陶器売り

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製作年1779年
寸法259 cm × 220 cm (102 in × 87 in)
『陶器売り』
スペイン語: El cacharrero
英語: The Pottery Vendor
作者フランシスコ・デ・ゴヤ
製作年1779年
種類キャンバス油彩
寸法259 cm × 220 cm (102 in × 87 in)
所蔵プラド美術館マドリード

陶器売り』(とうきうり、西: El cacharrero, : The Pottery Vendor)は、18-19世紀のスペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤが1779年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。1777年にアントン・ラファエル・メングスに依頼され、王立サンタ・バルバラ・タピストリー工場英語版のために制作された、20点のタピストリー用下絵 (カルトン) のうちの1点である[1]。それらのタピストリーは、当時のアストゥリアス公(後のカルロス4世)がエル・パルド王宮英語版内に有していた寝室と寝室控室に飾られるためのものであった[2][3]。この絵画は1870年にマドリード王宮から移されて以来[1][2]マドリードプラド美術館に所蔵されている[1][2][3][4][5]

1777年10月2日にゴヤが依頼された合計20点のタピストリー用下絵のうち、本作は、アストゥリアス公の寝室のためのタピストリー用下絵7点に含まれていた[4][5][6]。ほかの6点は、『マドリードの祭り』、『兵隊ごっこをする少年たち』、『手押し車の子供たち』、『ペロタの競技』、『兵士と婦人』、『アセロラ売りの娘』 (すべてプラド美術館蔵) である[6]。そのうち、『マドリードの祭り』は、サイズ的にも内容的にも同じくマドリードの郊外を描いている本作の対作品[7]であり、両作品のタピストリーは寝室の東側の壁に並べて掛けられた[6]

連作のほかの作品 (プラド美術館蔵)

作品

本作は、ゴヤが手掛けたタピストリー用下絵の中でも、特に著名な作品である[3]。ゴヤは、作品に関する請求書で以下のように説明している。

バレンシア陶器売り。座って何を買うか選んでいる2人の貴婦人。同様のことをしている老女。片側には、丸い敷物の山の上に座って、通り過ぎる馬車を見る2人の紳士。その馬車の内部に貴婦人が見え、彼女は、2人の従者と (馬車の後ろ側に乗っている) 別の召使、そして御者に付き添われている。遠方には、様々な人々と建物が見える[1]

画面に表されているのは、地方からの行商と人々で賑わう祭りの情景である[4]。多くの人物が描かれているが、特に陶器売りの商品を見る手前の女性たち、馬車から鑑賞者を見つめているいわくありげな貴婦人、そして背中を向けて、彼女に興味津々な2人の若者などが際立っている[3]。手前の陶器売りと女性たちの静的な人物群は、馬車に乗る人々の動的な人物群と対比されており、この対比は、馬車の速度のために後ろにのけぞっている召使の動きによって強調されている[2]。作品は全体的に明るく、透明感のある光に照らされ、陶器や布地の光沢に非常に緻密な細部描写が見て取れる[3]

場面の複雑さにより、本作は寓意、あるいは道徳教訓を表すものと解釈されてきた[1]。何よりも、ヴァニタス (生の儚さを象徴する静物画) のように現世の事物の儚さと容赦ない時の経過を示していると考えられるかもしれない。その場合、そうした概念は、若い女性と老女の対比および壊れやすい陶器に表現されている。この絵画はまた、売春を批判したものとも解釈される。この解釈にしたがえば、老婆は若い女性たちを斡旋する女衒で、壊れやすい陶器は女性のを暗示するとも考えられる[1]

とはいえ、ゴヤは、本作のための請求書で明瞭に登場人物、彼らの態度、会話の説明をしている。若い女性たちは優雅な衣装から「貴婦人」であり、老女は村の人物なのである。後景左側には別の女性が家庭的な装いで登場しており、彼女が庶民であることが示されている。一方、馬車の中には明らかに貴族階級の貴婦人がおり、豪華な衣装に身を包んだ高貴な家の御者と従者が付き添っている[1]

ゴヤ『バルコニーのマハとセレスティーナ』 (1808-1812年)、個人蔵

このように様々な社会階級の人々を登場させることで、ゴヤは祭りの普遍的な性質を人間の比喩として表現している[1]。すべての登場人物たちは、得られないものと向き合っている。背景の貧しい人々は、何も買うことができない。前景の若い女性は、思慮深げに陶器売りが勧めている器 (地面にある器と同様に、当時贅沢品と見なされたマニゼスアルコラ[2]) に手を触れており、その仕草で一揃いの器を欲しがっていることを示している。鑑賞者に背を向けて、慎ましいござ (事物の儚さの象徴) に腰かけている2人の紳士たちは、素早く通り過ぎる馬車の貴婦人を得たいと望んでいる。最後に、貴婦人は、黒い衣服を身に着けた、おそらく僧侶とともに馬車に閉じ込められ、加わることのできない賑やかな祭りを憂鬱そうに見つめている。陶器の皿をしっかりと握っている前景の老女だけが、自身が持っているものに満足しているようである[1]

人物たちの顔は非常に表現力に富んでおり、とりわけ老女の顔にそれがあてはまる。彼女は、ゴヤが後に描くことになる魔女を想起させる[2]。また、若い女性に老女が付き添う情景は、『バルコニーのマハとセレスティーナ』 (個人蔵) の主題に発展していく[4]

本作には、若さと老い、庶民と貴族、男と女、都会と地方などさまざまなレベルでの対比が見られ[4][5]、計算された画面構成を持つ作品となっている[5]

脚注

参考文献

外部リンク

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