名称不明)
- 瞬間移動のように移動する。主に敵の攻撃をかわす時に見られる描写。神仙術の心得のある多くの者が習得している術である模様で、狗奴国の役人であるエンギシが後述の爆薬から逃れるため、高速移動する様子も見られる。
- クナイ投げ(※正式名称不明)
- 投擲武器である、クナイを投げる。
- 爆薬(※正式名称不明)
- 爆発物。主に、投げて突き刺さったクナイにくくりつけられ、突如煙を上げて発火し爆発して対象を陥れる罠として使用。球状の物体を投げることもある。
如影忍 ()- 気配を悟られず追跡し、影のように相手から離れず、寄り添って事を謀る。
- 名称は特に無いが、後世には『正忍記』において古法十忍の、その五として如影忍と名付けられる。父親のキバを追う際のイキナメなど、様々な者が使用。
鳥よせの術 ()- 小鳥を呼び寄せる。全裸で水浴びをしていた壱与も使用。
憑依の術 ()- 動物、鳥等の生物をけしかけて攻撃させる。
春霞の術 ()- 風に乗せて眠り花の花粉を散布し、眠らせる。
蚊幕 ()- テグスに吊るした釣り針。先端に毒や痺れ薬を塗り、木の枝や草むらに仕掛けることで外敵の侵入を防ぐ罠。公孫七人衆の一人であるムジンは、この蚊幕を自在に操り武器として使用しており、無数の釣り針を相手の体に引っ掛け破裂させている。
発勁 ()- 体内エネルギーである気を対象に向けて発射する。「
遠気当て ()」「射弾つぶて ()」とも呼称される。射弾つぶての場合、気の発射と伴に周囲の石を浴びせかける意味がある模様。張政をはじめラトウ、イキナメ、卑弥呼、壱与、生死人などが使用している。特に張政と彼の影武者になったラトウは「僧 ()・莎 ()・訶 ()」という掛け声を発したり、掌を地面に付けて気を這わせるなど独特の使用法が見られる。 飛行仙 ()- 自在に空中を移動する。老師、ラトウ、生死人が使用。はるか古より古代印度に伝わる十の神通力である十行仙の一つ。老師の飛行仙を見た狗奴国の兵士は「聞いてはいたが、この目で見たのは初めて。只者では無い」と発言している。なお、十行仙のうち他の九つは作中に描写が無いため不明。
ナダレ渡りの術 ()- 雪崩のように落下する岩を足場にして、次々と飛び移る。阿蘇山の噴火に巻き込まれたライカら三名が、降り注ぐ大きな火山弾に飛び乗り移動した。
忍び香 ()- 球状の物体を燃焼させ、立ち上った煙や匂いで仲間を呼び寄せる。張政と公孫一族が使用。ライカは、曼陀羅華をモグサに混ぜ固め粉状にしたものを手で撒き、吸った者の意識を失わせるという、忍び香の一種を使用した。
- ムササビの術(※正式名称不明)
- ムササビのように、背中側に広げた大きな布を両手首と両足首に結び付け、パラシュート代わりにして高所より降下する。作者いわく、イメージは一昔前の忍者物とのこと。
- 透過能力(※正式名称不明)
- 床、天井、岩の壁など固体を空気のように通り抜ける。シン、老師、カマキが使用。
- 念力(※正式名称不明)
- 発声しながら身振りをするだけで対象の動きを止めたり、意に反する行動をさせたりする。この術を多用しているタルバは、逃げようとする者を捕縛し空中に浮かせた挙句、絞るように体を捻じ切ったり、相手の持っている武器で自身を傷つけるよう仕向けたりした。イキナメ、ワタハタも使用している。
- 念話(※正式名称不明)
- 心の内容を、他者の心に直接伝達する。壱与はこの術で、宇宙空間において戦うライカに助言した。
ライカ
竜炎の剣 ()- 剣に火炎を纏わせて斬りつける。
以心雷鳴剣 ()- 剣を敵に投げつけると共に、小規模な落雷で攻撃する。
火輪の術 ()- 炎を発し、対象を燃やす。劇中、燃える水に引火させるなどで使用された。
蚊幕返し火輪の術 ()- 火輪の術の応用。蚊幕に捕まったとき、テグスを這わせて攻撃者を引火させると同時に、焼き切って捕縛を逃れた。
しころ飛魚の術 ()- 水切りのようにクナイを水面に飛ばす。張政の左目を奪った。
無空殺風陣 ()- 剣を振り、無数のカマイタチを発生させる。
下風颶風剣 ()- 飛び上がり、上空から落下しながら剣を突き立てる。
返し山彦の術 ()- 敵の発勁を剣で絡め取って跳ね返す。
霧がくれの術 ()- 周囲に霧を発生させ、姿をくらます。
こだま陽炎 ()- 姿を消した状態で発声して相手をその方向へ誘引する。張政との戦いで、霧がくれの術と併用して追い詰めた。
微塵がくれの術 ()- 追っ手を倒すため、粉塵爆発を起こす。ライカは炭煙から脱出するために使用した。
- 放電(※正式名称不明)
- 怒りで髪が逆立った状態で使用でき、危機的状況において全身から電撃を放出する。敵に掴まれた状況などから脱出する手段などに使用している。
ライカ(天の龍との一体化)
天空の旋風 ()- 嵐を起こし、強風を浴びせかける。
天空の乱嵐 ()- 天空の旋風よりも激しい強風を浴びせかける。
天空の爆雷 ()- 握り拳の両腕を広げ発生させた、大量の電撃を浴びせかけ爆発を起こす。
天空の竜炎 ()- マグマの竜巻で対象を檻のように取り囲む。
天空の灼獄 ()- 天空の竜炎で囲まれた対象に、さらに火炎を浴びせかけ爆発を起こす。
天空の雪嵐 ()- 猛烈な吹雪の竜巻を発生させる。
天空の銀牙 ()- 宇宙空間で天空を回転させ、いくつもの流星を叩きつける。
空に ()(※正式名称不明)- 宇宙の一番深い気を感じ、空っぽの筒のように全てを受け入れ全てを与えることで、宇宙から得た無限の超力を放出する。
厳つ霊の怒り ()(※正式名称不明)- 複数の落雷を集中砲火する。
オタジ
老師
壱与
婆盧枳低攝伐羅耶 ()- 「婆盧枳低攝伐羅耶」と詠唱しながら手をかざし、気で傷を癒す。
駆瘧鬼呪 ()- 瘧鬼の祟りに対し行う。最初に「駆瘧鬼呪」と詠唱して「
我従東方来 ()・路逢一池水 ()・水内一尊龍 ()・九頭十八尾 ()・問他喫甚麽 ()・専喫瘧疾鬼 ()・太上老君 ()・急急如律令 ()」と詠唱した後、「断瘧符 ()」と詠唱して壁もしくは地面へ「勅令天雷」と書き、さらに「瘧堙迦瘧墜帝薬迦 ()・瘧怛吒帝薬迦 ()・瘧者持𪭼迦 ()」と詠唱し、祟られた者の口から瘧鬼を這い出させる。「勅令天雷 ()」という詠唱により掌から出た気で瘧鬼を捕らえ、勅令天雷と書かれた場所へ叩きつけ消滅させる。 - 成仏(※正式名称不明)
- 邪馬台国で暮らしていた下戸[注 16]や生口の死霊たちが成仏できずに怨霊となって取り憑いていた、巨大な蜘蛛の
髑髏蜘蛛 ()を成仏させる。両目をつぶり「救苦観世音 ()・施我大安楽 ()・除魔煩悩 ()」と詠唱すると、大量に発生し「怨怨怨怨 ()」と言いながら大量の糸を吐き出しつつ壱与に群がっていた髑髏蜘蛛は「女王さま邪馬台国をお救いください」と懇願しはじめ「賜我往生 ()・除去諸悪 ()・救苦観世音 ()」と詠唱し両目を開くと成仏し、消滅した。 - 呪詛(※正式名称不明)
- 祭壇の前で、紙の札を片手に握りながら特定の動作を行いつつ叫んで祈祷し、手から離れた札が飛んで対象の力を封じる、もしくは呪い殺す。
キバ
張政(地の龍との一体化)
地龍の火炸 ()- マグマを操り浴びせかける。
地龍の乱震 ()- この世の最強の地脈は火山の中にあるため、地脈を操るのにうってつけの場所である火山の上空でこの術を使用することにより、天空にまで振動が及ぶ大地震を発生させる。
地龍の爆震 ()- 地龍の乱震より激しい振動を叩きつける。
地龍の滅壊 ()- 周囲をマグマの海に変え、地上の生命を皆殺しにするほどの大地震を発生させる。
神宝の鏡 ()(※正式名称不明)- 幻覚を見せた後、壱与が儀式で使っていた銅鏡が巨大になったものをライカの足元に出現させ、それを張政が蹴り砕くことで鏡から分離した五つの巨大な宝玉がライカの周囲を取り囲み、発生する光線で身動きできないようにし、天の龍の超力を吸い取る。
イキナメ
浄身の術 ()- 水死体さながらに清流に身を委ねて、体内の毒素を浄化する。
蛇活の術 ()- 無数の蛇を対象にけしかけて攻撃する。
双身の術 ()- 複数人に分裂して、それぞれが独自に攻撃する。倒された一方の正体が大蛇の場面[注 17]、「
蛇活双身の術 ()」と呼称している場面[注 18]、ライカが倒した一方である大蛇を見て「憑依の術」と言っている場面[注 17]がある。 龍巻き ()(※正式名称不明)- 竜巻を発生させる。
- ガマ(※正式名称不明)
- 川の中から巨大なガマ蛙を出現させ、頭に乗って操る。巨大なガマ蛙は、浴びると息ができないほどの猛烈な風を口から吐くほか、その巨体で押し潰そうと飛び掛かる。
深鬼蘇生の術 ()- 上記のガマ蛙の死体を切り裂き、噴き出した血液から
蟇霊鬼 ()という人型で一本角の怪物を生み出して襲い掛からせる。蟇霊鬼は「怨怨怨怨怨ーッ ()」と口にしながら両手に生えている鋭い鉤爪で襲い掛かり、死ぬ際に全身から吹き出す蟾毒を浴びた者は死んでしまう。 思念呪操 ()- 「
催 ()・覚 ()・操 ()・心 ()」と呪文を唱え、正気でない相手の精神をあやつる。精神どころか、超能力のように体を空中浮揚させたりもできる。 気湛酷身の術 ()- 不安定な身体の姿勢をとり、その姿勢を大量の汗を流すくらい維持することにより、術の効果を高める。壱与に、思念呪操をかけるために使用。
蘇生の術 ()- 磁鉄鉱という天然の磁石で電磁誘導を起こし、瀕死の対象者に電気ショックを与えて蘇生させる。仰向けの対象を六角形に囲むように地面へクナイを刺して、それぞれに縄を張り、磁石をその中心の空中に浮かせる。「
臨 ()・兵 ()・斗 ()・者 ()・皆 ()・陣 ()・列 ()・在 ()・前 ()」の九字をきって念じると磁石が回転を始め、稲妻のような電光が発生する。
ワタハタ
血霊 ()- 人、動物から血を吸う。ワタハタは吸血鬼のような特殊な存在であるため、ワタハタにとって必要な治癒方法。
- 変身(※正式名称不明)
- 上述のように、ワタハタは特殊な事情のため血霊を必要とするが、意に反してそれが叶わない時には起屍鬼という怪物に変身してしまう。起屍鬼とは、
毘陀羅 ()の法術で死霊がこの世に帰ってきた、人を襲っては生き血を求め、さまよい歩く人型の怪物であり、容貌は白髪、白目、干からびて皺だらけの皮膚で、犬歯は倍の長さに伸びており、爪は長さが指の長さの二倍以上ある鉤爪に変化している。起屍鬼の時は言語は喋らず、うなり声と笑い声のみ発していた。 雪崩落斬剣 ()- サーフィンのように所持する長剣に乗り、空中を飛んで襲いかかる。反転する「
飛回雪崩返し ()」と併用する。 - 幻覚(※正式名称不明)
- 相手に幻を見せて惑わせる。
ムジン
シン
タルバ
- 鞠状に変身(※正式名称不明)
- 大きく息を吸い込んで体を鞠のように膨らませ回転しながら体当たりする。この時は回転力のせいか体が硬質化しており、クナイを跳ね返したり、ぶつかった大木の幹を抉っている。
ユン
活髪の術 ()- 自身の長い髪を自在に操る術。引き抜いた髪を指でしごいて針にして投げつけたり、頭を振り乱し敵をなぎ払ったり、結って鞭として使用する。
十指死髪針 ()- 両手で引きちぎった髪を指で挟み、針にして四方八方へ放つ。
ラトウ
呪詛返し ()- 呪いを放とうとする者の眼前に見えない結界を密かに張り、放った者に呪いをそのまま跳ね返す。
くノ一
オババ
チャン
書誌情報
物語が完結した後、後述のとおりデラックス版や普及版や小説版が全巻、出版社の倒産により絶版となったが、漫画は後に角川書店から出版されている。
翻訳され日本国外でも出版されたが、いずれも翻訳版は物語の途中までしか刊行されていない。
アメリカでは
ヨーロッパではグレナが、1997年3月にフランス語版、10月にスペイン語版の第1巻をそれぞれ出版したが、1999年(平成11年)3月に日本で出版していたスコラが事実上倒産した影響により、フランス語版は1999年4月の第5巻、スペイン語版は第6巻[注 22]で出版は終了となった。
単行本
- デラックス版 全12巻 (スコラ刊)
| 雷火(バーガーSCデラックス) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 巻数 | 副題 | 発行年 | 発行日 | ISBN |
| 1 | 1988年 | 9月22日 | 4-88275-029-5 | |
| 2 | 10月22日 | 4-88275-033-3 | ||
| 3 | 1989年 | 11月16日 | 4-7962-4012-8 | |
| 4 | 1990年 | 10月16日 | 4-7962-4073-X | |
| 5 | 1991年 | 6月16日 | 4-7962-4115-9 | |
| 6 | 1992年 | 8月16日 | 4-7962-4172-8 | |
| 7 | 11月16日 | 4-7962-4192-2 | ||
| 8 | 1994年 | 1月16日 | 4-7962-4251-1 | |
| 9 | 11月29日 | 4-7962-4297-X | ||
| 10 | 1995年 | 4-7962-4358-5 | ||
| 11 | 1996年 | 4-7962-4399-2 | ||
| 12 | 1997年 | 978-4-7962-4425-1 | ||
- 普及版 全21巻 (スコラ刊)
| 雷火(普及版)(スコラSC) | |||
|---|---|---|---|
| 巻数 | 発行年 | 発行日 | ISBN |
| 1 | 1997年 | 5月19日 | 479629709X |
| 2 | 6月16日 | 4796297111 | |
| 3 | 7月16日 | 479629712X | |
| 4 | 8月19日 | 4796297138 | |
| 5 | 9月16日 | 4796297162 | |
| 6 | 10月1日 | 4796297189 | |
| 7 | 11月1日 | 4796297197 | |
| 8 | 12月1日 | 4796297200 | |
| 9 | 1998年 | 1月1日 | 4796297227 |
| 10 | 2月1日 | 4796297235 | |
| 11 | 3月1日 | 4796297243 | |
| 12 | 4月1日 | 4796297251 | |
| 13 | 5月1日 | 4796297324 | |
| 14 | 6月1日 | 4796297332 | |
| 15 | 7月1日 | 4796297340 | |
| 16 | 8月1日 | 4796297367 | |
| 17 | 9月16日 | 4796297391 | |
| 18 | 10月16日 | 479629743X | |
| 19 | 11月16日 | 4796297464 | |
| 20 | 12月10日 | 4796297499 | |
| 21 | 1999年 | 1月16日 | 4796297510 |
- 凍結版 全15巻 (角川書店刊)
| 藤原カムイコレクション 雷火(角川コミックス・エース) | |||
|---|---|---|---|
| 巻数 | 発行年 | 発行日 | ISBN |
| 1 | 2000年 | 12月25日 | 4-04-713384-1 |
| 2 | 4-04-713385-X | ||
| 3 | 4-04-713386-8 | ||
| 4 | 2001年 | 2月1日 | 4-04-713391-4 |
| 5 | 4-04-713392-2 | ||
| 6 | 3月1日 | 4-04-713399-X | |
| 7 | 4-04-713400-7 | ||
| 8 | 4月10日 | 4-04-713411-2 | |
| 9 | 4-04-713412-0 | ||
| 10 | 5月1日 | 4-04-713420-1 | |
| 11 | 4-04-713421-X | ||
| 12 | 6月1日 | 4-04-713432-5 | |
| 13 | 4-04-713433-3 | ||
| 14 | 7月2日 | 4-04-713440-6 | |
| 15 | 4-04-713441-4 | ||
小説
| 雷火(スコラ・ノベルズ) | |||
|---|---|---|---|
| 巻数 | 発行年 | 発行日 | ISBN |
| 1 | 1997年 | 12月18日 | 4-7962-0466-0 |
| 2 | 1998年 | 2月25日 | 4-7962-0473-3 |
| 3 | 4月17日 | 4-7962-0492-X | |
画集
舞台版
NON STYLEの石田明が、漫画家の藤原カムイや原作者の寺島優と打ち合わせを行ったうえで、脚本を手がけ雷火の舞台を実施しており[8]、歌とダンスのミュージカルにアクション、ベタベタなギャグを交えた内容で上演され、忍狼もキャッツのように人間の役者が演じている。
2017年(平成29年)には『劇団骸骨ストリッパー 超古代マンガ活劇公演 舞台版「雷火」』が、6月22日から26日まで東京・武蔵野芸能劇場にて公演された。ライカの心の弱さや不安定さも取り上げ、ライカとヒメキコソ、タキ親子など親子に焦点を当てた内容になった[9]。藤原カムイから「忍者が飛んだり駆け巡ったりするようなアクションを取り入れてほしい」という要望があり、役者にはパルクールの経験者も参加[10]。同年10月には、この舞台版を収録したBlu-ray DiscとDVDも発送され[11]、初回特典は本来ならプレミアムグッズ付き入場券に印刷される予定であったものの、費用の問題から実現しなかった、藤原カムイが雷火を題材に描き下ろした9コマ漫画であった[12][13]。
2023年(令和5年)にも、『RAIKA』という表記で5月25日から28日までスペース・ゼロにて公演された[14][15]。脚本には雷火における全巻の内容を盛り込み、前回とは異なる新たな視点の内容になった。期間中には、開場中に藤原カムイが観客の前で、舞台上において即興で絵を描き上げた[16][17]。2024年(令和6年)3月には、この舞台版を収録したBlu-ray Discも完成し、発送された[18]。
スタッフ
キャスト(2017年)
キャスト(2023年)
- ライカ - 阿部快征
- 壱与 - 岡田彩花
- ウツキ - 嶋崎裕道
- オタジ - 与那嶺圭太
- タキ - 山田拓真
- キジノヒコ - 平安伸伍
- 夜美 - 雪乃しほり
- クコチヒコ - 田中晃平
- キクナ - 坂本雛実
- ダナン - 中井健勇
- キバ - 篠原雄大
- 老師 - 關文比古
- ヒメキコソ - コウガシノブ
- 張政 - 潮見勇輝
- イキナメ - 吉岡大輔
- ワタハタ - 樋口拓海
- シン - 碓井英司
- ムジン - 島田隆誠
- タルバ - 鈴木理人
- ラトウ - 新岩正人
- ユン - 冨田佳孝
- タマキ - 日下部美愛
- ニキメ - きみたろう
- ナシメ - 本田晋
- ウバミコ[注 23] - 永井理沙
- 生口 - 大山翔、小川穂歌、春日茉由、江村あかり、筒井捺稀、松田潤人、宮本杏子、森田佳寿美、矢那居秀樹、渡辺千晶