キズハ (ケーキ)
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キズハ (アラビア語: قزحة ; ラテン文字転記: qizha; パレスチナ方言: izha イズハ[1]; またはصينية قزحة siniyyat al-qizha「キズハのトレイ」の意味とも) は、レバント、特にパレスチナの伝統的な漆黒の色合いをしたケーキである。パレスチナの中でもナーブルスのものが良く知られており、名物となっている[2]。
キズハの材料と調理法は、ヨーグルトは加えないがほぼハリーサをなぞられたもので、そこにタヒーナのように挽かれたニオイクロタネソウの種子であるニゲラシードのペースト(種子自体もペーストもキズハと呼ばれる)を加えることによって黒い色合い、独特の苦味とにおい、および濃厚さを持つケーキが出来上がる。好き嫌いがハッキリと分かれると言われるが、「最初の一口のショック」を乗り越えた人は病み付きとなる風味だとも言われている[1]。

ニゲラシードは、この種子が治すことが出来ないのは死だけという予言者ムハンマドの言葉を反映して、アラビア語では神の恩寵の種を意味するハッバ・アル=バラカ(حبة البركة、habah al-brekah)とも呼ばれ、 薬効があるとされている[1][3]。特にペースト状のキズハに蜂蜜を加えたものは喉の痛みを和らげる伝統薬としてパレスチナで長く使われてきた[4]。ペーストのキズハを一日スプーン一杯分を食べ、病気の予防とする人もいる[5]。

ケーキのキズハは、セモリナか穀粉を主体に、砂糖、オリーブオイル、キズハ(ペースト)、膨張剤などを入れた生地を焼成し、アタールと呼ばれる、水と砂糖そしてレモン汁を加えたシロップを焼き上がったばかりの熱い生地に浸しかけて作られる。生地の風味が強いため、アタールに良く風味として加えられるオレンジフラワーウォーターやローズウォーターは控えられることが多い。焼成前に湯むきされたアーモンドを生地の上に飾り、アーモンドが中心に来るように菱形か四角形に切り分けられる[4]。
ペースト状のキズハが手に入らない場合、煎ったニゲラシードをオリーブオイルと共にグラインダーですり潰して代用しても良いが、味わいは違ってくる[4]。伝統的にはニゲラシードを一晩塩水に漬けたあと、水分を良く切ったニゲラを今度は軽く焙煎した後に天日で石の上で乾かし、タヒーナを加えながら石臼で挽く。天日で乾かす際のキズハ専用の石も存在する[2]。キズハは、伝統食材で、体に良く、手間ひまをかけて作られるため、スローフードとして認識されている[2]。またケーキのキズハは動物性の材料を使わずに調理されるので、意図せずともヴィーガン料理に該当する。