恋人の戴冠
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| フランス語: L'Amant couronné 英語: The Lover Crowned | |
| 作者 | ジャン・オノレ・フラゴナール |
|---|---|
| 製作年 | 1771-1772年 |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 317.8 cm × 243.2 cm (125.1 in × 95.7 in) |
| 所蔵 | フリック・コレクション、ニューヨーク |
『恋人の戴冠』(こいびとのたいかん、仏: L'Amant couronné, 英: The Lover Crowned)は、18世紀フランス・ロココ期の巨匠ジャン・オノレ・フラゴナールが1771-1772年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。デュ・バリー夫人が、ルーヴシエンヌ城 (château de Louveciennes) の庭園内にあった自身の「プレザンス館」のために 委嘱した「恋の成り行き」4連作中の1点である[1]。連作はすべて1915年にヘンリー・クレイ・フリックに購入されて以来、ニューヨークのフリック・コレクションに所蔵されている[1][2]。
本作は4連作の最後の作品とされる。舞台は想像上の庭園であるが、フラゴナールがイタリア滞在中に訪れたローマ近郊のティヴォリのエステ家別荘の名園がイメージの源泉となっている[1]。モデルはフラゴナール自身と、彼の愛人で当時有名な踊り手であったマリー=マドレーヌ・ギマールともいわれるが、ルイ15世とデュ・バリー夫人がモデルとの説もある[1]。
女性が恋の主導権を握るロココの恋愛を表した本作では、女性が恋人に冠を授けている[1]。彼女が手に持つのは、愛を表すバラと「私を忘れないで」という花言葉の忘れな草で編んだ花飾りである。フラゴナールは、この花飾りで甘美な心情を表現している。女性の右横にはタンバリンが見える。楽器は愛の象徴であり、アントワーヌ・ヴァトーの『愛の調べ』 (ロンドン・ナショナル・ギャラリー) を初め男性が楽器を奏でて愛をささやく場面は、古来より数多く描かれている。フラゴナールは踊りを暗示するタンバリンを配置し、恋の場面を盛り上げている[1]。
フラゴナールは1767年の『ぶらんこ』 (ウォレス・コレクション、ロンドン) で人気を不動のものとしたが、その4年後に描いたのが「恋の成り行き」の連作である[1]。この連作は、一種のヴァトーへの回帰といえる作品群であった[3]。しかし、1748年のポンペイの遺跡発掘によって高まっていた古代ギリシア・ローマへの憧憬は、新古典主義様式という新たな芸術様式を生んでいた。そして、その様式で建てられたデュ・バリー夫人の館は、フラゴナールの様式とあまりに趣を異にしていた。時代の趣味は、軽妙洒脱なロココから堅牢な新古典主義へと確実に変化していたのである[1]。フラゴナールの連作は「拙い絵画」と見なされ、批判された[3]。結果的に委嘱者のデュ・バリー夫人は連作をフラゴナールに返品した。一方、フラゴナールは連作を手放すことはなく、約20年後に故郷のグラースで最後の1枚『棄てられて』を描いている[4]。
「恋の成り行き」連作 (フリック・コレクション蔵)
- 『逢い引き』
- 『追跡』
- 『愛の告白』