聖女の救済
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| 聖女の救済 | ||
|---|---|---|
| 著者 | 東野圭吾 | |
| 発行日 | 2008年10月25日 | |
| 発行元 | 文藝春秋 | |
| ジャンル | ミステリ、推理小説 | |
| 国 |
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| 言語 | 日本語 | |
| 形態 | 四六判上製カバー装 | |
| ページ数 | 384 | |
| 前作 | ガリレオの苦悩 | |
| 次作 | 真夏の方程式 | |
| 公式サイト | books.bunshun.jp | |
| コード |
ISBN 978-4-16-327610-6 ISBN 978-4-16-711014-7(文庫本) | |
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制作背景
本作の構想は、シリーズ第3作『容疑者Xの献身』を執筆している段階から存在していた。主要人物である天才数学者・石神が「地味で華がない」存在であったとの認識から、犯人を女性にすることを当初から決めていたという[5]。
また、石神が論理対論理で湯川と対峙したのに対し、本作ではそれ以上の強敵を登場させる必要があると考え、湯川とは別世界に生きるセレブで、論理的でない発想によって湯川を困惑させる人物像を構想した。その結果、「こんなのはまったく論理的じゃない」と湯川に言わせるようなトリックが用意され、そこから真柴綾音のキャラクターが固められた[5]。
トリックと人物像の関係については、「この人ならこうしたことをしそうだ」と読者に納得させることを重視し、通常では考えにくいトリックであるがゆえに、それを仕掛けそうな人物を描く必要があった。一方で、女性の内面描写は得意ではないとの自覚から、綾音の心理描写は抑制的に書かれた。ただし、彼女のパッチワーク作家などの設定を通じ、難解なトリックと物語世界の融合には手応えを感じていると述べている[5]。
あらすじ
真柴綾音と真柴義孝夫妻は、子供ができないことを理由に離婚が決まっていた。その時、綾音の胸中には義孝へのある宣告が下されていた。
数日後、綾音が主催するパッチワーク教室の講師・若山宏美が、自宅で死んでいる義孝を発見する。死因は毒殺。彼が飲んでいたコーヒーには、猛毒の亜ヒ酸が混入されていた。 そして、捜査に当たった草薙は、一目見た綾音に惹かれてしまう。一方、内海は些細なことから綾音の犯行ではないかと疑念を抱くが、その考えを巡り、草薙と対立してしまう。しかし綾音には犯行当日まで北海道の実家に帰省していたという鉄壁のアリバイがあり、毒物の混入経路も依然として不明のままだった。
綾音が離れた場所から義孝を毒殺したトリックを暴くため、内海は再び湯川に協力を依頼する。湯川も捜査に協力するが、綾音に肩入れする草薙に疎まれてしまう。さらに、自身が立てた仮説も決め手にならず、トリックの解明に苦戦を強いられる。
だが、調査を進めるうちに湯川は一つの答えを導き出し、内海にある指示を命じる。指示を行った薫からの回答を聞き、湯川は驚愕する。
湯川が出した答え。それは『虚数解』。理論上はあり得ても、現実にはありえないという実に奇妙な答えだった。そして、湯川をしてありえないと言わしめたトリックによる綾音の完全犯罪の全容が明かされる。
登場人物
シリーズレギュラー
- 湯川学
- 帝都大学物理学助教授で、理工学部物理学科第十三研究室に所属する天才物理学者。
- 内海から依頼された毒物混入トリックの解明を一旦断るが、「草薙が容疑者の綾音に恋をしている」との一言で科学的興味を口実に引き受ける。
- 草薙俊平
- 警視庁捜査一課の刑事。巡査部長。帝都大学社会学部卒で湯川とは同期であり、友人。
- 被害者の妻・真柴綾音に私情(恋愛感情)を抱き、彼女以外の第三者による犯行の見立てで捜査に当たる。
- 内海薫
- 草薙の後輩にあたる捜査一課の新人刑事。草薙が容疑者の綾音に惹かれていると察し、独断で湯川に毒物混入トリックの解明を依頼する。
警視庁
- 間宮
- 捜査一課係長。警部。草薙、内海たちの上司。
- 岸谷
- 草薙の後輩、内海の先輩にあたる捜査一課の刑事。
主要人物
- 真柴綾音
- 著名なパッチワーク作家で、代官山でパッチワーク教室「アンズハウス」を主宰する女性。30過ぎ。
- 夫に尽くす良き妻であり、助手の宏美が夫の不倫相手と知っても感情を乱さず接する心の持ち主。
- 実家の札幌に帰省中に夫の義孝が亡くなったことから、鉄壁のアリバイがある。
- 真柴義孝
- IT会社社長。綾音の夫。綾音に離婚を切り出した翌日、自宅でコーヒーに混入された亜ヒ酸で毒殺されているのが発見される。
- 子供を産んでくれる女性が必要という考えの持ち主で、綾音に結婚して1年以内に子供ができなければ別れようと婚前に告げている。
- 綾音に隠れ、「アンズハウス」の講師である若山宏美と不倫をしている。
- 若山宏美
- 「アンズハウス」の講師。綾音の助手で愛弟子。20代半ば。義孝と不倫をしており、彼の子を身ごもっている。
- 綾音から真柴邸の鍵を託されており、連絡の取れない義孝を心配して真柴邸に駆け付け、義孝の遺体の第一発見者となる。
- 猪飼達彦
- 猪飼法律事務所のオーナー弁護士。42歳。真柴義孝とは大学のサークルからの友人で、義孝が経営する会社の顧問弁護士で経営にも参加している。
- お見合いパーティーで義孝と綾音が初めて出会った場面に居合わせていると証言する。
- 猪飼由希子
- 猪飼達彦の妻。35歳。二か月前に、第一子を出産している。
- 津久井潤子
- 義孝が綾音と出会う前に交際していた女性。広島出身の絵本作家で、事件が起こる2年前に自殺している。
その他
- 三田和宣
- 綾音の父親。5年前まで地元の信用金庫で働いていた。3年前に膵炎を患い、体調がすぐれないことがある。
- 三田登紀子
- 綾音の母親。
- 元岡佐貴子
- 綾音の中学時代からの友人。綾音が札幌に帰省時、定山渓温泉に誘われ一緒に遊びに出かけており、彼女のアリバイを証明する。
- ハマダ
- 綾音と結婚する前の義孝が女性同伴で通っていた日本橋の紅茶専門店「クーゼ」の店長。
- 山本恵子
- 真柴義孝が経営していたIT会社の広報室長。ショートヘアに縁の細い眼鏡をかけた無表情な女性。
- 会社がネットアニメ化したキャラクターの作者が公表されている男性教師ではなく、胡蝶スミレという絵本作家であったと草薙たちに明かす。
- 笹岡邦夫
- クヌギ出版の代表取締役。胡蝶スミレこと津久井潤子の絵本を2冊手がけており、彼女が自殺した時に遺書を受け取っている。
- 津久井洋子
- 津久井潤子の母親。60歳半ばと思われる痩せた女性。東広島市在住。
- 草薙に娘の自殺について報告書と異なる証言をしていた点を内海に追及され狼狽する。
書誌情報
- 単行本:2008年10月25日[1]、文藝春秋、ISBN 978-4-16-327610-6
- 文庫本:2012年4月10日[2]、文春文庫、ISBN 978-4-16-711014-7
- 初出:『オール讀物』2006年11月号 - 2008年4月号
テレビドラマ
2013年6月17日・24日にテレビドラマ『ガリレオ』第2シリーズの最終章(第10話・第11話)で、「聖女の救済 前後編」として2週にわたり映像化された[4]。
ガリレオシリーズの長編作品は前作『容疑者Xの献身』と次作『真夏の方程式』は映画化されたが、今作では草薙と内海が登場せず、湯川が綾音と深く関わる人物に変更されている。それに伴い人間関係やストーリーも大きく変化し、「聖女」や「救済」という符号が強く押し出されている。