教科書的な説明では、レオン・ワルラスの支持者に好まれるように、需要量と供給量が一致しない場合には「価格調整」が行われるとされる[1]。すなわち、市場に余剰(超過供給)が発生すれば価格は下落し、不足(超過需要)があれば価格は上昇する。価格調整の単純なモデルとしてはエヴァンスの価格調整モデルあり、次の微分方程式で表される。

ここで価格
の変化率は、需要量
と供給量
の差に比例することを意味する。
しかし、価格調整ではなく、あるいは価格調整と同時に数量が調整される場合もある。市場の余剰は供給量の削減を引き起こし、不足は需要量の削減を引き起こす。このとき市場の「短辺」が支配的となり、需要量の制約が供給を制限したり、供給量の制約が需要を制限することになる。
経済学者アルフレッド・マーシャルは短期における市場調整を数量調整の観点から捉えた。与えられた「市場日」には供給量は固定されているが、短期的には調整が行われる。もし「供給価格」(供給者が受け入れようとする価格)が「需要価格」(購入者が支払おうとする価格)より低ければ、市場での供給量は増加する。逆に供給価格が需要価格を上回れば、市場での供給量は減少する。マーシャル的な数量調整は次のように表される。

ここで供給量の変化率は、需要価格
と供給価格
の差に比例することを意味する。
数量調整は、レオン・ワルラスおよび一般均衡理論の伝統とは対照的である[1]。ワルラスの理論では、理想的な市場はオークショニアが価格を提示し、供給量と需要量を確認するかのように機能すると仮定される。価格は「タトヌマン」(試行錯誤)の過程で変動し、市場が「クリア」し、需要量と供給量が一致するまで続けられる。この純粋理論では、市場均衡価格が決まるまで実際の取引は行われない。ワルラス的体系では、供給量と需要量を一致させる唯一のメカニズムは価格調整であった。