ウルグベグサウルス
From Wikipedia, the free encyclopedia
| ウルグベグサウルス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ウルグベグサウルスのホロタイプ標本と骨格図 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 後期白亜紀チューロニアン (約9000万年前) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Ulughbegsaurus Tanaka et al., 2021 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| U. uzbekistanensis |
ウルグベグサウルス(学名:Ulughbegsaurus)は、約9000万年前に後のウズベキスタンに生息していた獣脚類の恐竜の属。筑波大学と北海道大学などの研究チームにより記載され、2021年に命名された。上顎骨から全長7.5 - 8メートル程度と推定されている。ティムルレンギアと同一の層から化石が産出したことから、カルカロドントサウルス類はティラノサウルス上科よりも高次の消費者として約9000万年前まで彼らと共存しており、頂点捕食者の生態的地位が後者に移り変わったのはそれ以降であると示唆されている。
ウルグベグサウルスは、1970年代から1990年代の間に[1]ソビエト連邦の研究者により[2]、中央アジアのウズベキスタン(ザラクドゥク)に分布する上部白亜系ビセクティ層から上顎骨が発見された[3]。
その後未同定のまま[4]、同国のタシュケントに位置するウズベキスタン共和国国家地質鉱物資源委員会付属国家地質博物館に保管・所蔵されていた[3]。そのことを知った筑波大学の田中康平らが現地に赴いて調査を行い、後述する形質に基づいて新属新種と判断した[4]。
タイプ種に命名された学名は Ulughbegsaurus uzbekistanensis(ウルグベグサウルス・ウズベキスタネンシス)で、「ウズベキスタンのウルグ・ベグのトカゲ」という意味になる。なお、ウルグ・ベグは15世紀にウズベキスタン地域を支配していたティムール朝の君主である[2][3]。
特徴
ウルグベグサウルスのホロタイプ化石は上顎骨の一部のみが保存されている。記載段階での標本はホロタイプ UzSGM 11-01-02(左上顎骨)、CCMGE 600/12457(左上顎骨の枝の端)、ZIN PH 357/16(右上顎骨の後側端)の3つのみが知られている[5]。2025年の研究では、ウズベキスタンのKhodzhakul層から産出した上顎がUlughbegsaurus sp.に割り当てられた[6]。
ホロタイプ
保存されている上顎骨の前後の長さは24.2センチメートル、上下の高さは13.1センチメートルである。第1歯槽が損壊して上顎骨歯が露出しているため、前上顎骨との関節面は保存されていない[5]。本属の固有派生形質としては、前眼窩窓の稜線状の縁に沿ってコブが存在すること、外側面に縦方向の皺が存在すること、外側面の腹側縁に浅い楕円形の窪みが連続すること、歯板の背側縁に大型の孔が配列していることの計4つが挙げられる[3][4]。カルカロドントサウルス類としての分類は系統解析の結果に基づくものである[3]。
獣脚類の上顎骨は体サイズの指標に用いることが可能である。第2歯槽から第8歯槽までの長さが23センチメートルと、比較的大型のアロサウルス上科の恐竜であるヤンチュアノサウルスの19.5センチメートルよりも長いことから、ウルグベグサウルスの全長は最低でも7メートルに達したと推定される。また、さらなる回帰分析により、全長は7.5 - 8メートル、体重は1トン以上と見積られている[5]。この推定が正しければウズベキスタンから産出した肉食恐竜としては最大の種となる[2][3]。
その他の標本
CCMGE 600/12457は、左上顎骨の枝の端である。ホロタイプ標本の保存部位と解剖学的に重複はしていないが、内外の幅が共に約23ミリメートルで共通している点と、歯板が歯間壁を強固に形成している点、前眼窩窓の縁に沿って一連の小さな結節がある点が共通しているため、同一個体の標本と考えられている。なお、この標本はかつてティラノサウルス上科の化石として記載され、その後ドロマエオサウルス科のイテミルスの骨として再記載された経緯がある[5]。
ZIN PH 357/16 は右上顎骨の後側端である。形状は CCMGE 600/12457 と類似しているため、前眼窩窓の縁は保存されていないが本属の可能性がある[5]。