青春の彷徨

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日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
青春の彷徨
『週刊朝日別冊』掲載の『死神』
『週刊朝日別冊』掲載の『死神』
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出 『週刊朝日別冊』1953年6月
初出時の題名 「死神」
出版元 朝日新聞社
挿絵 三芳悌吉
刊本情報
収録 『悪魔にもとめる女』
出版元 鱒書房
出版年月日 1955年8月30日
装幀 東郷青児
装画 生沢朗
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青春の彷徨』(せいしゅんのほうこう)は、松本清張短編小説。『週刊朝日別冊』1953年6月号に「死神」のタイトルで掲載され、1955年8月に短編集『悪魔にもとめる女』収録の1作として、鱒書房より刊行された。

1961年にテレビドラマ化されている。

夜更けのこと、四人が麻雀をしていた。そこへ急患の知らせが入り、主人の医者は座敷を出ていった。残された三人は雑談をはじめ、話は病人のことから、人間の死、それから自殺の話に移った。一人が、こんな話をしゃべりだした。

大学教授の娘の佐保子と教え子の木田は、交際を禁じられ、「ぼくらは死ぬほかはないね」と心中を決意する。醜悪な死屍を人眼にさらさずに美しく死にたいと願う二人は、阿蘇山噴火口に投身することにした。

しかし、火口の絶壁から飛びおりても、途中の勾配や出入りに引っかかり、火口の中に消えることはないと知り、きれいにこの世から消えようという美しい幻想がふきとんでしまった。情けなくて、死のかげが遠のいていった木田と佐保子は、内牧からバスを乗りかえ、深耶馬渓の一目八景という場所に着き、鹿鳴館という宿屋にはいった。木田も佐保子も都会の者らしく、その身なりは、九州の山奥に来れば、いちだんときわだつ。二人はよく歩きまわった。死のかげはすっかり消えていた。

思わずそこに二泊してしまい、三日目に帰るという日、二人は途中で道を間違えて山中に彷徨し、最終のバスに乗り遅れてしまう。宿の亭主は、この辺の山が深いことについて、つづいて、六十を越した老人夫婦が来て宿に泊まった話を二人に語ってきかせる。その老夫婦は、仲睦まじいことで話題をまいた後、出立したが、それから一週間ばかりして、老人夫婦の息子という紳士が、手に老人の遺言をもってやってきたので、山狩りをしたが、死体はわからなかったという。この話はなんとなく木田と佐保子の心を揺すった。

翌日、東京に帰るという朝、二人の眼前に新型の高級車が来て、その車から若い男女が出てきて、男はグレイの仕立てのよい洋服、女は上から下まで黒ずくめ、その洗練された高雅な身なりが木田と佐保子をおどろかせた。急に、二人はがっかりして気落ちするのを感じた。するとにわかに、何もかもがつまらなく見えだした。なんともしれぬ不思議な絶望感が、潮のようにおこって襲いかかってきた。

「その黒衣の洋装の女が死神だったというのだろう?」「そうだ」「何しろ、それを見送ってから、気持が急転直下に萎えてしまったそうだ」「では、そういう死への暗示となった、お話の老人夫婦も、やっぱり死神の片棒というわけなんですか」「いやいや、それがそうではなかったのです」「と、いうのは、こうなんです。―― 」。

この時、往診から帰ってきた主人の医者が姿を現わした。「おや、なんの話をしていたのだ?」「いや、劣等感が死神だったという話を聞いたところさ」。

エピソード

テレビドラマ

脚注

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