1986年の全日本F2選手権
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ホンダエンジンのユーザーは前年と同じく4台で、'84年・'85年と全日本F2連覇を果たした中嶋悟は、本年からイギリス・ロンドン郊外に生活拠点を移し、欧州での経験値を高めるためとスーパーライセンスの獲得を確実なものとするために国際F3000選手権への本格参戦を開始[2]。全日本F2の開催週にその都度来日して参戦する体制となった[3]。ノバ・エンジニアリングは、F1シートを獲得できなかった'84ヨーロッパF2チャンピオンのマイク・サックウェルを起用、スポンサーにはマールボロ(フィリップモリス社)が付き赤白のマールボロカラーのマシンを走らせる[注釈 1]。ホンダエンジン搭載2年目の星野一義は新スポンサーとしてBY ZERO(大沢商会/当時西武セゾングループ)を獲得し、前年までの赤基調(LARKカラー)から青にカラーリングを一新。そして4台目のホンダエンジンはJPSカラーとなったヨコハマタイヤ装着の高橋国光車(JPS-NOVA)に搭載された。高橋国光がホンダエンジン車でレースを走るのは、オートバイレース参戦時代の1963年以来23年ぶりとなる[4]。
ホンダに対抗するエンジンメーカーは、前年からジェフ・リース、松本恵二を開発ドライバーとして実戦開発が行われていた5バルブエンジン、ヤマハ・OX66の市販[注釈 2]が開始され、ホンダに対して競争力の落ちていたBMWエンジンユーザーのほとんどがBMWに変えてOX66エンジンを使用し始めた。このエンジンの製作・最終調整にはケン・マツウラレーシングサービスがサプライヤーとなり大きな役割を果たした[5]。なお、松本は本年より日本たばこ産業(JT)の『キャビン』ブランドのイメージキャラクターに起用され、マシンがキャビンのパッケージカラーである赤いカラーリングとなった。このJTによるビッグプロジェクト「CABIN RACING」の発足に付き、松本はチームオーナー兼ドライバーとなった[6]。テレビCMにも出演し、同年のベストドレッサー賞を受賞などモータースポーツのメジャー化にも尽力する[7][8]。
開幕戦の鈴鹿2&4では、OX66エンジンで松本恵二がホンダユーザーの中嶋悟を抑えきり優勝しヤマハ・エンジンのF2初優勝をマークする[9]。第2戦富士は同じくOX66を積むジェフ・リースが中嶋を破り優勝[10]、第3戦西日本では優勝松本、2位エイエ・エリジュ、3位リースとヤマハ・OX66は開幕からの3連勝を1-2-3フィニッシュで飾るという理想的な展開でシーズン序盤をリードした[11]。
ホンダはパフォーマンス向上を狙い、エンジンを電子制御化[12]してこれに対抗すると、中嶋・星野・サックウェルにより以後5連勝を記録するなど形勢を逆転。ホンダユーザーの中嶋が全日本F2を3連覇、星野が鈴鹿F2のタイトルを獲得した。
シーズン中盤の8月初旬には、中嶋がロータス・ホンダのドライバーとして翌年のF1グランプリにフル参戦することが正式発表され[13]、本年が日本のレースを走る最終シーズンとなった[14]。
参戦車両の技術面では、ノバのサックウェル車は、前年型であるマーチ・85Jの空力を修正したものを主力マシンとして使用した。空力修正は主にマシン後部に重点が置かれ、リヤカウルの側面を絞ってディフューザー上面の空気の流れを改善。またリヤサスペンションのロワアームに、ウイング状のカバーを装備しダウンフォースを獲得している[15]。サックウェルはこの改良型85Jに乗って第6戦富士で中嶋、星野、松本を破り優勝した。
レイトンハウスは4月のテスト走行中に発生した萩原光の事故死[16][17]の後活動を中断していたが、第5戦鈴鹿からイヴァン・カペリをドライバーとして活動を再開[18][注釈 3]。カペリは日本で参戦した3レース中、2度表彰台に立つなど好結果を残した[19]。
エントリーリスト
| No. | ドライバー | シャシー/メンテナンス | エンジン/メンテナンス | タイヤ | エントラント |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | マーチ・86J / ヒーローズR | ホンダ・RA266E / 無限 | B | EPSON HEROES with NAKAJIMA | |
| 2 | マーチ・86J / セルモ | ホンダ・RA266E / 無限 | B | BY-ZERO ホシノレーシング | |
| 3 | マーチ・86J / 童夢 | ヤマハ・OX66 / 松浦 | D | DUNLOP FORMULA M2 ヤマハ (スピードボックス・モータースポーツ) | |
| 5 | マーチ・85J / スピードスター → マーチ・86J / スピードスター |
ヤマハ・OX66 / 尾川 | D | 佐川急便スピードスターレーシング | |
| 6 | マーチ・86J / スピードスター | ヤマハ・OX66 / 尾川 | D | スピードスターレーシング | |
| 7 | マーチ・86J / アストニッシュ | ヤマハ・OX66 / 松浦 | B | 由良拓也レーシングチーム | |
| 8 | マーチ・86J / セルモ | ヤマハ・OX66 / 東名 | B | CABIN RACING | |
| 9 | マーチ・86J / NOVA → マーチ・85J / NOVA |
ホンダ・RA266E / 無限 | B | Marlboro NOVA | |
| 10 | マーチ・842 / マスカーズR → マーチ・85J / マスカーズR |
BMW・M12/7 → ヤマハ・OX66 / ラ・ルオータ |
Y | たけしプロジェクト | |
| 11 | マーチ・85J / | ヤマハ・OX66 / 松浦 | B | 由良拓也レーシングチーム | |
| 12 | マウラー・MM81 / チームEquip | BMW・M12/7 / 戸田 | D | E-WING ワークSPL | |
| 16 | → → |
マーチ・86J / セルモ | ヤマハ・OX66 / 東名 | B | レイトンハウス |
| 18 | マーチ・86J / | ヤマハ・OX66 / 尾川 | B | CABIN RACING | |
| 24 | マーチ・86J / 東名 | ヤマハ・OX66 / 東名 | Y | アドバンスポーツ東名 | |
| 25 | マーチ・86J / アーバン | ホンダ・RA266E / 無限 | Y | チームJ.P.Sアドバン | |
| 26 | マーチ・86J / 重山レーシング | ヤマハ・OX66 / 土屋 | Y | アドバンスポーツ重山レーシング | |
| 33 | マーチ・85J / NOVA | ヤマハ・OX66 / 東名 | D | トライデント・清水レーシング | |
スケジュール及び勝者
| Rd. | 開催日 | 開催地 | イベント | 優勝者 | ポールポジション | ファステストL | 典拠 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 3月8-9日 | 鈴鹿 | 全日本BIG2&4レース | 松本恵二 | G.リース | [20] | |
| 2 | 4月19-20日 | 富士 | CARA 日本インターナショナルフォーミュラ選手権 | ジェフ・リース | 中嶋悟 | [21] | |
| 3 | 5月10-11日 | 西日本 | 全日本F2オールスターレース | 松本恵二 | 松本恵二 | G.リース | [22] |
| 4 | 5月24-25日 | 鈴鹿 | John Player Special トロフィー | 中嶋悟 | 中嶋悟 | 星野一義 | [23] |
| 5 | 7月5-6日 | 鈴鹿 | 鈴鹿ゴールデントロフィー | 星野一義 | 中嶋悟 | [24] | |
| 6 | 8月9-10日 | 富士 | RRC富士F2チャンピオンズ | マイク・サックウェル | 中嶋悟 | [25] | |
| 7 | 9月27-28日 | 鈴鹿 | 鈴鹿グレート20 2&4レース | 星野一義 | 中嶋悟 | [26] | |
| 8 | 10月31日-11月2日 | 鈴鹿 | JAF鈴鹿グランプリ自動車レース | 星野一義 | G.リース | [27] |
