予知夢 (東野圭吾)

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著者 東野圭吾
発行日 2000年6月20日
発行元 文藝春秋
予知夢
著者 東野圭吾
発行日 2000年6月20日
発行元 文藝春秋
ジャンル ミステリ推理小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製カバー装
ページ数 240
前作 探偵ガリレオ
次作 容疑者Xの献身
公式サイト books.bunshun.jp
コード ISBN 978-4-16-319290-1
ISBN 978-4-16-711008-6文庫判
ウィキポータル 文学
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予知夢』(よちむ)は、東野圭吾による連作推理小説[1]ガリレオシリーズ第2作[2]

天才物理学者・湯川学が大学時代からの友人である刑事・草薙俊平の依頼を受け、超常現象とも取れる不可解な事件を科学によって解決していくミステリー[ep 1][ep 2][ep 3][ep 4][ep 5]

オール読物』(文藝春秋)1998年11月号から12000年1月号までに収録作の5編が掲載されたのち、2000年6月20日に単行本が同社より刊行された[1]。2003年8月10日には三橋暁の解説を収録した文春文庫版が刊行された [2]

2007年に本作とシリーズ前作『探偵ガリレオ』を原作として、福山雅治主演でテレビドラマ化された。

制作背景

シリーズ前作『探偵ガリレオ』では最先端科学や専門知識を必要とするトリックを取り入れたが、第五章・離脱る(ぬける)だけは若干オカルト要素を含むエピソードであった[3]

東野は「離脱る」を執筆後、再び作品に湯川を登場させるとしたら、次は湯川がオカルト事件を解決するエピソードならば読者に受け容れられやすいとの感触を得ており[3]、本作で湯川が調査する事象が予言幽霊ポルターガイスト火の玉、予知夢とオカルト要素が取り扱われている[3]

あらすじ

第一章・夢想る(ゆめみる)
深夜、世田谷の一軒の屋敷に男が侵入する。異変に気づいた家主の母親が猟銃を発砲し、男は逃走。その途中で死亡ひき逃げ事件を起こし、ほどなく警察に逮捕される。取り調べに対し男は一連の犯行を認めたものの、侵入の動機については「この家に住む女性、モリサキレミとは、17年前から結ばれる運命だった」と不可解な供述をする。その言葉を裏付けるかのように、男の小学校時代の文集には、いずれも「モリサキレミ」の名が記されていた。しかし17年前、女性本人はまだ生まれておらず、男と屋敷の間に接点は一切ない。これは予知夢なのか、それとも単なる偶然の一致なのか。
草薙は半ば藁にもすがる思いで湯川を訪ねる。湯川は、事件当日、男が受け取ったとされる一通の招待状に興味を示し、捜査への協力を引き受ける。容疑者の自宅を訪れた湯川は、そこで一枚の絵を発見する。やがて彼は、この事件の背後に潜む、長い因縁の存在に気づき、静かに推理を深めていく。
第二章・霊視る(みえる)
午前一時、マンションの一室で女性が絞殺されているのを、同じ店で働く同僚の女性が発見する。現場から逃走する男の横顔を目撃した彼女は、ただちに警察へ通報。ほどなくして男は逮捕され、犯行を認めたうえで「衝動的に首を絞めた」と供述する。
ところが、被害者が殺害されたとされるほぼ同時刻、彼女は別の場所で目撃されていた。目撃者は被害者の恋人である男性。事件当時、彼は友人と容疑者の部屋で留守番をしていたが、深夜、窓の外に被害者の姿を見たという。被害者が容疑者を避けていたことを知る彼は、彼女がこの場所に現れたことに強い不安を覚え、電話をかけ、被害者の遺体が発見されたとの知らせを受ける。
報告書がオカルトめいた方向へ傾くことを危惧した刑事・草薙は、物理学者・湯川を訪ねる。湯川は被害者の手首に残された奇妙な傷に興味を示し、捜査への協力を引き受ける。やがて湯川は、容疑者の自宅に残されたある痕跡に気づき、この事件が偶然や衝動ではなく、綿密に仕組まれたものであるという真相にたどり着く。
第三章・騒霊ぐ(さわぐ)
非番の日、草薙は姉・森下百合に頼まれ、ある女性の相談に応じる。百合の友人の妹だというその女性の夫が、5日前から行方不明になっているというのだ。さらに、その夫が頻繁に出入りしていた家の老婆も、最近亡くなったばかりだという。だが事件性を裏づける材料に乏しく、警察としてすぐに動くことはできない。草薙は歯切れの悪い返事をするしかなかった。
それから2週間後、再び女性から連絡が入り、彼女は奇妙な話を持ち出す。亡くなった老婆の家を見張っていると、現在そこに住む甥夫婦らが、毎晩きっかり8時になると必ず外出するというのだ。その夜、草薙は密かに甥夫婦らを尾行するが、特に変わった行動を取ることもなく、ほどなくして家へ戻っていった。ところがその間、家の前に残っていた女性は、血の気を失った顔で「誰もいないはずの家の中から、物音がするんです」と草薙に訴える。
翌日、草薙たちは同じ時刻を狙い、許可を得ないままその家に侵入、内部を調べ始めたその瞬間、突然、家全体が激しく揺れ始める。取り乱した草薙は、この手の怪異を嫌う物理学者・湯川を訪ねる。話を聞いた湯川は表情を引き締め、「君が思っている以上に、事態は深刻だ」と言って現象の分析を始める。
第四章・絞殺る(しめる)
ホテルの一室で発見された工場経営者の男性の遺体には、細い紐のようなもので絞められた痕が残っていた。警察は他殺、すなわち絞殺事件として捜査を開始する。草薙は、ベッド脇のカーペットに残る焦げ跡や、絞め痕に沿って不自然に擦り切れた皮膚など、単なる絞殺とは思えない違和感を覚え、現場に湯川を呼び寄せる。
事件当日、被害者は「以前貸した金を返してもらう」と言い残して外出していた。現場には犯人のものと思われる飲みかけの缶コーヒーとタバコの吸殻が残されていたが、そこから人物を特定には至っていなかった。調べを進めるうち、被害者がここ数か月の間に複数の生命保険に加入していた事実が判明し、警察は被害者の妻に疑いの目を向ける。取り調べの結果、妻には死亡推定時刻のアリバイがないことが明らかになる。真相を探るため、草薙と湯川は被害者の工場を訪れ、そこで「あるもの」を発見するが1週間後、被害者の妻は事件当夜のアリバイを思い出し、それが完全に立証される。
再び被害者宅を訪れた草薙は、娘から「事件の前日に火の玉を見た」という不可解な証言を得る。捜査は振り出しに戻ったかに思われたが、事件の検証を進めていた湯川から草薙に電話が入る。草薙が火の玉の話を伝えると、湯川は思わず「じつに面白い、すばらしい」と声を上げる。そして翌日、第十三研究室において、湯川から驚くべきトリックが明かされる。
第五章・予知る(しる)
マンションの一室で、女性が首を吊った状態で死亡しているのが発見される。向かいのマンションには、彼女の不倫相手の男が住んでおり、カーテンを開ければ互いの部屋の中が見える距離にあった。女性は死の直前、男に電話をかけ、「奥さんと別れなければ覚悟がある」と告げ、自室のパイプハンガーに紐を掛けた様子を男に見せつけるようにして首を吊っていた。事件は不倫相手への当てつけによる自殺と結論づけられ、幕を閉じたかに思われた。
だが捜査にあたっていた草薙の同僚刑事は、不倫相手の男の隣室に住む女性から、奇妙な証言を得る。彼女の娘が事件当日よりも前に、向かいの同じ部屋で「女性が首を吊るのを見た」と話していたというのだ。同僚からその話を聞いた草薙は、湯川を半ば強引に連れ出し、再捜査に乗り出す。少女は「2、3日前の夜中に目が覚めてカーテンを開けると、向かいの部屋で女性が首を吊っていた。それを見て気を失ってしまった。でも翌日、その女性はベランダで楽しそうに電話をしていた」と証言する。矛盾をはらんだその証言から、湯川はこの自殺が「芝居」によるものではないかという仮説を立て、見せかけの死を成立させたトリックの解明へと踏み込んでいく。

登場人物

シリーズレギュラー

湯川学
帝都大学物理学助教授。理工学部物理学科第十三研究室に所属。帝都大学物理学部卒。
長身で色白、白衣をまとい黒縁眼鏡をかけた知的な顔つき。
草薙俊平
警視庁捜査一課の刑事。巡査部長[注 1]。帝都大学社会学部卒で湯川とは同期であり、友人。

警視庁

間宮
捜査一課係長[ep 4]。警部。草薙の上司。
牧田
草薙の後輩にあたる捜査一課の刑事[ep 1][ep 2][ep 3][ep 4]。草薙曰く、「人間がしっかりしている」。
小田
所轄の刑事[ep 5]。自殺の目撃者が他にいないか確認した際、自殺を2日前に予知していた少女に行き当たる。

夢想る(ゆめみる)

坂木信彦(さかき のぶひこ)
住居侵入とひき逃げの容疑者[ep 1]。27歳。家業の「坂本電気工事店」で電気工事を手伝う。
2か月前から礼美に付きまとい、自分と礼美が結ばれる運命にあると17年も前から決まっていたと主張する。
森崎礼美(もりさき れみ)
16歳の女子高生[ep 1]。坂木が「結ばれる運命にあった」と供述した相手と推定されている。
坂木の付きまといを怖がり、外出をしたがらなかった。
森崎由美子(もりさき ゆみこ)
礼美の母親で、彼女の名付け親[ep 1]。礼美を守るため侵入した坂木に向け、夫の所持する猟銃で発砲した。
森崎敏夫(もりさき としお)
礼美の父親で輸入販売業の社長[ep 1]。事件当日は海外出張中で不在であった。坂木への怒りを隠せない。
中本(なかもと)
坂木の小学校時代の同級生[ep 1]。27歳。七三分けで落ち着いた雰囲気。
小学校の卒業間近にクラスのみんなに書いてもらったサイン帳に、坂本が「森崎礼美」と書き込んでいたのを草薙に見せる。
富子(とみこ)
坂木信彦の母親[ep 1]。息子が小学4年生の頃から「森崎礼美」の名前を口にし始めたことをよくわからないと湯川に伝える。
香奈子(かなこ)
坂木信彦の実姉[ep 1]。信彦が事件を起こした直後に父親が倒れ寝込んだことから、実家に手伝いに来ている。
信彦が小学2年生の頃、公園でよく遊んでいた女の子が交通事故死し、女の子の父親から形見の人形を信彦がもらったことを思い出す。
桜井真子(さくらい まこ)
信彦が小学2年生の頃、公園でよく遊んでいた女の子[ep 1]
桜井努(さくらい つとむ)
真子の父親[ep 1]。イラストや本の装丁のデザイナー。かつて池袋のカルチャースクールでブックデザインを教える講師をしていた。
娘の交通事故当時は坂本家の近くのマンションに住んでいたが、現在は引越している。

霊視る(みえる)

長井清美(ながい きよみ)
事件の被害者[ep 2]。クラブ「Tatoo」のホステス。小杉に交際を迫られてることにうんざりしていた。
写真撮影に凝り小さなカメラを持ち歩いている。心霊写真が撮れると言われる霊園に行った際、本人曰く「幸運な写真」を撮影している。
小杉浩一(こすぎ こういち)
元ラガーマンのフリーランスのスポーツライターで、事件の容疑者[ep 2]。女と付き合うのが苦手な男だったが、殺害した清美に惚れて、交際しようとしていた。
細谷忠夫(ほそや ただお)
会社員。清美の幽霊の目撃者[ep 2]。小杉とは大学のラグビー部で出会って以来の友人。実は清美と交際しており、事件当日もデートをしていた。
小杉に清美との交際を打ち明けようと彼の自宅へ電話するが留守番を頼まれていた山下に捕まり、彼の留守番に付き合わされ、そこで清美の幽霊を目撃する。
山下恒彦(やました つねひこ)
小杉と細谷の友人[ep 2]。無職。近所からペルシャ猫を預かっていた小杉が急遽取材に出かけることになったと、留守番と猫の世話を依頼されていた。
退屈を凌ぐため、電話をかけてきた細谷を留守番に誘う。
織田不二子(おだ ふじこ)
クラブ「Tatoo」のホステス[ep 2]。清美と同じマンションに住む友人で、彼女の死体の第一発見者。
細谷の頼みで清美の部屋に向かう際に、階段を駆け下りていく店の常連客で見覚えのあった小杉を目撃しており、彼の逮捕に繋がる。
前田千晶(まえだ ちあき)
フレンド・スケートクラブのフィギュアスケート選手[ep 2]。中学2年生。クラブのなかでは別格の存在。
世界の舞台に立たせたいと思う金沢頼子から、熱心な指導をうけている。
金沢頼子(かなざわ よりこ)
フレンド・スケートクラブの主任指導員[ep 2]。前田千晶を取材する小杉とは面識があった。
石原由里(いしはら ゆり)
フレンド・スケートクラブの小学生指導員[ep 2]

騒霊ぐ(さわぐ)

神崎弥生(かんざき やよい)
俊之の妻[ep 3]。失踪した夫の居場所を突き止めようとするが、警察が真剣に取り合わないため、危険な行動に出る。草薙いわく、「論理的な勘」の持ち主。
神崎俊之(かんざき としゆき)
健康機器メーカーのサービスエンジニア[ep 3]。メンテナンスで多くの老人ホームを訪問している。八王子の老人ホームを出たのを最後に、消息が途絶える。
高野ヒデ(たかの ヒデ)
生前、俊之から親切にされていた高齢女性[ep 3]。俊之が失踪した日に心臓麻痺で亡くなっている。夫から相続した多額の財産を持つ。
高野昌明(たかの まさあき)
ヒデの甥[ep 3]。妻の他に、友人夫婦と共にヒデの自宅に寝泊まりしている。無職で、博打に手を出し借金を抱えている。
理枝(りえ)
昌明の妻[ep 3]
近藤(こんどう)
高野夫婦と同居している男[ep 3]。30代後半。昌明はヒデには友人だと説明していた。柔道二段の腕前。
森下百合
草薙の実姉[ep 3]。友人の妹である神崎弥生の相談に乗って欲しいと、非番の草薙を新宿の高級ホテルのティーラウンジに呼び出す。

絞殺る(しめる)

矢島忠昭(やじま ただあき)
「ヤジマ工業」の社長[ep 4]。ホテルで絞殺体が発見される。遺体発見の前日、「以前貸した金を返済してもらえることになった」と言い残し外出している。
かつては多くの従業員を抱えていたが、業績悪化により工場は経営危機に瀕している。ここ数か月の間に複数の生命保険に加入している。
矢島貴子(やじま たかこ)
忠昭の妻[ep 4]。夫と共に工場を支えてきた。夫が絞殺された犯行推定時刻に買物に出かけていたがアリバイを証明できず、容疑者として取り調べを受ける。
秋穂(あきほ)
忠昭と貴子の娘[ep 4]。小学5年生。事件前日の夜中にトイレに行った際、工場にいた父親と「火の玉」を目撃している。
光太(こうた)
忠昭と貴子の息子[ep 4]。小学3年生。
坂井善之(さかい よしゆき)
「ヤジマ工業」の最古参社員[ep 4]。矢島夫婦の苦労をよく理解している。通称「ヨシさん」。
鈴木和郎(すずき かずお)
「ヤジマ工業」の若手社員[ep 4]。30代半ば。通称「カズ」。
田中次郎(たなか じろう)
「ヤジマ工業」の若手社員[ep 4]。30代半ば。
蒲田(かまた)
矢島忠昭の遺体が発見された日本橋浜町の「ホテル・ブリッジ」支配人代理。

予知る(しる)

瀬戸富由子(せと ふゆこ)
自宅マンションのベランダで首吊り自殺をした女性[ep 5]。広告代理店に勤務するキャリアウーマン。不倫関係の菅原直樹の子どもを妊娠するが堕胎している。
妻と分かれるまで待ってほしいと直樹から懇願されるが、彼の住むマンションの窓の真向かいの部屋に引っ越す大胆な行動に出て、不倫をばらすと直樹を追い詰めていた。
菅原直樹(すがわら なおき)
とある企業の宣伝部の男性社員[ep 5]。富由子の不倫相手であり、彼女の自殺の瞬間を目撃する。妻との生活に倦怠感を抱いていた頃に富由子と出会い、不倫関係となる。
菅原静子(すがわら しずこ)
直樹の妻[ep 5]。おとなしく物静かな性格で、夫と家庭のことを一番に考えてくれる。
峰村英和(みねむら ひでかず)
直樹と同じ会社に勤務する男性社員[ep 5]。製品開発部の主任でER流体の多くの特許を出願している専門家。将来を嘱望されている。
学部は違ったが直樹の大学ヨット部の3つ下の後輩で、私生活でも菅原夫妻と交流があった。
阪田(さかた)
峰村の同僚社員[ep 5]。富由子の自殺を切っ掛けに直樹が会社を辞めるらしいと峰村に教える。
紀子(のりこ)
峰村の妻。
飯塚朋子(いいづか ともこ)
菅原夫妻の隣室705号室の住人女性[ep 5]。某有名レストランのシェフである夫と娘の三人暮らし。菅原夫妻との交流はほとんどない。
予知少女
飯塚朋子の娘[ep 5]。本名不詳。10歳くらい。生まれつき心臓が悪く、ちょっとしたことで発作を起こす。
富由子の自殺を2日前に予知していたという。夢と現実を混同して話す癖がある。

書誌情報

タイトル初出
夢想る(ゆめみる)オール讀物』1998年11月号
霊視る(みえる)『オール讀物』1999年2月号
騒霊ぐ(さわぐ)『オール讀物』1999年4月号
絞殺る(しめる)『オール讀物』1999年9月号
予知る(しる)『オール讀物』2000年1月号

テレビドラマ

脚注

外部リンク

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