火宅の人

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著者 檀一雄
発行日 1975年
発行元 新潮社
火宅の人
著者 檀一雄
発行日 1975年
発行元 新潮社
日本の旗 日本
言語 日本語
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火宅の人』(かたくのひと)は、檀一雄長編小説で遺作。『新潮1955年11月号より20年にわたり断続的に連載された[1][注 1]1975年新潮社で単行本が刊行(現:新潮文庫(上下)、改版2003年)。没後に第27回読売文学賞(小説部門)と、第8回日本文学大賞を受賞した。全集を含めると150万部を超す檀の最大のヒット作[2]

1977年日本テレビ山田信夫脚本テレビドラマ化の準備を進めていたが[3]、遺族の反対で急遽製作中止になり[3]1979年になって同じ日本テレビが山田脚本でテレビドラマ化した。1986年には東映で映画化。1987年4月6日放送の『NHK特集 命もえつきる時 作家檀一雄の最期』(語り草野大悟)では、作品完成に向け苦闘する作者の姿が口述筆記の録音テープと共に紹介された。

「火宅」とは、仏教説話(正確には「法華経 譬喩品」より)の用語で、「燃え盛る家のように危うさと苦悩に包まれつつも、少しも気づかずに遊びにのめりこんでいる状態」を指す。

檀一雄の私小説とされるが[2][4][5][6][7]檀太郎は「小説は小説、事実とは違います」と述べている[2]

桂一雄は幼い頃に両親が離婚したことから、後に自分の人間関係に困難を抱えることとなる。一雄は成長し作家となり、直木賞を受賞するまでになる。息子の次郎は日本脳炎を患った結果、麻痺と知的障害を負うこととなる。妻のヨリ子は宗教に傾倒し、夫婦関係は破綻する。息子が病に倒れた8月9日、彼は青森での旧友太宰治の慰霊碑建立の式典に招かれる。ヨリ子は、その日、ある女性の手によって災いが起こると霊が告げたと語る。一雄は若い助手の恵子を連れて青森へ行き、2人は情事を持つ。東京に戻り、一雄は青森で恵子と一緒にいたことをヨリ子に告白する。恵子は彼の行動を全て知っているのだから、そのことも知っていると言う。ヨリ子は一雄の下を去り、高額な離婚費用を請求すると脅す。一方、子供たちはヨリ子と行動を共にしない。一雄は家を売ることを考えるが、ある嵐の夜、ヨリ子が戻ってきて子供たちを慰める。彼女は一雄に、自分が子供たちと一緒にいるので、一雄は出て行っても構わないと告げる。

一雄は浅草に恵子と2人でアパートを借りる。1年後のある日、一雄の最初の妻リツ子との間に生まれた長男・一郎がそのアパートに盗みに入る。一郎は一雄の不倫に関する本を読んだと言い、自分の盗みのことを小説に書くのかと一雄に尋ねる。恵子は妊娠するが、一雄が結婚するつもりは無いと言うと、女優としてのキャリアを続けるために中絶すると怒り、アパートを飛び出して行く。出版社の中島は一雄に、恵子が裏社会の実力者である島村と寝ているという噂を告げ、島村が一雄を殺すかもしれないなどと言う。次の原稿の締め切りが翌日であるにも拘わらず、その夜、一雄は酒に溺れて悲しみを紛らわせ、街でチンピラと殴り合いの喧嘩をする。目を覚ますと、右手は包帯を巻かれており、親切な葉子と名乗る女性のアパートにいた。恵子の助けを借りられなくなった一雄は、迫りくる締め切りまでに原稿を完成させるため、ヨリ子に口述筆記を頼む。そして2人は悲しみに暮れながらも、自分たちの生活を楽にするため、次郎を養護施設に預ける。恵子は中絶し一雄の下に戻るが、ヨリ子に原稿を手伝わせていたことを知ると激怒する。一雄は恵子を平手打ちし、恵子も反撃し大喧嘩となる。騒音に怯えた隣人たちは一雄の部屋の扉をこじ開け、恵子は一雄をアパートから叩き出す。

一雄は肋骨を骨折した状態で東京を離れ、旅の記録を連載しながら、日本中をあてもなく旅する。船上で偶然葉子と出会い、野崎島の彼女の実家まで一緒に行く。そこで葉子の本名は徳子であり、継父に妊娠させられ、死産したことを知る。長崎へ向けて出発する一雄の船に葉子も飛び乗り、母親が泣く中、一雄と共に去る。2人は魚釣りなどをしながら3か月間放浪生活を送り、クリスマスを迎える。クリスマスに彼女はシンガポールの金持ちからのプロポーズを受けるため、彼の下を去ると告げる。

一雄は恵子のアパートに行くが、彼女はそこにいない。また、大晦日にヨリ子のためにブリを買って帰るが、家までのタクシー代をヨリ子に出して欲しいと頼む始末である。元日、出版社の面々が新年を祝うために家に集まっている。宴席の最中、一雄は恵子のアパートに行くが、彼女は役者仲間の佐々木と新たな恋を始めていた。ヨリ子が恵子のアパートにいる一雄に電話をかけて来て、次郎が亡くなったことを伝える。一雄は病院に駆けつけ、医師は次郎がテレビで見た泳ぎを真似て頭から壁にぶつかったと説明する。恵子はアパートにある一雄の荷物を一雄の家に送るが、最後にもう一度会いに来るようにと古い靴だけを残しておく。恵子はアパートを出るための荷造りを終えていた。彼女は青森の滝の前で撮った自分たちの写真を彼に渡し、2人は最後の一杯のビールを飲む。彼はもう一杯飲もうと言うが、彼女は約束があると言う。家へと歩いている途中、一雄は靴を投げ捨て、写真を破いてしまう。買い物に行く途中のヨリ子と子供たちが彼を見つける。子供たちは写真で一雄と一緒に写っているのは誰なのかと訊くが、ヨリ子はそれを止める。一雄はしばらく家に滞在するので、漬物にするための白菜を買ってきて欲しいとヨリ子に頼む。ヨリ子は、一雄のことは何でも知っているからそう言うだろうと思ったと言う。一雄は子供たち全員を抱え上げ、嬉しそうに家へと向かう。

発表順

  • 第一章「微笑」
    • 「誕生」『新潮』1955年11月
    • 「微笑」『新潮』1961年9月 
  • 「火宅」『新潮』1963年2月
  • 「我が枕」同3月 
  • 「灼かれる人」同4月
  • 「吹雪の地図」同5月
  • 「蝋涙」同6月
  • 「寂光」同7月 
  • 「白夜」同9月
  • 「帰巣者」同10月 
  • 「有頂天」『新潮』1966年8月
  • 「黄なる涙」『新潮』1969年1月 
  • 「きぬぎぬ・骨」『新潮』1971年11月
  • 「キリギリスー「火宅の人」最終章」『新潮』1975年10月 

テレビドラマ

火宅の人
原作 檀一雄
『火宅の人』
企画 山本時雄
脚本 山田信夫
出演者
音楽 内藤孝敏
国・地域 日本の旗 日本
言語 日本語
製作
プロデューサー 川原康彦
松岡明(ユニオン映画
放送
放送チャンネル日本テレビ系列
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1979年7月24日 - 10月9日
放送時間火曜22:00 - 22:54
放送枠火曜劇場
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放送時間

  • 火曜22:00 - 22:54

スタッフ

キャスト

日本テレビ 火曜劇場
前番組 番組名 次番組
火宅の人

映画

脚注

外部リンク

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