独占的競争

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独占的競争市場における短期均衡。企業は限界収入(MR)が限界費用(MC)に等しい点で生産を行い、利潤を最大化している。企業は平均収入曲線(AR)に基づいて価格を設定する。企業の平均収入と平均費用の差に数量(Qs)を掛けたものが総利潤となる。
独占的競争市場における長期均衡。企業はやはり限界収入が限界費用に等しい点で生産を行う。しかし、他の企業が市場に参入してきたことで競争が激しくなり、需要曲線(AR)がシフトしている。したがって限界収入(MR)もシフトしている。企業が設定する価格は平均費用に等しくなり、利潤がゼロとなる。

独占的競争(どくせんてききょうそう、:Monopolistic competition)は、市場に多くの企業が存在し互いに競争をしているが、個々の企業が差別化財を生産しているためある程度の独占力を持ち、競争が不完全である状況のこと[1]

独占的競争市場は、市場の多くの企業が存在するという点で完全競争市場に近く、個々の企業がある程度の独占力を持つという意味で独占市場に近い。完全競争市場と独占市場の間に定義できる概念である。完全競争市場と独占市場の間に定義できる市場に寡占市場、複占市場があるが、これらの市場では企業の数は2社のみだったり、数社にとどまる。独占的競争市場には完全競争市場のように「多くの」企業が存在するので、寡占や複占とは異なる。独占的競争市場では、個々の企業は他の企業が設定する価格を所与とする。つまり、自社の価格が他の企業の価格に影響して自分の企業に影響する効果は無視する[2][3]

独占的競争市場の例としては、異なったデザインの衣類を生産する企業がたくさん存在する衣類産業、異なった味の食品を販売する店舗が多く存在する食品産業などが挙げられる[4]。メーカーのブランド戦略によって消費者の視点からは異なった商品として認識されるスポーツ用品の市場、個々の企業が性能やデザインに差別化を施している自動車の市場も独占的競争市場と解釈できる[4]

萌芽と応用

『独占的競争市場の理論』(Theory of Monopolistic Competition)という題目の本を書いたエドワード・チェンバリン英語版が、独占的競争の概念の生みの親とされる[5]。『不完全競争の経済学』(The Economics of Imperfect Competition)という題目の本を執筆したジョーン・ロビンソンも、完全競争でも不完全競争でもない概念として、独占的競争市場と近い概念を提示している。

理論的には、独占的競争市場はCES型効用関数を仮定することで表現できる。アビナッシュ・ディキシットジョセフ・E・スティグリッツは、独占的競争市場の概念を応用してディキシット=スティグリッツ・モデル英語版を開発した。そのモデルは新貿易理論新々貿易理論経済地理マクロ経済学の分野で用いられている。

特徴

非効率性

出典

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