酸化ホルミウム(III)
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| 物質名 | |
|---|---|
酸化ホルミウム(III) | |
別名 酸化ホルミウム, ホルミア | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
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| ChemSpider | |
| ECHA InfoCard | 100.031.820 |
| EC番号 |
|
PubChem CID |
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| UNII | |
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| Ho2O3 | |
| モル質量 | 377.858 g·mol−1 |
| 外観 | 淡黄色の不透明粉末 |
| 密度 | 8.41 g cm−3 |
| 融点 | 2,415 °C (4,379 °F; 2,688 K) |
| 沸点 | 3,900 °C (7,050 °F; 4,170 K) |
| バンドギャップ | 5.3 eV [1] |
| 磁化率 | +88,100·10−6 cm3/mol |
| 屈折率 (nD) | 1.8 [1] |
| 構造 | |
| 立方晶, cI80 | |
| Ia-3, No. 206 | |
| 熱化学 | |
| 標準定圧モル比熱, Cp⦵ | 115.0 J mol−1 K−1 |
| 標準モルエントロピー S⦵ | 158.2 J mol−1 K−1 |
標準生成熱 (ΔfH⦵298) |
−1880.7 kJ mol−1 |
| 危険性 | |
| GHS表示: | |
| Warning | |
| H319, H410 | |
| P264, P273, P280, P305+P351+P338, P337+P313, P391, P501 | |
| 安全データシート (SDS) | External MSDS |
| 関連する物質 | |
| その他の 陰イオン |
塩化ホルミウム(III) |
| その他の 陽イオン |
酸化ジスプロシウム(III) 酸化エルビウム(III) |
| 関連物質 | 酸化ビスマス(III) 酸化ユウロピウム(III) |
酸化ホルミウム(III)(酸化ホルミウム)は、希土類元素であるホルミウムと酸素からなる化合物で、化学式は Ho2O3 である。酸化ジスプロシウム(III)(Dy2O3)とともに、酸化ホルミウムは非常に強い常磁性を示す物質の一つとして知られる。酸化物は ホルミア(holmia)とも呼ばれる。関連する鉱物であるエルビア(酸化エルビウム(III))には、酸化ホルミウム(III)が成分として含まれることがある。一般に、3価のランタノイドの酸化物は自然界で共存し、これらを分離するには特殊な方法が必要となる。酸化ホルミウムは特殊着色ガラスの製造に用いられる。酸化ホルミウムを含むガラスや酸化ホルミウム溶液は、可視域に鋭い光吸収ピークを多数示すため、分光器や光学分光光度計の波長校正標準として伝統的に利用されてきた。
外観
酸化ホルミウムは照明条件によって色調が大きく変化する。日光下では黄褐色に見える一方、三原色光下では燃えるような橙赤色となり、同条件での酸化エルビウム(III)の見え方とほとんど区別できないことがある。これは蛍光体の鋭い発光帯と関係する。[2] 酸化ホルミウムは 5.3 eV の大きなバンドギャップをもつため[1]、本来は無色に見えるはずである。黄色味は、酸素空孔などの格子欠陥が多いことに由来し、Ho3+ の内部遷移とも関連づけられている。[2]
結晶構造


酸化ホルミウムは立方晶であり、単位格子当たりの原子数が多く格子定数も大きいビクスバイト型の複雑な構造をとる。格子定数は 1.06 nm とされる。この構造は、Tb2O3、Dy2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3 などの重希土類酸化物に共通する特徴である。Ho2O3 の熱膨張係数も比較的大きく、7.4 ×10−6/°C とされる。[3]
化学
酸化ホルミウムを塩化水素または塩化アンモニウムで処理すると、対応する塩化ホルミウムが得られる。[4]
- Ho2O3 + 6 NH4Cl → 2 HoCl3 + 6 NH3 + 3 H2O
また、酸化ホルミウム(III)は高温下で硫化水素と反応して硫化ホルミウム(III)を与える。[5]
歴史
ホルミウム(Holmia はラテン語でストックホルムを意味する)は、1878年にマルク・ドラフォンテーヌとジャック=ルイ・ソレが、当時未知であった元素の異常な分光吸収帯を観測したことに端を発する(彼らはこれを「元素X」と呼んだ)。[6][7] その後1878年、ペール・テオドール・クレーヴがエルビア(酸化エルビウム)の研究中に独立にこの元素を見いだした。[8][9]
クレーヴはカール・グスタフ・モサンダーが開発した方法を用いて、エルビアから既知の不純物を除去した。その結果、褐色の物質と緑色の物質の2つが得られ、褐色の方を holmia(ストックホルムのラテン名に由来)と命名し、緑色の方を thulia と命名した。後に holmia は酸化ホルミウム(III)、thulia は酸化ツリウム(III)であることが判明した。[10]
産出
製造
酸化ホルミウムの抽出過程は概略として次のように表せる。鉱石混合物を破砕し粉砕する。モナズ石は磁性を利用し、電磁分離を繰り返すことで分離できる。分離後、熱濃硫酸で処理し、複数の希土類元素の水溶性硫酸塩を得る。酸性のろ液を水酸化ナトリウムで pH 3-4 に部分中和すると、トリウムが水酸化物として沈殿し除去される。続いて、溶液にシュウ酸アンモニウムを加えて希土類元素を不溶性シュウ酸塩に変換し、これを焼成して酸化物とする。酸化物は硝酸に溶解させるが、主要成分の一つであるセリウムの酸化物は硝酸に不溶なため除外される。
酸化ホルミウムを希土類から分離するうえで最も効率的な手順はイオン交換である。この方法では、希土類イオンをイオン交換樹脂に吸着させ(樹脂中の水素、アンモニウム、または銅(II)などのイオンと交換させる)、その後、クエン酸アンモニウムやニトリロ三酢酸などの錯化剤を用いて選択的に溶出させる。[4]



