真夏の方程式

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ガリレオシリーズ > 真夏の方程式
発行日 2011年6月6日
発行元 文藝春秋
真夏の方程式
著者 東野圭吾
発行日 2011年6月6日
発行元 文藝春秋
ジャンル ミステリ推理小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製カバー装
ページ数 416
前作 聖女の救済
次作 虚像の道化師 ガリレオ7
公式サイト books.bunshun.jp
コード ISBN 978-4-16-380580-1
ISBN 978-4-16-711015-4文庫本
ウィキポータル 文学
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真夏の方程式』(まなつのほうていしき)は、東野圭吾の長編推理小説ガリレオシリーズ第6作でシリーズ3作目の長編作品。

天才物理学者・湯川学が、海底資源開発に揺れる海辺の町での少年との交流をきっかけに、旅館の宿泊客であった元刑事の不審死と16年前の事件の真相に迫るミステリー。

週刊文春』(文藝春秋)2010年1月14号から11月25号に連載されたのち、2011年6月6日に同社より単行本が刊行された[1]。2013年5月10日には文春文庫より文庫版が発売された[2]

2013年6月29日に、テレビドラマ『ガリレオ』の劇場版第2作として映画化された[3]

制作背景

著者の東野は本作を執筆するにあたり、まず意識したのは、長編前二作『容疑者Xの献身』『聖女の救済』とは全く異なる雰囲気の作品にすることであった[4]。そこで浮かんだテーマが「少年と科学者」である[4]。きっかけは、ある女性編集者が「子どもからなぜ勉強しなければならないのかと聞かれたとき、湯川ならうまく答えられるのではないか」と語ったことだった[4]。この発想から東野は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティードクのような、ユーモアを含みながら人間の本質に触れる関係性を連想し、大人に不信感を抱く少年と、非論理的という理由で子どもが苦手な湯川が出会ったときの化学反応を作中で描くことに強い興味を抱いた[4]

さらに「科学技術と環境保護」というもう一つのテーマから舞台には海辺の町が選ばれた[4]。原子力発電所に象徴されるように、時に環境へ深刻な影響を及ぼす科学技術に対し、科学者である湯川がどのように考え、どのような姿勢を取るのかを示すことは、科学を扱うガリレオシリーズを続ける上で避けられない課題だと考えた[4]。本作では探偵としてだけでなく、「科学者としての湯川」を描くことが重視され、「すべてを知ったうえで進む道を選ぶべきであり、そのために人は科学を学ばなければならない」という彼の明快な主張が物語の核となった[4]。湯川が少年に見せる数々の実験を通して、理科嫌いだった少年が科学に興味を持つようになる過程も、その思想を体現する要素となっている[4]

一方で物語構造にも新しい試みがあり、これまでの長編では湯川は途中から事件に関わる形だったが、本作では最初から事件に遭遇する。しかも舞台は東京から遠く離れ、警視庁の管轄外という状況であり、湯川がどのように探偵役を務め、草薙や内海がどのように捜査に関わるのかというハードルがあった[4]。しかし事件の真相には長い時間と広い空間を見渡す視点が必要だったため、湯川と警視庁が離れている構図はむしろ効果的に機能した[4]

こうして完成した本作は、従来のシリーズとは異なる雰囲気を持つ作品となった[4]。東野は、その雰囲気の違いを読者に楽しんでほしいと考えている[4]

あらすじ

夏休み、両親の仕事の都合で親戚が営む旅館・緑岩荘に預けられることになった少年・柄崎恭平は、海辺の町・玻璃ヶ浦へ向かう電車の中で湯川学と出会う。湯川は海底鉱物資源開発の説明会に参加するため同地を訪れる予定で、成り行きから緑岩荘に宿泊することになる。

その夜、緑岩荘に宿泊していた塚原正次が突然姿を消し、翌朝、海辺で変死体となって発見される。県警は当初、堤防から誤って転落した事故死の可能性が高いと判断するが、被害者が元警視庁捜査一課の刑事で、遺族に付き添って現地を訪れた警察庁の管理官・多々良が遺体の不審点に気づき、塚原の死は単なる事故ではなく他殺の可能性が高いと見抜く。

捜査一課の刑事・草薙俊平は多々良から塚原の事件を捜査するよう特命を受ける。草薙は後輩刑事・内海薫とともに玻璃ヶ浦にいる湯川と連絡を取りながら調査を進め、塚原が玻璃ヶ浦を訪れた理由が16年前に担当した元ホステス殺人事件と関係していることが浮かび上がる。

事件の背後には、旅館を営む川畑家が長年隠し続けてきた重大な秘密があった。ある人物の人生が歪められる事態を防ぐため、湯川は事件の真相に挑み、塚原が玻璃ヶ浦を訪れた理由と、過去の事件に隠された真実が明らかになっていく。

登場人物

シリーズレギュラー

湯川学
帝都大学物理学准教授で、理工学部物理学科第十三研究室に所属する天才物理学者。
海底資源開発のアドバイザーとして招かれた海辺の町で、子供に苦手意識がある中、柄崎恭平と交流を持つ。
恭平との交流をきっかけに元刑事の不審死と16年前の事件の真相に迫る。
草薙俊平
警視庁捜査一課の刑事。警部補。帝都大学社会学部卒で湯川とは同期であり、友人。
管理官の多々良から塚原の不審死に関する独自捜査の特命をうけ、玻璃ヶ浦に滞在中の湯川と連携を取る。
内海薫
草薙の後輩にあたる捜査一課の女性刑事。多々良の特命を受けた草薙が捜査の補佐につける[注 1]

警視庁

多々良
捜査一課管理官。警視。捜査一課の先輩で恩人でもあった塚原が亡くなったと彼の妻・早苗から連絡をうけ、彼女に付き添い玻璃警察署へ遺体の確認に赴く。
玻璃ヶ浦での塚原の死を他殺と見抜き、警視庁で塚原の遺体解剖を行わせ、草薙に湯川と連携して捜査するよう特命を下す。
間宮
捜査一課係長。警部。草薙の所属する班の班長。
藤中博志
荻窪署の刑事。50代半ば。現在は病気のために自宅療養中。妻がマッサージ業で当て、タワーマンションの30階に住んでいる。
16年前は巡査部長で、塚原と組んで仙波の事件を捜査したが、被害者の当日の足取りを別行動で調べていたため、仙波の逮捕に立ち会えていない。

主要人物

柄崎恭平(えざき きょうへい)
小学5年生の男の子。夏休みの間、忙しい両親から離れて伯母夫婦が経営する旅館で過ごすことになり、玻璃ヶ浦にやってくる。
電車の中で困っていたところを湯川に助けてもらったことがきっかけで、湯川を旅館に誘い込む形になった。
宿題が捗らず特に理科が苦手だったが、「博士」と呼ぶようになった湯川との交流を通して少しずつ成長する。
川畑成実(かわはた なるみ)
環境活動家。30歳。恭平の従姉で、15年前に玻璃ヶ浦へ移住して以来、海の環境保護活動に取り組んでいる。
ホームページを運営し他の活動家と連携して活動しており、母親からも過激な活動家だと思われている。
物理学者の湯川とは考えの違いから対立し、「不自然なほど痛々しく、悲壮感がある」と評されるが、海を守ろうとする理由があった。
沢村元也
フリーライターで環境保護活動家。成実が作ったサイトで知り合い、意気投合して東京から実家の電器屋がある玻璃ヶ浦に拠点を移す。
環境保護活動に本腰を入れるために、成実と一緒に暮らしたいと思い、遠回しな言い方で成実に好意を示すが、彼女自身は乗り気ではない。
西口剛(にしぐち つよし)
玻璃警察署の刑事。巡査。30歳。成実の高校時代の同級生で、川畑家が玻璃ヶ浦に引っ越して来て以降のことをよく知っている。
塚原の不審死の捜査で成実に近づくことになり好意を強めるが、彼女が事件に関わっていないか心配している。
塚原正次(つかはら まさつぐ)
元警視庁捜査一課の刑事。61歳。玻璃ヶ浦の堤防下の岩場で不審死を遂げる。現役時代には名刑事と呼ばれ、多々良の先輩で恩人でもあった。
16年前の元ホステス殺人事件では現場の最前線で捜査に尽力し、仙波が凶器の刃物が入った鞄を捨てようとしたところを逮捕している。

緑岩荘・川畑家

川畑重治(かわはた しげはる)
成実の父親。60代後半。成実が中学3年のころに故郷の玻璃ヶ浦に戻り、脳梗塞で倒れた父親の跡を継ぎ旅館「緑岩荘」を経営している。
太りすぎが原因で膝を悪くしており、杖が手放せない。かつては新宿に本社を置くエンジンメーカー「マリア発動機」で働いていた。
川畑節子(かわはた せつこ)
成実の母親。柄崎敬一の9歳年上の異母姉。実母を幼いころに交通事故で亡くしている。結婚前は銀座の小料理屋で働いていた。

柄崎家

柄崎敬一
恭平の父親。45歳。川畑節子の異母弟。ブティックの経営者。大阪で店をオープンさせる準備があるため緑岩荘に恭平を預ける。
柄崎由里
恭平の母親。敬一と一緒にブティックを経営している。八王子出身。

玻璃警察署

元山
刑事課係長。西口の上司。
橋上(はしがみ)
刑事課。西口より5歳年上の先輩。西口と組み、玻璃ヶ浦に訪れた当日の塚原の足取りを調査する。
岡本
刑事課長。
富田
署長。塚原の遺体を警視庁で解剖することを多々良から相談され、了承する。

県警

磯部
本部捜査一課係長。警部。笑わないと仏頂面にしかみえない容貌。計算高い野心家で、上司にはゴマを擦る。
塚原の死体遺棄事件を手柄を立てられるチャンスと捉える。
穂積
本部捜査一課課長。黒々とした髪に、白いものが混じった髭を鷲鼻の下に蓄える。
玻璃警察署に塚原の不審死について死体遺棄事件として捜査本部を立ち上げる。
野々垣
本部捜査一課の巡査部長。磯部の部下。西口と組んで塚原が玻璃ヶ浦に到着した当日の東玻璃での足取りを調査する。

デスメック

海底金属鉱物資源機構(DESMEC)。玻璃ヶ浦での海底鉱物資源の開発を計画している。

桑野
広報課の職員。30歳くらいのメガネをかけた男性。玻璃ヶ浦の住民向けの説明会での司会や、調査船の案内役を務める。

元ホステス殺人事件の関係者

仙波英俊(せんば ひでとし)
16年前に杉並区荻窪で起きた元ホステス殺人事件の容疑者。愛知県豊橋市出身。塚原たちにより逮捕され、懲役8年の実刑判決を受け刑務所に服役する。
かつては玻璃ヶ浦に隣接する東玻璃の別荘地に妻の悦子と居住していたが、その妻には癌で先立たれ、出所後の行方が掴めなくなっている。
三宅伸子(みやけ のぶこ)
元ホステス。源氏名はリエコ。16年前の殺人事件の被害者。当時40歳。捜査では仙波に金銭トラブルで殺害されたとされていた。

仙波の関係者

室井雅夫
麻布十番の飲食店「KONAMO」の経営者。白髪の男性。銀座7丁目のバー「カルバン」の元雇われ店長。
16年前、事件前夜に「カルバン」に顏馴染みの客だった仙波と三宅が来店し、仙波が泣いていたのを目撃している。
ヤマモト
ボランティア団体の女性スタッフ。新宿中央公園で毎週炊き出しを行っており、仙波のことをよく見かけた。
しかし昨年の暮れ、ひどく痩せて辛そうだった仙波を見かけ、無料で診察してくれる医者を紹介したのを最後に炊き出しに現れなくなったと証言する。
田中
ヤマモトたちと一緒に活動していたボランティア団体のスタッフ。40歳前後。現在は上野公園で炊き出しをする別のボランティア団体に移っている。
3月末頃から仙波のことを探しているという塚原を上野公園での炊き出しで2、3回見かけたが、5月以降は見かけなくなったと証言する。

塚原の関係者

塚原早苗
塚原の妻。50歳前後。ほっそりとした体格。埼玉県鳩ケ谷市在住。
柴本郁夫
柴本総合病院院長。20年前、父が院長だった頃に医療過誤の匿名内部告発を受けたが、塚原が告発した看護師を見つけて無実を証明し、救われている。
安西
柴本総合病院の緩和ケア病棟の看護師。30過ぎくらいの小柄な女性。

川畑家の関係者

梶本修
「マリア発動機」の社員で川畑重治の後輩。かつて川畑家と北区王子にある同じ社宅に住んでいた。
川畑が退職し社宅を引き払う1、2年前から重治は名古屋に単身赴任、節子と成実は知人宅に移り住み、社宅に殆どいなかったことが判明する。
小関玲子
カーディーラーのスタッフ。成実が私立中学時代の軟式テニス部での同級生。成実は荻窪駅が最寄り駅の一軒家に住んでいたと証言する。
永山若菜
玻璃ヶ浦にあるマリンスポーツショップのアルバイト。東京の大学生で夏の間だけショップの2階に住み込みで働いている。
スキューバのインストラクターで、2年前に成実が指導員のころに資格を取っている。
鵜飼継男
銀座8丁目の小料理屋「はるひ」の店主。70歳。綺麗に刈り込まれた見事に真っ白な髪。玻璃出身。
20年以上前は銀座7丁目に店を構えており、その当時は節子を雇っていた。

書誌情報

映画

脚注

外部リンク

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