ディアナとエンデュミオン
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| フランス語: Diane et Endymion 英語: Diana and Endymion | |
| 作者 | ジャン・オノレ・フラゴナール |
|---|---|
| 製作年 | 1753-1756年ごろ |
| 素材 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 53.9 cm × 65.1 cm (21.2 in × 25.6 in) |
| 所蔵 | ナショナル・ギャラリー (ワシントン) |
『ディアナとエンデュミオン』(仏: Diane et Endymion、英: Diana and Endymion)は、18世紀フランス・ロココ期の巨匠ジャン・オノレ・フラゴナールが画業初期の1753-1756年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。1960年にティムケン (Timken) ・コレクションから取得されて以来、ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている[1]。現在、ボストン美術館に所蔵されている『夜に勝利するアウロラ』[2]の対作品となっている[1]。
この絵画に表わされているのは、月の女神セレーネーの最も名高い恋愛譚である。セレーネーは後に狩猟の女神ディアーナと同一視されたため[3]、絵画の題名は「ディアナとエンデュミオン」となっている。
ある日、ディアナは天から山中で羊飼いの青年エンデュミオンを目にし、一目で恋に落ちた[3]。彼は、人間とは思えないほどの美しい容貌をしていたのである。恋の虜になったディアナは彼をラトモス山へと連れ去ってしまう。しかし、人間であるエンデュミオンはやがて死ぬ運命にあり、それは彼女には耐えられないことであった。ディアナはゼウスに頼み、エンデュミオンを永遠に若いまま、しかし眠りながら生き続けさせる。こうして、月の女神であったディアナは、夜ごとエンデュミオンのもとを訪れることになったのである[3]。

本作は、ラトモス山の幽玄な頂上で犬とともに眠る半裸のエンデュミオンを表わしている[1]。光り輝くディアナは、マンドルラ (アーモンド型の枠) のように彼女を取り囲む朧げな三日月 (ディアナのアトリビュート) によって特定される。エンデュミオンの美貌に衝撃を受け、彼女は手を伸ばして、のけぞっている。ディアナのそばにはバラ色の頬をしたキューピッドがおり、ディアナの愛の対象であるエンデュミオンにいたずらっぽく矢の狙いを定めている。寒色の夜空が、岩の地面に花咲く低木のある山頂に輝くような背景を形作っている[1]。
本作は、明らかにドア上部の室内装飾のために意図されたものである。対作品の『夜に勝利するアウロラ』ともども、本来の楕円形であったキャンバスが後に拡大され、現在のような長方形にされている。しかしながら、両作品に用いられている低い視点により、構図は下から見上げた時に最も効果的である[1]。
ナショナル・ギャラリーに収蔵された1960年当時、この絵画はフラゴナールの最初の師フランソワ・ブーシェに帰属されていた。少なくとも19世紀後半にパリのリシャール・ヴァラス (Richard Wallace) のコレクションにあった時からブーシェの作と見なされていた。1985年に、アラン・P・ウィンターミュート (Alan P. Wintermute) が初期のフラゴナールの作品と認めてからようやく、すべての後の研究者からフラゴナールの真作とされたのである。ブーシェへの誤った帰属は、本作がブーシェの多くの装飾的絵画と非常に類似していることを考えれば納得できる[1]。