2023年のワールドシリーズ

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2023年ワールドシリーズ

第4戦試合前のチェイス・フィールドの様子。開閉式の屋根が開かれ、アメリカ空軍A-10CサンダーボルトII 4機がフライオーバーのため上空を飛行中
チーム 勝数
テキサス・レンジャーズAL 4
アリゾナ・ダイヤモンドバックスNL 1
シリーズ情報
試合日程 10月27日–11月1日
観客動員 5試合合計:23万0388人
1試合平均:04万6078人
MVP コーリー・シーガー(TEX)
責任審判 ビル・ミラー(第6戦を除く)、
アルフォンソ・マルケス(第6戦のみ)[1]
ALCS TEX 4–3 HOU
NLCS ARI 4–3 PHI
チーム情報
テキサス・レンジャーズ(TEX)
シリーズ出場 12年ぶり3回目
GM クリス・ヤング
監督 ブルース・ボウチー
シーズン成績 90勝72敗・勝率.556
AL西地区2位=第2ワイルドカード
分配金 選手1人あたり50万6263ドル[2]

アリゾナ・ダイヤモンドバックス(ARI)
シリーズ出場 22年ぶり2回目
GM マイク・ヘイゼン
監督 トーリ・ロブロ
シーズン成績 84勝78敗・勝率.519
NL西地区2位=第3ワイルドカード
分配金 選手1人あたり31万3634ドル[2]
全米テレビ中継
放送局 FOX
実況 ジョー・デービス
解説 ジョン・スモルツ
平均視聴率 4.7%(前年比1.4ポイント下降)
ワールドシリーズ
 < 2022 2024 > 

2023年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第119回ワールドシリーズ英語: 119th World Series)は、10月27日から11月1日にかけて計5試合が開催された。その結果、テキサス・レンジャーズアメリカンリーグ)がアリゾナ・ダイヤモンドバックスナショナルリーグ)を4勝1敗で下し、球団創設63年目で初の優勝を果たした。

地区優勝を逃した中で高勝率の球団にポストシーズン出場枠を与えるワイルドカード制度が1994年に導入されて以来、該当球団どうしがワールドシリーズで対戦するのは2014年以来9年ぶり3度目[3]ブルース・ボウチーは、2014年シリーズではナショナルリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツで、今シリーズではアメリカンリーグのレンジャーズで、それぞれ監督を務めてチームを優勝へ導いた。ジャイアンツ監督時代のボウチーは2010年――ジャイアンツの対戦相手はレンジャーズだった[4]――と2012年にも優勝しており、今シリーズ制覇によりボウチーは、シリーズ優勝回数が4回に達した史上6人目の監督および両リーグの球団をシリーズで優勝させた史上3人目の監督となった[注 1][5]。レンジャーズの初優勝により、シリーズ優勝経験がない球団は全30球団中残り5球団となった[6]シリーズMVPには、第1戦の9回裏に同点の2点本塁打を放つなど、5試合で打率.286・3本塁打・6打点OPS 1.137という成績を残したレンジャーズのコーリー・シーガーが選出された。

2022年、MLB機構が金融持株会社キャピタル・ワンと契約を締結し、同社はその年から5年間ワールドシリーズの冠スポンサーとなった[7]。よって大会名はワールドシリーズ presented by キャピタル・ワン英語: World Series presented by Capital One)となる。

両チームの2023年

レンジャーズの外野手アドリス・ガルシア(左。写真は2024年4月1日撮影)と、ダイヤモンドバックスの先発投手メリル・ケリー(写真は2019年5月1日撮影)

10月23日にまずアメリカンリーグでレンジャーズ(西地区)が、そして24日にはナショナルリーグでダイヤモンドバックス(西地区)が、それぞれリーグ優勝を決めてワールドシリーズへ駒を進めた。

レンジャーズは2017年から6年連続で負け越し、2022年は地区首位ヒューストン・アストロズに38.0ゲーム差をつけられた。シーズン終了後、新監督にブルース・ボウチーが招聘され[8]、選手補強では防御率リーグ13位と低迷した先発ローテーションへ、新たにジェイコブ・デグロムネイサン・イオバルディらが加わった[9]。2023年は4月上旬から地区首位を守り、前半戦終了時には52勝39敗で2位アストロズを2.0ゲーム差上回る。デグロムは6登板のみで肘を痛めてシーズンを棒に振ったが、イオバルディがエースとなり、野手陣は打撃のみならず守備でも投手陣を援護した[10]。投手補強はシーズン中も続き、8月1日のトレード期限までに先発のマックス・シャーザージョーダン・モンゴメリーを獲得した。後半戦は他球団の追い上げを受け、8月30日にはアストロズやシアトル・マリナーズに抜かれて3位へ落ちる[11]。その後はマリナーズを抜き返してアストロズと優勝を争い、全162試合を同じ90勝72敗で終えたが、直接対決でアストロズに負け越していたために地区優勝を逃してワイルドカードにまわった[12]。平均得点5.44はリーグ最高・MLB3位、防御率4.28はリーグ10位・MLB18位。コーリー・シーガーやイオバルディらここ数年の大型補強が実を結び、新人のジョシュ・ヤンをはじめとする若手・中堅選手の躍動も目立った[13]ワイルドカードシリーズではタンパベイ・レイズを2勝0敗で[14]地区シリーズではボルチモア・オリオールズを3勝0敗で[15]リーグ優勝決定戦ではアストロズを4勝3敗で[16]、それぞれ下した。

ダイヤモンドバックスは2022年、74勝88敗と負け越し地区4位に沈んだ。ただ終盤の2か月で若手選手が台頭するなどチームの骨格が定まりつつあり、オフにはその中心となる新人外野手コービン・キャロルと8年の延長契約を結んだ[17]。2023年は開幕からロサンゼルス・ドジャースとの地区首位争いを展開する。MLBが導入した投球間の時間制限 "ピッチクロック" や牽制球の回数制限等の新規則と、チームが標榜する走塁重視の野球がはまって躍進の原動力となった[18]。前半戦終了時には52勝39敗でドジャースとゲーム差なしの2位につけ、8月1日のトレード期限までには、不安定な救援投手陣抑えとしてポール・シーウォルドを加えた[19]。しかしこの時期チームは勢いを失い、8月11日には9連敗で57勝59敗まで成績を落とした[20]。ドジャースには12.5ゲーム差をつけられて地区優勝が難しくなったが、復調してからは東地区マイアミ・マーリンズ中地区シカゴ・カブスシンシナティ・レッズとワイルドカードを争う。その結果9月30日、マーリンズとともに残り2枠へ滑り込んだ[21]。平均得点4.60はリーグ7位・MLB14位、防御率4.47はリーグ10位・MLB20位。キャロルは新人初の25本塁打・50盗塁を記録する活躍ぶりで[22]、先発投手のザック・ガレンメリル・ケリーとともにチーム躍進の立役者となった[23]ワイルドカードシリーズではミルウォーキー・ブルワーズを2勝0敗で[24]地区シリーズではドジャースを3勝0敗で[25]リーグ優勝決定戦ではフィラデルフィア・フィリーズを4勝3敗で[26]、それぞれ下した。

この2球団は、ここ数シーズンの結果が以下の点で共通している[27]

両球団とも低迷から急速な躍進を遂げており、100敗シーズンの翌々年にシリーズ進出は歴代最速タイ[注 2]、シリーズ進出前年の両球団合算勝率.438は歴代2位の低さ[注 3]、シリーズ進出直前3シーズンの通算勝率はレンジャーズが.391で歴代4位、ダイヤモンドバックスが.393で同5位の低さである[注 4][28]。ただ、チーム構築の手法は両チームで異なっている。今ポストシーズンでロースター入りした選手の入団経緯をみると、プロ入りからその球団一筋という生え抜き選手の数はレンジャーズが5人に対しダイヤモンドバックスが12人、FAで移籍してきた選手の数はレンジャーズが9人に対しダイヤモンドバックスが5人である。ポストシーズン進出12球団中では、レンジャーズは生え抜き選手数が2番目に少なくFA移籍選手数が最多タイであり、ダイヤモンドバックスは生え抜き選手数が2番目に多くFA移籍選手数が2番目に少ない[29]。また、選手に費やす金額にも差がある。年俸総額はレンジャースが2億5100万ドルで30球団中4位の高額であるのに対し、ダイヤモンドバックスはその半分以下の1億1900万ドルで21位にとどまっている[30]

レンジャーズGMクリス・ヤングと助監督のウィル・ベナブル、ダイヤモンドバックスGMのマイク・ヘイゼンはいずれもプリンストン大学出身であり、在学中に野球部監督スコット・ブラッドリー英語版の下でプレイした経験を持つ。特に両GMはブラッドリー監督就任1年目の1998年、最上級生で主将を務めるヘイゼンが高校生のヤングを勧誘するために大学で出迎えたときからの顔見知りで、今シリーズで両者の対戦が決まった際には、ブラッドリーの携帯電話にグループメッセージでふたりから「監督、ぜひ観にいらしてください。席はご用意できます」と送信されてきたという[31]

ホームフィールド・アドバンテージ

ワールドシリーズの第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、レギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に与えられる。ポストシーズン進出12球団のアドバンテージ優先順位は以下の通り。

優先順位球団レギュラーシーズン成績ポストシーズン結果
WCSDSLCS
1アトランタ・ブレーブス104勝58敗・勝率.642NL東地区優勝地区シリーズ(DS)敗退免除1勝3敗
2ボルチモア・オリオールズ101勝61敗・勝率.623AL東地区優勝地区シリーズ(DS)敗退免除0勝3敗
3ロサンゼルス・ドジャース100勝62敗・勝率.617NL西地区優勝地区シリーズ(DS)敗退免除0勝3敗
4[※1]タンパベイ・レイズ99勝63敗・勝率.611AL東地区2位=第1ワイルドカードワイルドカードシリーズ(WCS)敗退0勝2敗
5[※1]ミルウォーキー・ブルワーズ92勝70敗・勝率.568NL中地区優勝ワイルドカードシリーズ(WCS)敗退0勝2敗
6[※1][※2]テキサス・レンジャーズ90勝72敗・勝率.556AL西地区2位=第2ワイルドカードワールドシリーズ進出2勝0敗3勝0敗4勝3敗
7[※1][※2]フィラデルフィア・フィリーズ90勝72敗・勝率.556NL東地区2位=第1ワイルドカードリーグ優勝決定戦(LCS)敗退2勝0敗3勝1敗3勝4敗
8[※1][※2]ヒューストン・アストロズ90勝72敗・勝率.556AL西地区優勝リーグ優勝決定戦(LCS)敗退免除3勝1敗3勝4敗
9[※1]トロント・ブルージェイズ89勝73敗・勝率.549AL東地区2位=第3ワイルドカードワイルドカードシリーズ(WCS)敗退0勝2敗
10[※1]ミネソタ・ツインズ87勝75敗・勝率.537AL中地区優勝地区シリーズ(DS)敗退2勝0敗1勝3敗
11[※3]マイアミ・マーリンズ84勝78敗・勝率.519NL東地区3位=第2ワイルドカードワイルドカードシリーズ(WCS)敗退0勝2敗
12[※3]アリゾナ・ダイヤモンドバックス84勝78敗・勝率.519NL西地区2位=第3ワイルドカードワールドシリーズ進出2勝0敗3勝0敗4勝3敗
※1  同一リーグ内の地区シリーズリーグ優勝決定戦などでは、勝率に関係なく地区優勝球団はワイルドカード球団より上位に位置づけられるが、ワールドシリーズだけはこれに当てはまらない。
※2  レギュラーシーズンでフィリーズはレンジャーズに対しては0勝3敗と負け越し、アストロズに対しては2勝1敗と勝ち越した。したがって、今シリーズの顔合わせがレンジャーズ対フィリーズとなった場合にはレンジャーズに、アストロズ対フィリーズとなった場合にはフィリーズにアドバンテージが与えられる。
※3  マーリンズがダイヤモンドバックスに対し、シーズン中の直接対決6試合を4勝2敗と勝ち越しているため、マーリンズが上位となる。

10月23日、まずレンジャーズがワールドシリーズ進出を決めた。勝ち残っていた球団のなかではレンジャーズの優先順位が最も高かったので、この時点で対戦相手に関係なくアドバンテージが確定、開催地は第1・2・6・7戦がグローブライフ・フィールド、第3・4・5戦がナショナルリーグ優勝球団の本拠地となった。

両チームの過去の対戦

ワールドシリーズでこの2チームが対戦するのは、今回が初めて。レギュラーシーズン中のインターリーグでは、ダイヤモンドバックスが創設された1998年以降の26年間で計53試合が行われ、レンジャーズが通算で28勝25敗・勝率.528と勝ち越している[32]。このうち2018年7月30日の対戦では、開催地であるダイヤモンドバックス本拠地チェイス・フィールドの周辺に落雷があり、場内の照明が一部消えたため試合が20分以上中断したということがあった[33]。直近の対戦は2023年は5月2日・3日にレンジャーズの本拠地グローブライフ・フィールドで2試合、8月21日・22日にチェイス・フィールドで2試合の計4試合が組まれ、ダイヤモンドバックスが合計で3勝1敗とした。

ロースター

両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。

テキサス・レンジャーズアリゾナ・ダイヤモンドバックス
守備位置背番号出身選手年齢ワールドシリーズ経験守備位置背番号出身選手年齢ワールドシリーズ経験
出場優勝出場優勝
投手61アメリカ合衆国の旗コディ・ブラッドフォード25なし投手50ドミニカ共和国の旗ミゲル・カストロ28なし
46アメリカ合衆国の旗ブロック・バーク[※1]27なし65ドミニカ共和国の旗ルイス・フリアス25なし
45キューバの旗アロルディス・チャップマン357年ぶり2回目1回23アメリカ合衆国の旗ザック・ガレン28なし
33アメリカ合衆国の旗デーン・ダニング28なし37アメリカ合衆国の旗ケビン・ジンケル29なし
17アメリカ合衆国の旗ネイサン・イオバルディ335年ぶり2回目1回29アメリカ合衆国の旗メリル・ケリー35なし
22アメリカ合衆国の旗ジョン・グレイ31なし35アメリカ合衆国の旗ジョー・マンティプリー32なし
44アメリカ合衆国の旗アンドリュー・ヒーニー32なし24アメリカ合衆国の旗カイル・ネルソン27なし
25ドミニカ共和国の旗ホセ・ルクラーク29なし19アメリカ合衆国の旗ライン・ネルソン25なし
52アメリカ合衆国の旗ジョーダン・モンゴメリー30なし32アメリカ合衆国の旗ブランドン・ファート25なし
54ベネズエラの旗マーティン・ペレス32なし57アメリカ合衆国の旗アンドリュー・サールフランク26なし
66アメリカ合衆国の旗ジョシュ・スボーツ29なし38アメリカ合衆国の旗ポール・シーウォルド33なし
31アメリカ合衆国の旗マックス・シャーザー[※1]394年ぶり3回目1回81アメリカ合衆国の旗ライアン・トンプソン313年ぶり2回目なし
51アメリカ合衆国の旗ウィル・スミス343年連続3回目2回捕手11ベネズエラの旗ホセ・ヘレーラ26なし
35アメリカ合衆国の旗クリス・ストラットン33なし14ベネズエラの旗ガブリエル・モレノ23なし
捕手18アメリカ合衆国の旗ミッチ・ガーバー32なし内野手10アメリカ合衆国の旗ジョーダン・ロウラー21なし
11アメリカ合衆国の旗オースティン・ヘッジス31なし3アメリカ合衆国の旗エバン・ロンゴリア3815年ぶり2回目なし
28アメリカ合衆国の旗ジョナ・ハイム28なし4ドミニカ共和国の旗ケーテル・マルテ30なし
内野手20ドミニカ共和国の旗エセキエル・デュラン[※2]24なし2ドミニカ共和国の旗ヘラルド・ペルドモ24なし
6アメリカ合衆国の旗ジョシュ・ヤン25なし6アメリカ合衆国の旗ジェイス・ピーターソン33なし
30アメリカ合衆国の旗ナサニエル・ロウ28なし15プエルトリコの旗エマヌエル・リベラ27なし
5アメリカ合衆国の旗コーリー・シーガー293年ぶり3回目1回26アメリカ合衆国の旗ペイビン・スミス27なし
2アメリカ合衆国の旗マーカス・セミエン33なし53アメリカ合衆国の旗クリスチャン・ウォーカー32なし
47アメリカ合衆国の旗ジョシュ・スミス26なし外野手7アメリカ合衆国の旗コービン・キャロル23なし
外野手32アメリカ合衆国の旗エバン・カーター21なし12キューバの旗ルルデス・グリエルJr.30なし
53キューバの旗アドリス・ガルシア★◎[※2]30なし28アメリカ合衆国の旗トミー・ファム35なし
4アメリカ合衆国の旗ロビー・グロスマン34なし5アメリカ合衆国の旗アレク・トーマス23なし
16アメリカ合衆国の旗トラビス・ジャンコウスキー32なし
3ドミニカ共和国の旗レオディ・タベラス25なし
※1  第3戦終了後にシャーザーが故障のためロースターを外れ、第4戦からはバークが代わりに登録された。
※2  第3戦終了後にガルシアが故障のためロースターを外れ、第4戦からはデュランが代わりに登録された。

レンジャーズは、リーグ優勝決定戦からのロースター変更はない[34]。ダイヤモンドバックスは、リーグ優勝決定戦のロースターから投手のスレイド・セコーニを外し、内野手のジェイス・ピーターソンを加えた。地区シリーズからリーグ優勝決定戦へ進む際にはピーターソンに代えてセコーニを登録していたため、地区シリーズと同じロースターに戻したということになる。その理由について、監督のトーリ・ロブロは「ある救援投手を休ませるためにといって13人目の投手を入れておくよりも、野手に左打者の選択肢を持っておくほうが勝利に資すると判断した」と説明している[35]。セコーニもリーグ優勝決定戦では2試合2.0イニングで無失点だったが、いずれもチームが5点以上離された敗色濃厚な場面での登板だった。

レンジャーズには過去にワールドシリーズ優勝を経験したことがある選手が5人おり、2016年から2022年まで直近7年のうち、2017年を除く6シリーズの優勝経験者が揃っている[36]。直近2年は救援投手ウィル・スミスが、2021年アトランタ・ブレーブスの一員として、2022年はヒューストン・アストロズの一員として、それぞれ優勝を経験した。全て異なる3球団から3年連続でシリーズに出場するのは、1986年1988年ドン・ベイラー2007年2009年エリック・ヒンスキーに次いで史上3人目であり、もし今シリーズをレンジャーズが制した場合は、W・スミスは彼らもなし得ていない3球団にまたがっての個人3連覇を達成する[注 5][37]。これに対してダイヤモンドバックスにはワールドシリーズ出場の経験者すらふたりしかおらず、優勝経験者はいない[36]。そのうち、内野手のエバン・ロンゴリアは新人時代の2008年タンパベイ・レイズの一員として出場し敗退して以来、15年ぶり2度目のシリーズ出場を迎える。シリーズ出場間隔が15年以上空いたのはロンゴリアが史上4人目であり、野手では初となる[注 6][38]。また、ダイヤモンドバックス先発投手のメリル・ケリーは過去に韓国プロ野球在籍経験があり、SKワイバーンズの一員として2018年の韓国シリーズでは優勝も経験している。ワールドシリーズと韓国シリーズの両方に出場するのは、ケリーが史上5人目となる[注 7][39]

開幕前の予想

MLB.comが所属記者・アナリスト58人にどちらがシリーズを制するか予想させたところ、レンジャーズ勝利予想が30人に対してダイヤモンドバックス勝利予想が28人とほぼ互角の結果となった[40]。同様の企画は他の媒体でも行われ、FOXスポーツでは4人の予想がふたりずつに分かれた[41]。だがそれ以外ではレンジャーズ支持が多く、ESPNでは12人中9人[42]CBSスポーツでは6人中4人[43]NBCスポーツ傘下のロトワールドでは7人中5人[44]、『USAトゥデイ』では5人中4人[45]、『ジ・アスレチック』では30人中19人がレンジャーズの勝利を予想した[46]

試合結果

2023年のワールドシリーズは10月27日に開幕し、途中に移動日を挟んで6日間で5試合が行われた。日程・結果は以下の通り。

日付試合ビジター球団(先攻)スコアホーム球団(後攻)開催球場
10月27日(金)第1戦アリゾナ・ダイヤモンドバックス5-6xテキサス・レンジャーズグローブライフ・フィールド
10月28日(土)第2戦アリゾナ・ダイヤモンドバックス9-1テキサス・レンジャーズ
10月29日(日)移動日
10月30日(月)第3戦テキサス・レンジャーズ3-1アリゾナ・ダイヤモンドバックスチェイス・フィールド
10月31日(火)第4戦テキサス・レンジャーズ11-7アリゾナ・ダイヤモンドバックス
11月1日(水)第5戦テキサス・レンジャーズ5-0アリゾナ・ダイヤモンドバックス
優勝:テキサス・レンジャーズ(4勝1敗 / 球団創設63年目で初)

第1戦 10月27日

映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、12分52秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 R H E
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 3 1 1 0 0 0 0 0 0 5 8 0
テキサス・レンジャーズ 2 0 1 0 0 0 0 0 2 0 1x 6 9 0
  1. 勝利ホセ・ルクラーク(1勝)  
  2. 敗戦ミゲル・カストロ(1敗)  
  3. 本塁打
    ARI:トミー・ファム1号ソロ
    TEX:コーリー・シーガー1号2ラン、アドリス・ガルシア1号ソロ
  4. 審判
    [球審]D.J.レイバーン
    [塁審]一塁: アルフォンソ・マルケス、二塁: デビッド・ラックリー、三塁: ブライアン・ナイト
    [外審]左翼: ビック・カラパッツァ、右翼: ビル・ミラー
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時7分 試合時間: 4時間2分 観客: 4万2472人 気温: 73°F(22.8°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
アリゾナ・ダイヤモンドバックステキサス・レンジャーズ
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1C・キャロル1M・セミエン
2K・マルテ2C・シーガー
3G・モレノ3E・カーター
4C・ウォーカー4A・ガルシア
5DHT・ファム5DHM・ガーバー
6L・グリエルJr.6J・ハイム
7A・トーマス7N・ロウ
8E・ロンゴリア8J・ヤン
9G・ペルドモ9L・タベラス
先発投手投球先発投手投球
Z・ガレンN・イオバルディ

第2戦 10月28日

映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、10分19秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 0 2 0 0 2 3 2 9 16 0
テキサス・レンジャーズ 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 4 0
  1. 勝利メリル・ケリー(1勝)  
  2. 敗戦ジョーダン・モンゴメリー(1敗)  
  3. 本塁打
    ARI:ガブリエル・モレノ1号ソロ
    TEX:ミッチ・ガーバー1号ソロ
  4. 審判
    [球審]クイン・ウォルコット
    [塁審]一塁: デビッド・ラックリー、二塁: ブライアン・ナイト、三塁: ビック・カラパッツァ
    [外審]左翼: ビル・ミラー、右翼: D.J.レイバーン
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時5分 試合時間: 2時間59分 観客: 4万2500人 気温: 74°F(23.3°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
アリゾナ・ダイヤモンドバックステキサス・レンジャーズ
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1K・マルテ1M・セミエン
2C・キャロル2C・シーガー
3G・モレノ3E・カーター
4C・ウォーカー4A・ガルシア
5DHT・ファム5DHM・ガーバー
6L・グリエルJr.6J・ハイム
7A・トーマス7N・ロウ
8E・ロンゴリア8J・ヤン
9G・ペルドモ9L・タベラス
先発投手投球先発投手投球
M・ケリーJ・モンゴメリー

第3戦 10月30日

映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、10分9秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
テキサス・レンジャーズ 0 0 3 0 0 0 0 0 0 3 5 0
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 6 0
  1. 勝利ジョン・グレイ(1勝)  
  2. セーブホセ・ルクラーク(1勝1S)  
  3. 敗戦ブランドン・ファート(1敗)  
  4. 本塁打
    TEX:コーリー・シーガー2号2ラン
  5. 審判
    [球審]アルフォンソ・マルケス
    [塁審]一塁: ブライアン・ナイト、二塁: ビック・カラパッツァ、三塁: ビル・ミラー
    [外審]左翼: D.J.レイバーン、右翼: クイン・ウォルコット
  6. 試合開始時刻: 山岳部標準時UTC-7)午後5時3分 試合時間: 2時間51分 観客: 4万8517人 気温: 78°F(25.6°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
テキサス・レンジャーズアリゾナ・ダイヤモンドバックス
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1M・セミエン1C・キャロル
2C・シーガー2K・マルテ
3A・ガルシア3G・モレノ
4E・カーター4C・ウォーカー
5DHM・ガーバー5DHT・ファム
6J・ハイム6L・グリエルJr.
7N・ロウ7A・トーマス
8J・ヤン8E・ロンゴリア
9L・タベラス9G・ペルドモ
先発投手投球先発投手投球
M・シャーザーB・ファート

第4戦 10月31日

映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、14分46秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
テキサス・レンジャーズ 0 5 5 0 0 0 0 1 0 11 11 0
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 0 1 0 0 0 4 2 7 12 1
  1. 勝利アンドリュー・ヒーニー(1勝)  
  2. 敗戦ジョー・マンティプリー(1敗)  
  3. 本塁打
    TEX:コーリー・シーガー3号2ラン、マーカス・セミエン1号3ラン、ジョナ・ハイム1号ソロ
    ARI:ルルデス・グリエル・ジュニア1号3ラン
  4. 審判
    [球審]デビッド・ラックリー
    [塁審]一塁: ビック・カラパッツァ、二塁: ビル・ミラー、三塁: D.J.レイバーン
    [外審]左翼: クイン・ウォルコット、右翼: アルフォンソ・マルケス
  5. 試合開始時刻: 山岳部標準時UTC-7)午後5時4分 試合時間: 3時間18分 観客: 4万8388人 気温: 78°F(25.6°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
テキサス・レンジャーズアリゾナ・ダイヤモンドバックス
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1M・セミエン1K・マルテ
2C・シーガー2C・キャロル
3DHM・ガーバー3G・モレノ
4E・カーター4C・ウォーカー
5J・ヤン5DHT・ファム
6N・ロウ6L・グリエルJr.
7J・ハイム7A・トーマス
8L・タベラス8E・リベラ
9T・ジャンコウスキー9G・ペルドモ
先発投手投球先発投手投球
A・ヒーニーJ・マンティプリー

第5戦 11月1日

映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、12分31秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
テキサス・レンジャーズ 0 0 0 0 0 0 1 0 4 5 9 0
アリゾナ・ダイヤモンドバックス 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 1
  1. 勝利ネイサン・イオバルディ(1勝)  
  2. セーブジョシュ・スボーツ(1S)  
  3. 敗戦ザック・ガレン(1敗)  
  4. 本塁打
    TEX:マーカス・セミエン2号2ラン
  5. 審判
    [球審]ブライアン・ナイト
    [塁審]一塁: ビル・ミラー、二塁: D.J.レイバーン、三塁: クイン・ウォルコット
    [外審]左翼: アルフォンソ・マルケス、右翼: デビッド・ラックリー
  6. 試合開始時刻: 山岳部標準時UTC-7)午後5時6分 試合時間: 2時間54分 観客: 4万8511人 気温: 79°F(26.1°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
テキサス・レンジャーズアリゾナ・ダイヤモンドバックス
打順守備選手打席 打順守備選手打席
1M・セミエン1C・キャロル
2C・シーガー2K・マルテ
3E・カーター3G・モレノ
4DHM・ガーバー4C・ウォーカー
5J・ヤン5DHT・ファム
6N・ロウ6L・グリエルJr.
7J・ハイム7A・トーマス
8L・タベラス8E・ロンゴリア
9T・ジャンコウスキー9G・ペルドモ
先発投手投球先発投手投球
N・イオバルディZ・ガレン

セレモニー

第1戦試合前の始球式の様子。ジョージ・W・ブッシュから捕手役のイバン・ロドリゲスへボールが投じられる

試合前のアメリカ合衆国国歌星条旗』独唱と始球式を行った人物は、それぞれ以下の通り。

試合国歌独唱始球式
投手役捕手役
第1戦H.E.R.[47]ジョージ・W・ブッシュ[48]イバン・ロドリゲス[48]
第2戦パール・ピーターソン
ボーイズ・アンド・ガールズ・
クラブ・オブ・アメリカ
[49]
エイドリアン・ベルトレ[50]ファーガソン・ジェンキンス[50]
第3戦ジョーダン・スパークス[51]ランディ・ジョンソン[52]ルイス・ゴンザレス[52]
第4戦ミッキー・ガイトン[53]マドックス・カーミーン、
エイミー・ギボンズ
サバイバー)[54]
トニー・ビーズリー
ライアン・トンプソン[54]
ジョン・ラーム[55]メリル・ケリー[55]
第5戦ダイナ・ジェーン
フィフス・ハーモニー[56]
タイラー・モルドバン
フェニックス市警察[57]
不明

第2戦前の国歌独唱と第4戦前の始球式のうちのひとつは、いずれもMLBが協賛する非営利団体の活動と結びついたものである。第2戦前に登場したパール・ピーターソンはワシントン州スクイム在住の高校生で、校外活動促進団体 "ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブ・オブ・アメリカ"(BGCA)オリンピック半島支部の利用者である。彼女は5月のBGCA全米総会でその歌唱力を評価されて表彰を受けて以来、東海岸ニューヨーク州ニューヨークから南部ジョージア州アトランタ中西部イリノイ州シカゴ西海岸カリフォルニア州ロサンゼルスに至るまで全米各地を股にかけて歌を披露してきた[58]。10月に入りニューヨークでのBGCA催事で歌唱したところ、そこに出席していたMLB幹部の目に留まって今回の抜擢につながった[59]。また、第4戦前の始球式のうちのひとつでは、MLBが協賛する悪性腫瘍(癌)研究支援の慈善団体 "スタンド・アップ・トゥー・キャンサー" との合同企画により、癌との闘病経験を持つ両球団ファンが事前にひとりずつ選ばれてボールを投じた。ダイヤモンドバックスのファン代表エイミー・ギボンズは、BGCA前フェニックス支部長で、卵巣腫瘍を克服した[60]。レンジャーズのファン代表マドックス・カーミーンは13歳の少年で、ここ5年の間に急性骨髄性白血病を2度発症して入院しており、その間にはエルビス・アンドラスらレンジャーズの選手たちの慰問を受けたこともある[61]

ダイヤモンドバックスの本拠地球場チェイス・フィールドで行われる第4戦の前、もうひとつの始球式にはゴルファージョン・ラームが登場した。ラームはアリゾナ州立大学出身で、この年4月には4大メジャー大会のうちのひとつ、マスターズ・トーナメントを制した。今回の始球式ではマスターズ優勝者の証であるグリーンジャケットを身にまとい[注 8]、同じ大学出身でダイヤモンドバックス投手のメリル・ケリーを捕手役にしてボールを投じたが、その投球は右打席の方向へ大きく逸れた。このあとラームはX(旧Twitter)で「少ーーーーーし外れたかな😂」と振り返り、また後日その投球の出来について訊かれると「10点満点で6〜7点はあげていい」と述べた[62]。ただ、今シリーズに姿を見せたマスターズ優勝経験者はラームが初めてではない。レンジャーズの本拠地球場グローブライフ・フィールドで行われた第1戦には、いずれもテキサス大学オースティン校出身の2015年大会王者ジョーダン・スピースと2022年大会王者スコッティ・シェフラーが観戦に訪れている[63]

第5戦前の始球式には、フェニックス市警察英語版のタイラー・モルドバンが起用された。2021年12月14日未明、当時22歳の新人警官モルドバンは危険運転の通報を受けて現場へ向かい、車から降りた運転手と思しき男を追跡したところ、その男から頭部への1発を含む計8発の銃撃を受けて重体に陥った[64]。一時は生存も絶望視される状態だったが一命をとりとめ、2022年1月に救急搬送先の病院からリハビリ施設へ転院、同年6月には自宅へ戻った[65]。その後も車椅子生活となりながら、2023年4月6日にはダイヤモンドバックスのレギュラーシーズン本拠地開幕戦で始球式に起用され、妻チェルシーやダイヤモンドバックスOBルイス・ゴンザレスの介助のもと立ち上がってボールを投じた[66]。それから7か月後、今シリーズ第5戦がチェイス・フィールドで行われる年内最後の試合となったため、球団は「彼の始球式から始まったシーズンだから、掉尾を飾るには彼に戻ってきてもらうのがふさわしい」と、モルドバンを再び始球式に起用した[67]。今回の始球式ではチェルシーやゴンザレスのほかにフェニックス市長ケイト・ガイエゴ英語版や暫定警察長マイケル・サリバンも立ち会い、観衆が拍手と歓声で出迎えるなか、モルドバンは車椅子から立ち上がっただけでなく、そこから歩行器につかまって本塁方向へ歩みを進めたあとにボールを投じた[57]

テレビ中継

脚注

外部リンク

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