扇を持つ婦人 (ゴヤ)
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| フランス語: La Femme à l'éventail 英語: Young Woman with Fan | |
| 作者 | フランシスコ・デ・ゴヤ |
|---|---|
| 製作年 | 1806-1807年ごろ |
| 素材 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 103 cm × 83 cm (41 in × 33 in) |
| 所蔵 | ルーヴル美術館、パリ |
『扇を持つ婦人』(おおぎをもつふじん、仏: La Femme à l'éventail、英: Young Woman with Fan)は、18-19世紀のスペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤがキャンバス上に1806-1807年ごろ、油彩で制作した絵画である。本来、ゴヤの家族に所有されていたが、ゴヤの孫マリアーノ (Mariano) がサラマンカ侯爵に売却した[1][2]。ほかの所有者たちを経た後の1898年に、パリのルーヴル美術館がアントウェルペンで作品を購入し[1][2]、以来、同美術館に所蔵されている[1][2][3]。

モデルの女性が誰であるかは、確実にはわかっていない[2][3]。ゴヤの研究者たちは、さまざまな候補者を挙げてきた[2]。グディオル (Gudiol) は、ドーニャ・カタリナ・ビオラ (Doña Catalina Viola) とし、シャビエル・デ・サラスとエンリケタ・ハリスは、グメルシンダ・ゴイコエチェア (Gumersinda Goicoechea) であるとしている。ゴヤは、1805年に息子のハビエルと彼女の結婚を祝してメダル型銅板に彼女の肖像を描いている。この銅版画のグメルシンダと本作の女性の顔貌の類似性は、両者が同人物であることを示唆する。しかし、本作のモデルはもっと太っている体型のように見える。ハリスによれば、それは彼女が妊娠しているためか、ゴヤの唯一の孫となったマリアーノを出産した直後であったためである[2]。ルーヴル美術館では、女性はおそらくグルメシンダであるとしている[1]。
モデルの女性は、無地の背景の中、簡素な木の椅子に腰かけた姿で表されている[2]。レース (手芸) で装飾されたネックラインのある、灰色の薄いドレスを纏っており、腕はグローブで覆われているが、指だけは覗いている。彼女は、手に持つ扇を弄んでいるようにみえる[2]。当時のスペインの婦人は人前では必ず扇を手にしていたため、扇を持って描かれることが多かった。扇を持つのは自分の気持ちを伝えるためで、扇の動きで同意や拒否、怒りの感情などを表していたのである。女性たちは扇をたくさん持っていて、その日の衣装や気分によって扇を変えていた[3]。
1800年代初頭を境に、ゴヤはそれまでの明るい褐色の地塗りを暗い褐色に変えた。その結果、それまでの暖かみのあった画面は、急速に冷たい輝きを帯びてくる。本作に見られる透明感のある白い肌、白いレースの輝きは、当時のゴヤの作品の特徴となっている[3]。本作で、とりわけ見事なのは、おそらく顔の部分の仕上げと服の部分に用いられている軽い筆致との間の異なる描法である。そのような筆致によってなされる全体的な効果は、ずっと後の印象派の画家たちを想起させる[2]。