雪煙チェイス

From Wikipedia, the free encyclopedia

雪山シリーズ > 雪煙チェイス
発行日 2016年12月5日
雪煙チェイス
著者 東野圭吾
発行日 2016年12月5日
発行元 実業之日本社
ジャンル ミステリサスペンス
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 A6判
ページ数 416
前作 疾風ロンド
公式サイト www.j-n.co.jp
コード ISBN 978-4-408-55323-8
ウィキポータル 文学
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

雪煙チェイス』(せつえんチェイス)は、東野圭吾の長編サスペンス小説雪山シリーズの第3作[1]

殺人容疑のアリバイを握る女性スノーボーダーを捜す男子大学生と、彼を追跡する警察との攻防を描いたサスペンス小説。

2016年12月5日に実業之日本社文庫から文庫書き下ろしで刊行され[2]、2023年10月6日には文庫新装版が同社より刊行された[3]

2026年1月にNHK総合およびNHK BSプレミアム4Kにてテレビドラマが放送された[4]

制作背景

東野は本作を執筆するにあたり、シリーズ作品であっても「同じ形式の繰り返しは読者にも自分自身にも飽きをもたらす」という意識を強く持っていた[1]。そのため、前二作と同じ雪山を舞台に据えながらも、作品全体の雰囲気や物語構造を大きく変化させることを目指した[1]。その結果、本作はスキー場を中心にしながらも東京での殺人事件から物語が始まる構成となった[1]

シリーズを通して「何かを捜す」という共通のテーマがあり、第1作『白銀ジャック』では「爆弾」を、第2作『疾風ロンド』では「生物兵器」を捜すという筋立てが取られたが、3作目ではそれを「人」に置き換えることで新たな物語を構築した[1]。対象を「人」としたことで「美しい女性を必死に捜さなければならない切羽詰まった状況」と発想を広げ、逆算的に考えることで、ストーリーの骨格を組み立てた[1]

さらに、舞台設定に関して『白銀ジャック』は一つのスキー場内で完結し、『疾風ロンド』も序盤の東京の描写以降はスキー場に限定される構造を取ったのに対し、本作ではあえて東京の場面を多く配置した[1]。そこにはスキー場は都市から2時間程度で到達できる身近な場所であるという感覚を読者に伝え、ウィンタースポーツはもっと身近で、手軽で、長期間楽しめるものだと知ってほしいという東野の意図が込められている[1]

あらすじ

開明大学の4年生・脇坂竜実は、アルバイトの雇い主であった老人が殺害された強盗殺人事件の容疑者として、警察からその身を追われる。彼には犯行推定時刻に新潟の新月高原スキー場にいたというアリバイがあったが、一人で訪れていたため、それを証明してくれる人物が見当たらなかった。唯一の希望は、スキー場で出会った謎の女性スノーボーダーで、彼女こそが冤罪を晴らす鍵を握っていた。竜実は友人・波川省吾とともに、彼女がホームゲレンデと明かした日本最大級のスキー場である長野の里沢温泉スキー場に捜索に向かう。一方、所轄署の刑事・小杉敦彦は「本庁に先んじて手柄を立てたい」という上司の思惑を背負い、身分を隠して竜実を追跡する。

登場人物

主要人物

脇坂 竜実(わきさか たつみ)
開明大学経済学部4年生。アウトドアスポーツサークル「マウンテン・モンキーズ」のメンバー。愛知県豊橋市出身。
アルバイトの雇い主を殺害した強盗殺人の容疑をかけられ、アリバイを証明する女性スノーボーダーの行方を追う。
小杉 敦彦(こすぎ あつひこ)
所轄の刑事。40代で独身。仙台への出張を終えて早々、強盗殺人事件の捜査にあたる。
上司からの命令で捜査一課を出し抜くため、刑事の身分を伏せて竜実たちの行方を追う。
波川 省吾(なみかわ しょうご)
開明大学法学部4年生。「マウンテン・モンキーズ」のメンバーで、竜実の親友。
竜実が警察に捕まらないよう助言を与えつつ、ともに女性スノーボーダーの行方を追う。
根津 昇平(ねづ しょうへい)
里沢温泉スキー場のパトロール隊員。元スノーボードクロス選手。
瀬利 千晶(せり ちあき)
スノーボードクロス選手。根津とは彼が以前いたスキー場で出会ってからの顔馴染み。
親友でスノーボードクロスのライバルでもあった莉央がプロデュースするゲレンデ・ウェディングの演出に協力する。
川端 由希子(かわばた ゆきこ)
居酒屋「お食事処きなし」、旅館「きなし」の女将。30代後半。丸い顔に化粧気はまるでない。里沢温泉村出身。
若いころはダウンヒルのアルペンスキー選手で、今より10キロ以上痩せていて「信州の弾丸娘」と呼ばれていた。
女性スノーボーダー
竜実が新月高原スキー場で遭遇した美人スノーボーダー。
赤と白のツートンカラーのウェア。黒色のヘルメットにピンク色の星形シールを貼っている。
里沢温泉スキー場をホームゲレンデにしていると竜実に明かす。

里沢温泉スキー場

長岡 慎太(ながおか しんた)
パトロール隊員。里沢温泉村出身。里沢温泉スキー場で葉月とのゲレンデ・ウェディングを控える。
成宮 葉月(なるみや はづき)
長岡の婚約者。莉央の姉。老舗旅館「板山屋」の長女。里沢温泉村出身。元アルペンスキー選手。
成宮 莉央(なるみや りお)
葉月の妹。ピンクのダウンジャケットにニット帽。里沢温泉村出身。姉たちのゲレンデ・ウェディングのプロデュースを買って出る。
元スノーボードクロス選手で東京の広告代理店に勤務していたが、現在は地元のタウン誌を作りつつ実家の旅館で働いている。
高野 誠也(たかの せいや)
バックカントリーツアーの若きガイド。青いウェア。日焼けした肌に歯の白さが際立つ。
元トップアルペンスキーヤー。両親がスキー場内でレストラン「カッコウ」を経営している。
高野 裕紀(たかの ゆうき)
誠也の弟。レストラン「カッコウ」の店員。高校生。背は高いが華奢な体格。
兄からの依頼で竜実たちに貸すウェアを用意する。
川端 健太(かわばた けんた)
裕紀の幼なじみ。ひょうきんな雰囲気がある高校生。裕紀とともに竜実たちに貸すウェアを用意する。

警視庁

南原(なんばら)
小杉の上司。係長。大和田の御機嫌取りに強盗殺人事件の犯人逮捕を小杉に急かす。馬面。
白井(しらい)
小杉の後輩。学生時代ラグビーをしており、体重90キロでごつい身体だが童顔。
一人娘が通う幼稚園で子どもたちからアンパンマンと呼ばれている。
大和田(おおわだ)
刑事課長。警部。四角い顔に太い眉毛で、影では下駄という渾名で呼ばれている。
犬猿の仲である警察学校の同期・花菱に指揮を取られるのが癪で、所轄での犯人逮捕を南原に命じる。
花菱(はなびし)
本庁捜査一課係長(七係)。警部。
中条(なかじょう)
本庁捜査一課の若い巡査長。傲慢なエリート警官。小杉とコンビを組むが途中から彼を帰らせ、単独で強盗殺人事件を捜査する。

開明大学

松下 広樹(まつした ひろき)
4年生。学生アパート「森田ハイツ」で竜実の部屋の隣部屋。 竜実を探しに現れた小杉から聞き取り調査を受ける。
小杉に対し竜実とは付き合いがないと咄嗟に嘘をつき、竜実には警察から追われていると連絡する。
藤岡(ふじおか)
3年生。「マウンテン・モンキーズ」での竜実と波川の後輩。茶髪。波川から頼まれ、里沢温泉スキー場への移動手段として自分の4WD車を貸す。
駒井 保(こまい たもつ)
経済学部4年生。小杉から竜実について聞き取り調査を受け、竜実はアウトドアスポーツサークルに友人がいると教える。

強盗殺人事件の関係者

福丸 陣吉(ふくまる じんきち)
竜実のアルバイトの雇い主。80歳。三鷹市N町の一軒家で現金20万円を奪われ、絞殺体が発見される。
半年ほど前に腰を痛め歩くことがつらくなり、愛犬ペロの散歩係に竜実をアルバイトとして雇っていた。
福丸 秀夫(ふくまる ひでお)
陣吉の長男。陣吉と一軒家で同居する。
福丸 加世子(ふくまる かよこ)
秀夫の妻。パートから自宅に戻ると部屋が荒らされており、陣吉の絞殺体を発見する。
ペロ
福丸家の飼い犬。柴犬。竜実の不注意で散歩中に自転車に轢かれて足を怪我する。
元々持病があり足の怪我で動けなくなると持病を悪化させ、15歳で亡くなる。
岡倉 貞夫(おかくら さだお)
陣吉の囲碁仲間。70代半ばの髭を生やした小柄な老人。

用語

開明大学
竜実や波川が学ぶ都内の大学。「ラプラスの魔女」シリーズの主人公・羽原円華の父親・羽原全太朗が脳神経外科医を務める病院が付属する大学としても登場する。
里沢温泉スキー場
長野駅からバスで1時間の禿鷹山にある日本有数の広さを誇るスキー場。雪山シリーズ第2作『疾風ロンド』の舞台としても登場する。
新月高原スキー場
新潟県のスキー場。雪山シリーズ第1作『白銀ジャック』の舞台としても登場する。
カッコウ
高野誠也・裕紀兄弟の両親が経営する里沢温泉スキー場内の山小屋を模したレストラン[注 1]

書誌情報

テレビドラマ

脚注

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI