越乃Shu*Kura
東日本旅客鉄道が運行している臨時快速列車
From Wikipedia, the free encyclopedia
越乃Shu*Kura(こしのシュクラ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)およびえちごトキめき鉄道が上越妙高駅 - 十日町駅間を妙高はねうまライン・信越本線・上越線・飯山線経由で観光列車として運行する臨時快速列車の愛称、およびこれに使用される鉄道車両の愛称である。
| 越乃Shu*Kura ゆざわShu*Kura 柳都Shu*Kura | |
|---|---|
|
柳都Shu*Kura(2014年9月) | |
| 概要 | |
| 種類 | 観光列車、快速列車 |
| 現況 | 運行中 |
| 地域 | 新潟県(一部の臨時便は県外も運行) |
| 運行開始 |
2014年5月2日(越乃) 2014年5月9日(ゆざわ) 2014年9月12日(柳都) |
| 運営者 |
東日本旅客鉄道(JR東日本) えちごトキめき鉄道 |
| 路線 | |
| 起点 | 上越妙高駅 |
| 終点 |
十日町駅(越乃) 越後湯沢駅(ゆざわ) 新潟駅(柳都) |
| 使用路線 |
JR東日本:信越本線・上越線・飯山線[注 1] えちごトキめき鉄道:妙高はねうまライン |
| 車内サービス | |
| クラス | 普通車 |
| 座席 |
普通車指定席:3号車 旅行商品専用:1号車 |
| その他 | フリースペース:2号車 |
| 技術 | |
| 車両 |
キハ40形・キハ48形気動車 (新潟車両センター新津派出所) |
| 軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
| 電化 |
直流1,500 V(上越妙高駅 - 新潟駅・越後湯沢駅間)[注 2] 非電化(越後川口駅 - 十日町駅間) |
| 運行速度 | 最高100 km/h (62 mph) |
「Shu」は日本酒、「Kura」は酒蔵を表し、新潟県に多い日本酒の蔵元が協力し、車内で日本酒を味わえるのが売り物である[1]。*(アスタリスク)は雪、米、花を象徴しており、新潟県が雪国、米どころ等であることを示している[1]。
本項では、同一の車両を用いて運転される、ゆざわShu*Kura(ゆざわシュクラ:(妙高はねうまライン・信越本線・上越線経由)上越妙高駅 - 越後湯沢駅間)、柳都Shu*Kura(りゅうとシュクラ:(妙高はねうまライン・信越本線経由)上越妙高駅 - 新潟駅間)についても記述する。
概要
「越乃Shu*Kura」は2014年(平成26年)5月2日、高田駅 - 十日町駅間で運行が開始された。
新潟県は同年春季(4月1日 - 6月30日)のデスティネーションキャンペーンの開催地で、キャッチフレーズを、「うまさぎっしり新潟」彩(いろ)とりどりの春めぐり――と銘打ち、「食」「花」「雪」「酒」「匠」の5つのテーマを基に、新潟の多彩な春の魅力をアピールする取り組みが実施された。「越乃Shu*Kura」はその取り組みの一環として、新潟県が日本酒の醸造が盛んで「地酒王国」として知られることにちなんで、「酒」をコンセプトとして企画された列車である[2]。
列車名は新潟県の酒蔵と豊かな自然をイメージして命名されたもので、「越乃」は新潟県の旧国名「越後国」、「Shu」は酒、「Kura」は蔵、そしてShuとKuraの間の「*(アスタリスク)」は米と雪、花を表している。またキャッチフレーズは「水と大地の贈り物」で、日本酒のみならず四季を通じて多種多様な食材に恵まれた新潟県の風土をアピールするものとなっている[3][4]。
「越乃Shu*Kura」は上越妙高駅 - 長岡駅 - 十日町駅間を運行しており、これを基本的な運行区間としている。このほかに2つの運行経路があり、翌週の5月9日に運行を開始した「ゆざわShu*Kura」は上越妙高駅 - 長岡駅 - 越後湯沢駅間を、同年夏季ダイヤの9月運行分から設定され9月12日から運行を開始した「柳都Shu*Kura」は上越妙高駅 - 新潟駅間を運行している。「柳都」は、かつて新潟市中央区の中心市街地に張り巡らされていた堀端の両岸に柳並木が続いていたことにちなむ、同市の異称である。
車内では新潟県で造られた日本酒の利き酒ができ、地元の食材を使用した弁当やつまみなどが提供されるほか、ミュージシャンによるジャズやクラシック音楽の生演奏、地酒や地元食材にまつわるイベントなどが行われる。
また「越乃Shu*Kura」の各停車駅のホーム上には装飾駅名標が設置されている。駅名標は酒樽をイメージしたもので、水(波)、大地(稲穂)、ジャズの3つのテーマがあしらわれているほか、各駅ごとの観光名所や特産品など3点が描かれている[5]。
「Shu*Kura」3列車は上越新幹線と、2015年(平成27年)3月14日に長野駅 - 金沢駅間が延伸開業した北陸新幹線の、両新幹線利用者の観光二次交通手段の一つとして位置付けられている。同日からの春季ダイヤ(3月 - 6月)より、発着駅を高田駅から北陸新幹線と在来線の乗換駅になった上越妙高駅へ延伸した。なお新幹線開業に伴い、同日から信越本線の妙高高原駅 - 直江津駅間は並行在来線として第三セクター鉄道のえちごトキめき鉄道へ移管されたため、JRグループの「フルムーン夫婦グリーンパス」「青春18きっぷ」等のフリー乗車券を利用して、妙高はねうまラインの上越妙高駅 - 直江津駅間にまたがって当列車に乗車する場合は、えちごトキめき鉄道の運賃が別途必要となる[注 3][注 4]。
またJR東日本は、「Shu*Kura」のうち2列車の運行区間沿線にあたる十日町市から小千谷市にかけての信濃川流域に信濃川発電所を設け、首都圏で使用する電力供給を目的として稼働しているが、2008年(平成20年)に発覚したJR東日本信濃川発電所の不正取水問題を受け、両市と地域振興策に関する覚書を締結しており、当列車はその一環としての役割を担っている。また飯山線を管轄するJR東日本新潟支社および長野支社と、北越急行では上越・北陸両新幹線からの観光周遊ルートの開発を進めており[6]、長野支社が同年4月4日から飯山線で運行している臨時快速列車「おいこっと」、北越急行がほくほく線で運行している「ゆめぞら」などと合わせた観光列車による周遊ルートの提案などを行っている[7][8]。
以下、文中では午前に上越妙高駅を発車して十日町・越後湯沢・新潟駅に向かう便を「往路」、午後に十日町・越後湯沢・新潟駅を発車して上越妙高駅に向かう便を「復路」とする。
運行概況
3月から11月まで、主に金曜日・土曜日・休日を中心に1日1往復で運転される。このほかゴールデンウイークなどの多客期には毎日運転される場合がある。
前掲のように、通常時は上越妙高駅 - 十日町駅間を1日1往復する「越乃Shu*Kura」として運行される。運行区間は週単位で設定されており、「ゆざわShu*Kura」「柳都Shu*Kura」の運転日は概ね月に1週ずつ当てられている(ただし「ゆざわ」「柳都」については運行が設定されない月もある)。
なお12月から3月上旬にかけての冬季間は全便運休となり、運行は設定されない。
停車駅
上越妙高駅 - 長岡駅間および長岡駅 - 越後川口駅間のダイヤは往路・復路とも共通化されている。
「越乃Shu*Kura」「ゆざわShu*Kura」は上越線方面発着のため長岡駅で折り返す必要があり、同駅で進行方向が逆になる。この区間では宮内駅 - 長岡駅間を往復することになるが、宮内駅には往路が長岡駅到着前のみ・復路が長岡駅到着後のみ(どちらも信越本線方面)の停車で、上越線方面の経路は往路・復路とも通過する。
「柳都Shu*Kura」は長岡駅での折り返しがないため、進行方向は往復とも変更がない。
なお生演奏・イベントの実施区間はおおよその目安で、前後する場合や実施されない場合がある。
共通区間(上越妙高駅 - 長岡駅)
上越妙高駅 - 高田駅 - 直江津駅 - 潟町駅 - 青海川駅 - 柏崎駅 - 来迎寺駅 - 宮内駅 - 長岡駅
- 生演奏実施区間:青海川駅 - 柏崎駅間(往路:約20分間、復路:約30分間)
- イベント実施区間:柏崎駅 - 宮内駅間(往路・復路とも約20分間)
- 青海川駅では往路6分間・復路19分間(2025年運行時点)停車する。
- 長岡駅・復路の柏崎駅・直江津駅では時間調整または定期列車[注 5]待避のため、数分から15分程度(2025年運行時点)停車する。
越乃Shu*Kura(長岡駅 - 十日町駅)
- 生演奏実施区間:越後川口駅 - 十日町駅間(往路・復路とも約20分間)
- イベント実施区間:長岡駅 - 越後川口駅間(往路・復路とも約20分間)
- 復路の越後川口駅では21分間(2025年運行時点)停車する。
ゆざわShu*Kura(長岡駅 - 越後湯沢駅)
長岡駅 - 小千谷駅 - 越後川口駅 - 小出駅 - 浦佐駅 - 六日町駅 - 塩沢駅 - 越後湯沢駅
- 生演奏実施区間:六日町駅 - 越後湯沢駅間(往路・復路とも約20分間)
- イベント実施区間:長岡駅 - 越後川口駅間(往路・復路とも約20分間)
柳都Shu*Kura(長岡駅 - 新潟駅)
長岡駅 - 見附駅 - 東三条駅 - 加茂駅 - 新津駅 - 新潟駅
- 生演奏実施区間:長岡駅 - 見附駅間、加茂駅 - 新津駅間(往路・復路とも約20分間)
- イベント実施区間:見附駅 - 加茂駅間(往路・復路とも約20分間)
担当運輸区
いずれも運転士・車掌は、えちごトキめき鉄道線内は同社の直江津運転センターが、JR東日本線内は長岡統括センターが担当。JR東日本の車掌は専用の制服を着用して乗務している。
使用車両
3列車とも共通で、新潟車両センター新津派出所所属のキハ40形・48形気動車の専用3両編成が充当される。かつて前面幕は一般車と同じものだった(冒頭画像参照)が、のちに1号車と3号車で編成先頭に立つ部分には当列車のロゴを入れたシールが貼られている。
車内には「観る・聴く・味わうを同時に楽しむ」のコンセプトにならい、様々な仕掛けが施されている。エクステリア部のカラーリングは、「藍下黒」(あいしたぐろ)と呼ばれる伝統色に、雪の色である白[1]を組み合わせた専用塗装となっており、凛とした「新潟の風土」を表現している[4]。また車窓の眺望性を高めるため、大型の窓ガラスを採用している。
座席車は全車普通車で、1号車と3号車の2両とも全席指定席(定員70人)となっている。
1号車(キハ48 558、定員34名)はびゅう旅行商品専用車両で、4人掛けの「らくらくボックスシート」、日本海側に面する2人掛けの「展望ペアシート」、パーテーションで仕切られた2人掛けの「くつろぎペアシート」で構成され、ペアシート2種はいずれも直江津駅 - 柏崎駅間で日本海側を向くように配置されている[9]。
中間車両の2号車(キハ48 1542、定員0名)には、イベントスペースとサービスカウンター「蔵守 - Kuramori - 」が配置されている。イベントスペースの中央部には酒樽をイメージしたスタンディングテーブルが4基、窓際にはカウンターテーブルとバーベンチが設置され、生演奏やイベントなどが実施される。サービスカウンターには利き酒コーナーが設置されているのをはじめ、各種飲料、つまみ、土産品などを販売している[9]。
3号車(キハ40 552、定員36名)は2+2列の回転リクライニングシートを備えているほか、車両先頭部のフリースペースにはソファーが8席設けられ、展望などを楽しむことができる[9]。3号車の座席は一般発売用で、指定席券は全国のみどりの窓口で購入することができる。えきねっとでの予約も可能で、全区間でえきねっと特典の対象となっている(2020年時点は指定席券売機でも発売している[注 6])。なお妙高はねうまライン内のみの指定席券発売は行っていない。
- 1号車(キハ48 558)
- 2号車(キハ48 1542)
- 3号車(キハ40 552)
- 1号車の車内
- 1号車展望ペアシート
- 2号車イベントスペース
- 2号車サービスカウンター「蔵守~Kuramori~」
車内サービス
往路・復路とも乗車時にはアテンダントが車内を巡回し、1号車・3号車の全ての乗客に地酒の振る舞いが行われる(未成年者など飲酒できない乗客を除き、また蔵元イベント開催時を除く)。
1号車のボックスシート・ペアシートは前掲のように旅行商品専用となっており、JR東日本管内の「びゅうプラザ」各店で当列車に乗車する旅程を含む旅行商品(「『Shu*Kura』日帰りコース」など)を予約した場合に限り利用できる(1号車の指定券はみどりの窓口・指定席券売機等では購入不可)。乗客には1号車専用のShu*Kuraオリジナルメニュー「水と大地の贈り物」が提供されるのをはじめ、乗車記念品として地酒の2本セット・おちょこ・巾着と、後述の2号車のサービスカウンターで利用できる「呑みくらべクーポン」3枚がプレゼントされる。なお地酒2本セットは後述の「基本コース」の乗客にのみ進呈される。このほか「ソフトドリンクコース」および未成年・こどもの乗客には地酒セットの代替として緑茶(ペットボトル入り)と清涼飲料(瓶もしくはペットボトル入り)各1本が進呈される。また未成年の乗客には、おちょこ・巾着のセットおよび呑みくらべクーポンの代替としてオリジナルグッズのセットが進呈される。なお、こどもの乗客の特典は前掲のソフトドリンク2本セットのみとなっている。
新潟県産の食材を中心に構成されたオリジナルメニューは午前の往路、午後の復路で異なる献立が用意されており、往路では朝食をイメージした「Echigo-Breakfast」、復路では酒のつまみを主体とした「Echigo-Kurameshi」が提供される。いずれもウェルカムドリンクの日本酒カクテル1杯と、前掲の地酒2本セットが用意されるが、飲酒可能な乗客向けの「基本コース」と、飲酒できない乗客向けの「ソフトドリンクコース」を選択することができ、その旨についてアテンダントが乗車後に確認を行っている。ソフトドリンクコース・未成年者・こどもの乗客にはウェルカムドリンクとしてソフトドリンクのカクテルが用意される。また食後のスイーツとして、全乗客に沿線の銘菓が提供される。このほか、オリジナルメニューに新潟県産食材を使用した料理1品と発泡性純米酒1本を追加できるオプショナルプランも用意されている(旅行商品の予約時に2名以上での申し込みが必要)。なおオリジナルメニューの提供は1号車のみとなっており、3号車の乗客向けの発売は行わない。
2号車のイベントスペースでは生演奏のほか、沿線にある酒造会社が酒を持ち寄る「蔵元イベント」や地元食材に関するイベントなどが行われる(3列車ごとの演奏・イベント実施区間は「停車駅」を参照)。サービスカウンターでは地元の食材を使用したつまみやビール、ソフトドリンク、弁当、土産品などを販売しているほか、利き酒コーナーでは常時5種類の地酒を楽しむことができる。当初は利き酒などで使用する「呑みくらべクーポン」は5枚つづり500円、10枚つづり1,000円で販売しており、酒のグレードによって交換枚数が設定されていた(おちょこ1杯=約45ml)。現在はこのクーポンが廃止され、通常の車内販売同様に現金・交通系ICカード・クレジットカードでの支払いが可能となっている。なお車内販売はカウンターでの待受販売のみで、ワゴンによる巡回販売は実施していない。
このほか、停車駅各駅では季節に応じた各種イベントが開催されている。
- 1号車で提供されるオリジナルメニュー「水と大地の贈り物」
- 利き酒コーナー(平成29年9月の例)
- 蔵元イベントの酒(例)