盗賊の襲撃
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| スペイン語: Asalto a la diligencia 英語: Assault of Thieves | |
| 作者 | フランシスコ・デ・ゴヤ |
|---|---|
| 製作年 | 1793-1794年 |
| 種類 | 銅板上に油彩 |
| 寸法 | 42 cm × 31 cm (17 in × 12 in) |
| 所蔵 | フアン・アべリョ氏のコレクション |
『盗賊の襲撃』(とうぞくのしゅうげき、西: Asalto a la diligencia, 英: Assault of Thieves)は、18-19世紀のスペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤが銅板上に油彩で制作した絵画である[1]。画家がカディスに滞在していた1793-1794年に描いた12点の連作に含まれていた[1][2]。2015年以来、スペインのフアン・アべリョ氏のコレクションに収蔵されている[1][3]。
ゴヤは、王宮を装飾するタピストリー用下絵の制作に長年携わった経験から、それぞれ異なる題材を扱う何点かの絵画の総体によって、ある大きな主題を表現する姿勢を持つようになっていた。それ以来、注文によらず完全に自分の意思で制作を行う場合でも、常に連作という形式をとり、1つの主題を複合的な視点から追求した[2]。
本作が含まれていた連作中5点の絵画には、人間を前触れもなく襲い、死の淵に立たせる破滅的状況 (盗賊の襲撃、火災、難破) と、自由を剥奪された人間の社会的な死 (牢獄、精神病院) の主題が表されている。これらの絵画とエドマンド・バークの崇高の「概念」との関連は、すでに多くの研究者によって指摘されている。ゴヤは、これら悲劇的な題材を描くにあたり、「およそ崇高なるものの一切の共通の源泉である恐怖」を喚起しているのである[2]。
連作中の関連作品
作品

本作の主題は、ゴヤがすでに1786-1787年に第9代オスーナ公爵ペドロ・テレス=ヒロン夫人の注文に応えて制作した7点の連作に含まれていた『駅場所乗っ取り』 (個人蔵) で採りあげたものである[1]。ゴヤの言葉を借りれば、『駅場所乗っ取り』は、「馬車を乗っ取り、乗客を捕まえ、殺した盗賊と、強い陸軍将校を描いている。彼らは、女と男を縛り上げている最中である」。本作で、ゴヤは『駅馬車乗っ取り』のいくつかの要素をふたたび用いている。馬車の上で見張っている男、盗賊たちに命の懇願をしている旅行者などである。しかし、ゴヤは盗賊たちの残虐性を増している[1]。
岩がちの風景の中で、4人の盗賊たちが馬車を乗っ取ったところである。2人は誰かがやってこないかと恐れ、周囲を見回しており、1人は馬車の上に立っている。1人の男は、乗客の1人を刺し殺している。別の1人は、命乞いをしている乗客を殺そうと銃を構えている。地面には、横たわっている3人の死体が見える[1]。鑑賞者の視点は、すでに殺された人々が仰向けに倒れた地面と同じ位置にある。跪いて命の懇願をする最後の犠牲者と同じ立場で、馬車の上の盗賊を見上げ、さらにその背後に聳える険しい岩山を仰ぎ見ることで、鑑賞者は深淵に突き落とされた人間の恐怖を実感させられる[2]。
本作は、当時のスペイン、とりわけアンダルシア地方の山々でよく起きていた出来事に対してゴヤが持った関心を示している。一般的な人々の心理は盗賊たちの真の性質や暴力性は顧みず、彼らを伝説的かつ英雄的な存在として捉えていたが、ゴヤは彼らの残虐性を強調している[1]。