トロンテス
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| トロンテス | |
|---|---|
| ブドウ (Vitis) | |
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| 色 | 白 |
| 種 | Vitis vinifera |
| 別名 | トロンテス・リオハーノ、トロンテス・サンフアニーノ、トロンテス・メンドシーノ、トロンテル、他 |
| 主な産地 | アルゼンチン |
トロンテス(西: Torrontés)は白ブドウ品種であり、主にアルゼンチンで生産されていることで知られている。適度な酸と滑らかな口当たり、特徴的なピーチやアプリコットの香りを有するフレッシュでアロマティックなワインを産する[1]。アルゼンチンには3種類のトロンテス品種が存在する;最も多く生産されているトロンテス・リオハーノ(西: Torrontés Riojano)とトロンテス・サンフアニーノ(西: Torrontés Sanjuanino)、トロンテス・メンドシーノ(西: Torrontés Mendocino)である。ワインの質で注目を集めたのは主にトロンテス・リオハーノであり、単にトロンテスと表示されているほとんどのアルゼンチンワインで使用されているのはこの品種である[2]。
三種のトロンテスは比較的似ているが、ある程度分かりやすい違いがある。トロンテス・リオハーノとトロンテス・サンフアニーノは共に色の淡い実が大きく隙間のある房を成す傾向にあるが、トロンテス・メンドシーノはより暗く黄色がかった実が小さく隙間の少ない房を成す。トロンテス・リオハーノが三種の中で最もアロマティックな品種であり、モスカテルやゲヴュルツトラミネールから作られたワインを思わせるような香りがある。トロンテス・メンドシーノは最もアロマティックさが少なく、栽培面積も最も少ない。トロンテス・サンフアニーノはその中間である[3]。アルゼンチンの三種のトロンテスはいずれもヨーロッパブドウのアメリカ生まれと推測される栽培品種を意味するクリオジャ品種に属している[4]。
アルゼンチンでは約8,700ヘクタールのトロンテス・リオハーノと約4,850ヘクタールのトロンテス・サンフアニーノが栽培されている。アルゼンチンの最北部のカルチャキ渓谷の非常に高い標高(1,700メートル以上)で栽培されているトロンテスが近年、成功を収めた。トロンテスは非常に収量が多く、栽培面積としては全白ブドウ品種の10%弱だが、ヴァラエタルワインとしてはアルゼンチンで2008年に販売された全白ワインの20%近くを占めている。アルゼンチン北西部のサルタ地方はブドウが寒く乾燥した風の強い環境にさらされることからトロンテスの名産地として特に知られている。

DNA型鑑定を用いた近年の研究によると、三種のトロンテスは遺伝的に近縁ではあるが異なるブドウ品種であり、トロンテス・リオハーノとトロンテス・サンフアニーノ、そしてトロンテル(西: Torontel、モスカーテル・アマリージョ(西: Moscatel Amarillo)としても知られる)は全てミッション種(当初はクリオジャ・チカ(西: Criolla Chica)と報告されていた)とマスカット・オブ・アレキサンドリアの異なる交雑種であることが示されている[5][6][7]。トロンテス・メンドシーノはおそらくマスカット・オブ・アレキサンドリアと何らかの品種の交雑種であることが分かっているが、その品種は現時点では明らかではない[8]。トロンテスがマスカットに似ていることから、マスカット・オブ・アレキサンドリアとの関係性は想定されていたが、その血統にミッション種やクリオジャ・チカが含まれることは研究者たちには予想外であった[9]。
長年の間、南米のトロンテスはアルビージョ・マヨール(西: Albillo Mayor)としても知られるスペインのガリシア地方のトロンテスと同品種であると信じられていた。この広く信じられていた考えはガリシアの労働者のアルゼンチンへの移住の波がアルゼンチンの歴史を通じて頻繁に起きたことにも起因している[2]。ワイン専門家のジャンシス・ロビンソンでさえ、世界のブドウ品種に関する1986年の著書にそのように記載していたほどである[1]。しかしながら、近年のDNAの研究結果によるとアルゼンチンとスペインのトロンテスには直接の関係性がない可能性が高いことが示されており[10]、最近のジャンシス・ロビンソンの著書ではこの新しい発見を認めている[2]。
ワイン生産地域


トロンテスはアルゼンチン全域で栽培されており、栽培面積は安定して増えている。栽培面積の増加はトロンテスが米国や英国などの国々でかなりの成功を収めたことによるアルゼンチンワインの輸出の増加にも起因するが、異なるトロンテスの種類に対する理解や識別ができるようになったことに伴い、栽培面積の集計が改善されたことにも起因している。アルゼンチンでの栽培の歴史の(20世紀末までに至る)ほとんどの期間においてトロンテスの栽培はペドロ・ジメネスやユニ・ブランといった白ブドウ品種に対して後塵を拝してきた[2]。しかしながら、21世紀初頭までにそれら二種のブドウ品種の栽培が減少し、トロンテスの人気が高まったことで、2008年時点ではアルゼンチンで最も広く栽培されている白ブドウ品種となっている[4]。
様々なトロンテスはアルゼンチンの様々な地方でそれぞれの地位を確立している。トロンテス・リオハーノはアルゼンチン北部のラ・リオハ州とサルタ州で広く栽培されており、ラ・リオハ州では(赤ワイン用と白ワイン用の合わせた中で)最も広く栽培されている。サルタ州ではトロンテス・リオハーノはしばしば海抜1,600メートルを超えるような高い標高で砂地の土地に植えられる。ここでは厳しい生育環境により高い酸度とはっきりした香りがもたらされる[4]。
乾燥したサンフアン州ではトロンテス・サンフアニーノの栽培がみられるが、トロンテス・リオハーノと比べるとその栽培面積はずっと少ない。トロンテス・メンドシーノは最も栽培面積の少ない品種であり、そのほとんどが南部のリオネグロ州でみられる[2]。
アルゼンチン国外
トロンテスはチリでも栽培されている。しかしながら、その正確な栽培面積(およびどの品種が栽培されているか)は完全には明らかではない。1996年にジャンシス・ロビンソンは数百ヘクタールのトロンテルが栽培されていると記載したが、その一部は実際にはガリシアのトロンテスである可能性がある。さらに、トロンテスはチリではしばしばモスカテル・デ・オーストリア(西: Moscatel de Austria)の別名で知られているが、それはトロンテス・サンフアニーノであると信じられている[2]。
ワイン専門家のオズ・クラークによると、チリのトロンテスの栽培のほとんどはトロンテス・リオハーノであり、主にチリのブランデーであるピスコの生産に用いられている[3]。
トロンテスはボリビアのサマイパタでも栽培されている[11]。
スペインのトロンテス
DNAの研究結果によるとガリシアのトロンテスと南米のトロンテスには関係がない可能性が高いが、消費者は未だにトロンテスと記載されたガリシアのリベイロやカナリア諸島のグラン・カナリア(マデイラのテランテス種である可能性が高い)、モンティーリャ・モリーレスやビノス・デ・マドリッドといったデノミナシオン・デ・オリヘンのスペインワインを見かける可能性がある[3]。
