ティオ・パケーテ
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| スペイン語: El tío Paquete 英語: Tío Paquete | |
| 作者 | フランシスコ・デ・ゴヤ |
|---|---|
| 製作年 | 1819-1820年ごろ |
| 種類 | キャンバスに油彩 |
| 寸法 | 39 cm × 31 cm (15 in × 12 in) |
| 所蔵 | ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード |
『ティオ・パケーテ』(西: El tío Paquete, 英: Tío Paquete)は、18-19世紀のスペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤが1819-1820年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した肖像画である。オリジナルのキャンバスの裏側に「El celebre ciego fijo (有名な盲目の男)」という銘が記されていた[1][2]ことから、モデルの人物が特定されている[1]。本来、ゴヤの孫マリアーノ (Mariano) が所有していた。1935年にハインリヒ・ティッセンのコレクションに入り[1]、現在、彼のコレクションを引き継ぐマドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館に所蔵されている[1][2][3]。
ティオ・パケーテは、マドリードでよく知られていた盲人であった。彼はサン・フェリペ・エル・レアル教会の階段上によく座っていたが、盲目であっただけでなく、歌手、ギター演奏者としても知られ[1][2]、物乞いをして暮らしていた[2]。

この肖像画で、ゴヤはパケーテの歪んだ顔貌を不朽のものとした[2]。画家は、暗色の背景から浮かび上がり、画面のほとんどを占めているパケーテの幅広く円い顔にすべての注意を注いでいる。生々しいほどのリアリズムで、ほとんど閉じている瞼から見えない眼が微かに表されている。大きな鼻孔のある、ずんぐりとした鼻、厚く荒れた唇、歯のない口も、厳しい写実で表現されている[1]。
パケーテ親爺は恥じる様子もなく、鑑賞者ににやりと笑いかけている。彼はユーモアのある人物であったに違いなく、間違いなくゴヤに一種のインスピレーションを与えている。ゴヤは、人生のグロテスクな側面に惹かれていた[2]。
皮肉を込めて笑っているようなパケーテの不明瞭な顔と曖昧な表情は、ゴヤの最終的な様式を示す重要な作例である[1]。非常に表現主義的な力のある本作は、70代半ばにゴヤがキンタ・デル・ソルドの屋内の壁面に描いた「黒い絵」と技法的にきわめて近い[1][2][3]。色彩も同様に非常に暗く、たっぷりと絵具を含んだ筆致で描かれている[2]。「黒い絵」のうちの1点である『二人の女にからかわれる男』 (プラド美術館、マドリード) の人物たちの表情は、より不安感を引き起こすものの、本作のパケーテの表情と比較することができる[1]。